ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part1】オオカミさんシリーズ

 今回感想を書いていくシリーズは「オオカミさんシリーズ

 オオカミさんシリーズ電撃文庫より2006年〜2017年まで刊行されていた『オオカミさんと七人の仲間たち』を第1巻とし、『オオカミさんとおつう先輩の恩返し』『オオカミさんと“傘”地蔵さんの恋』・・・『オオカミさんとハッピーエンドのあとのおはなし』と続いていく全13巻(本編12巻+後日譚1巻)のシリーズ。

 作者は沖田雅。イラストは本編1~12巻はうなじ、後日譚13巻はzpolice

オオカミさんと七人の仲間たち (電撃文庫)オオカミさんとハッピーエンドのあとのおはなし オオカミさんと七人の仲間たち (電撃文庫)

※画像はamazon購入リンク(1巻および13巻)

 

 

 まずは作品のあらすじから。

 ””私立御伽学園にあるちょっと変わった組織・御伽銀行。正式名称・御伽学園学生相互扶助協会は生徒からの要望を解決する代わりに、それを貸しとして別の何か問題が起きたときに必要があれば助けてもらう、そんな生徒間の助け合いを仲介していた。

 ある日のこと。御伽銀行に所属している大神涼子と赤井林檎、御伽銀行のオオカミさんと赤頭巾ちゃんと呼ばれる二人の前に、オオカミさんに想いを寄せるヘタレ少年森野亮士(通称:猟師くん)が現れるといきなり告白してきた。

 猟師くんを御伽銀行の仲間に加え、様々な生徒たちの問題を解決しつつ、嘘つきなオオカミさんとヘタレな猟師くん二人の恋模様は周囲に突つかれ弄られながら少しづつ進展していく。””

 タイトルから分かる通りにおとぎ話をテーマにした作品。コメディ要素が大きな割合を占めますが、話の中心にはオオカミさんと猟師くんのラブコメがある感じですね。

 ※この感想ではそれぞれのキャラクターを本名ではなくオオカミさんや猟師くんのような愛称で呼んでいきます。

 さて、それでは前置きが長くなりましたが、この作品の面白いとわたしが感じたポイントをいくつか話していきましょう。

1:オオカミさんと猟師くんのストレートな1対1恋愛!

 この二人の恋は少年漫画的王道、ピンチのヒロインをヒーローが救うというまさにおとぎ話のような真っ直ぐさで紡がれていきます。

 普段は人に見られるだけで「ひぃ〜」とか言ってヘタレちゃう猟師くん。しかし彼は大好きなオオカミさんを守るためなら弱い自分なんか二の次で、自らの危険を厭わずに、遮二無二に行動することができます。

 その一途な姿がとにかくカッコいいのですよ。この猟師くんの愛に、オオカミさんが射止められるまでの過程。過去のトラウマにおびえて素直になれないツンデレオオカミさんの心を溶かしていく様子。これが本当にすごく丁寧に描かれています。

 ときに焦れったく、ときに甘い、そんな王道ラブコメだからこそ、応援したくなるし、たまにはからかいたくもなる。そんな周囲のキャラたちとの関わり、中でもオオカミさんの親友であるりんごさんによる弄りや背中押しが本当に魅力的でした。

 そんなラブコメが作品の中軸を成しているのでこれだけでも最後まで見届けたいという気持ちになりますし、読み終わってああ素晴らしかったという気持ちにもなります。

 

2:様々なおとぎ話や童話をテーマにした短編集

 本作は各巻3〜5話くらいの短編形式で描かれていて、そのすべてにモチーフとなる元ネタのおとぎ話や童話が設定されています。

 キャラクターたちもすべて童話にちなんだ名前だったり設定だったりになっています。大神→オオカミさん、森野亮士→森の猟師、といった具合に。

 こうして各話が元ネタがあり、ストーリーラインがこの元ネタのお話イメージさせつつ進行するために1話1話が非常に分かりやすい構成になっています。

 ここにプラスアルファとして、作者なりの解釈やアレンジを加えたり、複数の作品をリミックスをすることで、めちゃくちゃ笑えるコメディや感動話、あるいは胸キュンな恋愛風味に仕上がってきます。

 いくつか例を挙げるなら、シンデレラはインラインスケートで自分を蹴り飛ばした運命の人を探す王子様のお話になってたり。アリとキリギリスのお話には因幡の白兎や不思議の国のアリスのお話が混ざってきたり。という具合ですね。

 これがシンプルに話としても面白いですし、あとがきで元ネタになった童話の解釈を読むと「あー、なるほど。そういう見方もできるのか……!」と関心してしまうことも多々ありました。

 

3:個性豊かなキャラクターたち

 面白ポイント2からの派生になりますが、とにかくキャラクターたちの個性が濃いですね。もはや"癖が強い"と言っても差し支えないでしょう。これは1話1話が元ネタの童話を持つために、どんどんキャラクターが増えていくからっていうのも関係していそうで。

 一目で分かりやすく印象に残るキャラクター、というもののが一貫して描かれるのですよ。

 これのキャラクターの強烈な個性がおとぎ話をテーマにした覚えやすい名前に結びつけられるので、読み終わってから時間が経っても誰がどんなキャラだったか鮮明に覚えていられます。そして、初見で読者にしっかり印象付けてさえしまえばあとは何だってできますよね。メインキャラたちは読めば読むほどに味に深みが出てきて、気がつけばどのキャラも目で追ってしまって……、そうして気がついたときにはもう全てのキャラクターに愛着が湧いてしまっている!

 それほどの個性の塊たちがあれやこれやする作品が面白くないわけがないですよね!

 ちなみに個人的に特にお気に入りなのはりんごさんと乙姫さん、地蔵さんです。

 また一方で、毎回キャラクターが増えるかといえばそうではなく、一人で複数の童話に登場するようになっているキャラクターもいます。

 例えば、赤頭巾ちゃんをモチーフにしたりんごさんは、毒リンゴとして白雪姫にも登場したり、見た目ロリな容姿から親指姫になったり、みたいな感じです。

 これまた作者なりの原作からのアレンジとして、キャラクターの個性を彩る大事なポイントとなってきますし、一人のキャラにいくつかの個性を合わせることで複数の童話の役を当てはめるっていうのがすごいですよね。

 

4:カップルが多い!

 キャラクターが多いので、その分カップルが多いです!

 そしてその全てがオオカミさんと猟師くんのように1対1の恋愛。これはおとぎ話がいつだって王子様とお姫様が幸せになるみたいな部分に沿っている結果でしょうか?

 いくらか紹介するとシンデレラ、ねずみの嫁入り、アリとキリギリス、浦島さんと乙姫さん、地蔵さんと花咲さん(元ネタ、笠地蔵×花咲じいさん)、ヘンゼルとグレーテルの兄妹、カチカチ山のウサギとタヌキ、雪女と村人、ピノキオさんとぜぺっとさん、アヒルと白鳥(元ネタ、みにくいアヒルの子)……etcetc

 純粋なNLだけでなく、GLもあったり、また恋愛ではなくとも単純に親友として仲がいいコンビもいたりして、どのペアを見ても楽しめます。なので、1対1恋愛が好き、作中で複数のカップルがいるのが好き、という方には垂涎モノの作品になっています。

 また、例に挙げた地蔵さんと花咲さんに関してはスピンオフとして、1巻まるまる使ってラブコメをやってくれています。マジで最高でしたよ!

 

5:地の文&メタ発言

 個性豊かなキャラクターといえば、この作品の超重要なキャラクター(?)を忘れてはいけません。

 それが地の文!?

 この作品は地の文が、天の声、あるいは作者の心の声の代弁、と言えるくらいに感情(私情)が入りこんでいる三人称になっています。

 おとぎ話がテーマであるように、この作品には語り部が存在しているということですね。この地の文が、積極的にキャラクターたちの会話に対してツッコミを入れながら話が進行するのが本作の大きなポイント。たまにキャラクターたちもこの天の声にツッコミ返したりします。

 というか、地の文がここまでキャラクターに対して辛辣な発言したり、叫び散らかしたりする作品はそうそうないですよ笑。

 それだけでなく。本作はパロネタやシモネタ、無駄な豆知識が結構多いです。ネタそのものは刊行時(15年ほど前)に合わせたものになっていますけども、これらのネタにこの地の文が合わさるとどうなるか。

「このあたりの内容が分からなければ、分からなくていいです」だの「また一つ無駄な知識が増えましたね」だの言って読者を煽ってくるんですよ! ええ、わたしもおかげさまでいくらか新しい知識が増えましたねぇ(怒)。

 この地の文が楽しめるかどうかは人によるでしょうけど、これが楽しめるのならもうこの作品で笑えない場所がないです。わたしはもう笑いすぎて疲れました。

 

6:その他全部

 まだまだ色々言いたいですが、とにかく全部面白いです!

 

おわりに

 というわけで、面白いポイントをできるだけ簡潔に紹介したつもりですが、多くなりすぎちゃいましたね💦

 まとめると『この作品の全部が好き!』という一言に尽きます!

 

 以上、今回のシリーズ紹介はこれにておしまい。

 1巻の商品リンクを載せておきます。感想を見て気になった方は一度見てみてもらえると嬉しいです。ブックウォーカーでは読み放題の対象にもなっているので、そちらで読んでみてもいいかもしれませんね。 

 

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