ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part8】この中に1人、妹がいる!

 今回感想を書いていく作品は「この中に1人、妹がいる!

 MF文庫Jより2010年~2013年の間に刊行されていた全11巻(本編10巻+短編5,5巻)のシリーズ。作者は田口一。イラストはCUTEG

この中に1人、妹がいる! (MF文庫J)この中に1人、妹がいる! 10 (MF文庫J)

※画像はamazonの購入リンク(1巻および10巻)

 

  

 まずは、本作のあらすじをご紹介。

 ""主人公は世界的大企業「帝野グループ」の一人息子、帝野将悟。彼は亡くなった父に代わりグループの跡継ぎとなる決意をし、父の遺言に従い「生涯の伴侶となる女性を見つける」ために父の母校である深流院学園に編入する。

 しかし将悟には恋人を作るにあたって大きな問題があった。

 それは血の繋がった異母妹の存在。父の不倫相手の子と噂される顔も知らないその妹が学園の中にいて、さらには将悟のすぐ側にいるのだという。そして彼女は将悟と結婚するのだと宣言する。実の妹と結ばれたとあればグループの不祥事になってしまう。クラスメートの鶴眞心乃枝に神凪雅、生徒会会長の天導愛菜、副会長の国立凜香、妹カフェを経営する先輩の嵯峨良芽依、はとこの宝生柚璃奈……、一体ヒロインたちの誰が将悟の「妹」なのか。

 絶対に妹を選んではいけないラブコメディ開幕""

 と、こんな感じですね。ジャンルは学園ラブコメです。そしてこの作品は「妹」が誰なのかという謎の部分を楽しむちょっぴりミステリちっくな感じです。ネタバレしないようにすると本編の内容について話せる部分が限られてくるので、今回は全体的な構成やキャラクターなんかについてお話をしようと思います。

1:シリーズ構成

 シリーズは全部で11冊。1〜10巻と短編集5,5巻があります。内容は5,5巻の短編集を挟んで前半パートと後半パートに大きく別れていて、本編最終巻は9巻。10巻が後日譚になっています。

 そして、本作は前半パートと後半パートで作品の雰囲気がガラリと変わるのでそこは読む人の感想が分かれそうなところですね。前半パートは謎の「妹」の存在に翻弄されるちょっぴりミステリーな風味のあるラブコメで、後半パートは帝野グループを中心にした過去と妹の真実の迫るお話でシリアスが強くなってくる感じです。

 わたし個人の感想としては。前半パートの方がミステリーちっくな部分にワクワクしながらラブコメを楽しめる感じが良かった。後半パートは前半から変わってややシリアス多めなのが気にかかったけど、十分に楽しめたという感じですね。ただ終盤がもう完全に大人の都合に振り回されている感じが強くてモヤモヤした気持ちが続きました。しかし、展開そのものは決して嫌いなものではなく、最後の10巻も後日譚で日常なので、それがお口直しになって最終的な読後感は良いものでした。

 

2:キャラクター

 ラブコメで重要となるのはやはり主人公やヒロインがどれだけ魅力的であるかという点でしょう。

 本作の主人公、帝野将悟。彼は特別可もなく不可もなくという感じですね。ただ前述のように終盤が大人の事情に振り回されることから可哀想って思う部分が結構あり、その中でも自分の気持ちを貫こうとする姿はとても好印象でした。また学園ラブコメである以上ヒロインは多数登場しますが、当初の「生涯の伴侶となる女性を見つける」という目的もあってしっかり自分の気持ちを考えてヒロインを選べるところが良かったですね。

 続いてヒロインに関して。まず全てのヒロインに共通するのが、それぞれキャラがしっかり立っていて、前半パートで「妹」が誰なのか分からないワクワク感を引き出してくれるというものですね。それぞれが各巻のお話で重要なポジションを担っていると言い換えてもいいです。

 ただ、今しがた主人公の良い点として紹介した「主人公がちゃんと選べる」ということで、主人公と結ばれるヒロインが割と中盤から確定しているために、主人公とのドキドキな展開や可愛さという意味での魅力ではヒロイン格差があったように思えます。メインヒロインほぼ一強状態。なのでサブヒロインの負けヒロイン的な魅力も、そもそも勝ち負けが考えられないという意味であまり無かった気がします。

 ヒロインに個別に触れるとしたら、やっぱりシュークリームさんと柚璃奈の二人になりますかね。本作でわたしの好きな二人です。

 わたしは好きなキャラに関してはたびたび名前を呼ばなくなり、変な愛称で呼ぶ現象が発生するんですよね。チンピラみたいな女の子とかメインヒロインさんとか呼ぶ子がいたりするんですよ(これらの作品についてもそのうち紹介記事を作ります)。そして、本作にも登場したシュークリームさんもその内の1人。この名前の由来となる発現は1巻で登場し、その段階では「むっつりなこと言ってるなぁ」くらいだったんですけど10巻ではそれを超えて完全に迷言を生み出しているので彼女の呼び方はシュークリームさんで確定しました。これが誰かは実際に読んで確かめてみてください。

 柚璃奈は主人公のはとこに当たる女の子。中盤あたりからなんか徐々に可愛くなってくるんですよね。最初は主人公には敵対?するような立ち位置なんですけど、その憎まれ口とかが一周回って可愛くなってくるんです。さらには段々とキャラ崩壊起こしてきて、これがもう最高なのですよ。


3:表紙

 個人的に長編シリーズの魅力の一つとして「表紙を並べたときの綺麗さ」というのがあると思っています。長く続いたシリーズだからこそ、表紙で本編の変化を感じさせたり、あるいは長い間ずっとその作品を象徴するような一貫した部分があったりすると、シリーズ全巻の表紙をずらっと並べたときにすごくいいな~って感じます。

 その点で言うと、この作品は表紙の統一感が抜群に良いです。

 本作は各ヒロインたちが代わる代わる表紙を飾っていくよくあるパターンになっています。しかし本作の場合表紙のヒロインはみんなタイトルの「1」を示す指を立てていて、このヒロインが代わる代わる表しを飾るのが"誰が本当の妹なのか分からない"といったニュアンスを暗示しているように感じます。一方で終盤ではこの構図に変化があり"決着"を示すような表紙も。

 完結済みシリーズを読むときって、最終的にどのヒロインと結ばれるかみたいなのが表紙からお察しできちゃうことありますよね。しかし、それが分かった上で果たしてどんな内容になっているのかと期待して作品を読んで楽しみ、改めて中身を知った後で表紙を見返すとその印象が一転する感覚を味わえるのも強みと言えるのではないでしょうか。

 そういった意味を込めてこの作品の表紙は見事だったと言わざるを得ません。

 

おわりに

 まとめましょう。

 ミステリーちっくなラブコメの前半とシリアスな後半に分かれている作品。そこが読む人によって評価変わりそうなところ。ミステリーちっくな部分を味わい読み進めていくことでヒロインたちの魅力が見えてくる。しかし、恋人としてのドキドキだったり甘い展開はほぼ1人のヒロインが独占している。全巻表紙を並べるとものすごく綺麗。

 本作のざっくりした感想としてはこんなところですね。

 

 気になった方は是非、以下に1巻のリンク(Amazon、BOOKWALKER)を貼っておくのでチェックしてみてください。ブックウォーカーでは読み放題の対象にもなっているので、そちらで読んでみてもいいかもしれませんね。 

 

Amazonリンク

この中に1人、妹がいる! (MF文庫J)

 

BOOKWALKERリンク

この中に1人、妹がいる! - ライトノベル(ラノベ) 田口一/CUTEG(MF文庫J):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -

 

 

 

→次のラノベ感想「俺、ツインテールになります。

【ラノベ感想記事part9】俺、ツインテールになります。 - ぎんちゅうのラノベ記録

 

→前回のラノベ感想「あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き!」

【ラノベ感想記事part7】あんたなんかと付き合えるわけないじゃん!ムリ!ムリ!大好き! - ぎんちゅうのラノベ記録