ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part13】人類は衰退しました

 今回感想を書いていく作品は「人類は衰退しました

 人類は衰退しました(通称、人退)はガガガ文庫より2007年~2016年の間に刊行されていた全9巻+短編集2巻のシリーズ。作者は田中ロミオイラストは戸部淑(1~6巻の旧版では山崎透が担当していたが、イラスト交代によって新装版が1巻から戸部先生イラストになって再度刊行されたみたいです。旧版と新装版で内容の違いは無い模様)。

人類は衰退しました1 (ガガガ文庫)人類は衰退しました9 (ガガガ文庫) 

※画像はamazon購入リンク(新装版1巻および9巻)

 

 

 さて、いつもであれば作品概要から紹介ですが。

 今回は前書きから。

 本作は読んでいる方の多くが考察記事やネタバレ解説を求めてこうしたブログ記事を見ると思いますが、この記事はそういうのじゃないです。ごめんなさい💦

 わたし自身、田中ロミオ先生の他作品に詳しかったり、SFなジャンルで広い知見があったりするわけでないので特別に深い考察とかできないんですよね。なのでそういうのは、そういうのが詳しい方のブログやら感想やらを見ていただくとして。

 わたしは本作を読んだことない人へ向けて、この作品はこういう作品なんだよ~ということや、SFジャンルに明るくないわたしでもこういう部分が楽しめた面白かった、といったものを紹介できたらと思っています。

1:作品概要

 というわけで、改めて作品のあらすじから。

 ””わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は「妖精さん」のものだったりします。平均身長10センチで3頭身、高い知能を持ち、お菓子が大好きな妖精さんたち。わたしは、そんな妖精さんと人との間を取り持つ重要な職、国際公務員の"調停官(ちょうていかん)"となり、故郷のクスノキの里に帰ってきました。祖父の年齢でも現役でできる仕事なのだから、さぞや楽なのだろうとこの職を選んだわたしは、さっそく妖精さんたちに挨拶に出向いたのですが……。(1巻あらすじ完コピペ)””

 いつもは、1巻あらすじを参考に自分で作品のあらすじは書いてるんですけどね、この作品は1巻あらすじで重要な情報全部詰まっているので完コピペです。

 あらすじを少しだけ噛み砕くと、人類が衰退した(文明の大半が失われた)世界のほのぼのとした里で不思議パワーやアイテムを持つ妖精さんとの交流やドタバタな騒動を描いた作品、という感じになります。

 

2:主な登場人物

 ・わたし

 本作の主人公で語り部です。わたしの文章を書くときの一人称がわたしでややこしいので以降では”わたしちゃん”と呼びます。表紙から見た目では清楚でお淑やかな少女をイメージできるわたしちゃん、しかし内面は結構黒いです(笑)。あらすじでも言ったように「楽そうだから」で仕事を選ぶような人間ですし、地の文では皮肉や毒が多く、妖精さんの超便利アイテムを使って調子に乗ることもしばしば。一方で問題が起こった際にはその解決に一生懸命になったり(自分が責任を追及されたくないだけとも言える)、自分の意思を貫く頑固さもあったりして。つまるところ、非常に人間味がある”良い性格”をしている女の子なんですね。

 

 妖精さん

 旧人類にとって替わり新人類となった存在。あらすじで述べたように見た目は10センチで3頭身とメルヘンチックな可愛らしいもの。非常に高い知能を持っていて、とんでもないアイテムを度々生産しては問題を起こす。ただ、妖精さんは自ら何かをしようとすることはなく、人間さんたちの楽しい活動を察知したときにだけそのデタラメな技術力で遊んでいるような感じ。飽きたらすぐにいなくなりますし。そのため常に人間たちの集落の近くにいるのだけど、人間さんに姿を見せることはほとんどなく、しかしお菓子をいっぱいくれるわたしちゃんにだけは懐いていたりします。

 そんな妖精さんは舌っ足らずな言葉で(文章では常にひらがなだけで表現される)会話をし、人間さんが好きすぎるあまりたびたび人間さんにならひどいことをされたいといった趣旨の倒錯的な発言が飛び出したりするのが非常に可愛らしいです。

 

 この作品は調停官であるわたしちゃんと妖精さんの交流を主に描く作品ですので、このわたしちゃんの性格と語り、そして妖精さんたちとの会話劇が本作の大きな魅力ポイントの1つになっています。

 ここを好きになれるかどうかは、本作を好きになれるかどうかに大きく影響してくるところだと思います。わたしは読み進めるにつれてこのノリと雰囲気に段々馴染んできてとても楽しむことができました。

 この他にもわたしちゃんの祖父や、助手さん、友人のYなどのキャラクターもメインキャラクターとしていますがここでは割愛。強いて言えば、この作品にはキャラクターに固有名詞がない、ということが伝わればいいかと思います。

 

3:本作のストーリーライン

 では、本作の概要と主要なキャラクターが分かったところで、じゃあ実際どんな内容なの? と思われるでしょう。

 これが一言で説明するのは難しいのですよね……。

 基本的には「日常の中で何らかの問題が起こる」「妖精さんの手助けもあって解決しようとする」「妖精の道具の効果が変な方向に転がっていって、やばいどうしよう?」みたいな感じでしょうか? 起承転結が明確で、短編的な面白さがある形式です。最初の問題がそもそも妖精さんで、問題解決を自力でがんばろうとするみたいなパターンもあります。個人的には某ネコ型ロボットな作品や某派出所の警察な作品みたいな王道パターンがあるものをイメージするとちょっと近いのかな? と思ったりしました。

 一方で、そんなストーリーラインの中で、人類が衰退したという世界観やSFちっくな謎が少しずつ描かれていきます。例えば妖精さんの生態や何故人類が衰退したのかという理由だったり。例えば起承転結の起の具体的な内容として「衰退したかつての文明の遺産を掘り出した」といったものだったり。例えばかつての文明(読者であるわたしたちにとっては今の文明)をもじったオリジナルな故事成語や言い回しだったり。

 1冊の構成としては1巻で1本の長編か、1巻で2本の中編という形のどちらかで、前者の場合はSF成分が多めなシリアス、後者の場合は日常ほのぼのコメディの短編的な面白さがそれぞれ強いように感じました。

 そして本編最終巻である9巻とその前の8巻は2冊で1本の内容になっており本作の世界観の根幹に関わる内容が明らかになっていきます。本作における考察やネタバレ感想というのが、主にこの部分になります。ですので読んでみて日常ほのぼのの中に見え隠れする謎が気になったり、好きだったりする人は最終巻まで読むこと推奨というわけですね。ただし考察なんてものが生まれることからお察しで、明確にこうだと描かれるわけではありません。

 わたしとしては、最終巻の真実を知るとそれまで読んできた内容の見え方が一変するとだけは言っておきます。それほどに綺麗で見事な伏線回収でした。

 また本編終了後の短編集2巻ではここで言ったような長編、中編のどちらとも違う完全な短編になっていて妖精さんの可愛らしさや不思議アイテムによる色々な事件を1冊で堪能できるものになっていたのでこちらも是非読んでみることをオススメします。

 

おわりに

 作品の概要、わたしちゃんと妖精さん、主なストーリーラインと話してきました。これで何となく未読の人にも内容が伝わったでしょうか?

 わたし個人としてはここまでお話ししたように「わたしちゃんの人間性」「妖精さんとの会話劇」「妖精さんの不思議アイテムによる事件」「起承転結の丁寧な構成」「終盤に伏線回収されていくSF要素」などなどを楽しみながら読むことのできた作品でした。

 

 もしもこの記事で気になったという方がいたら、以下に1巻の購入リンクを貼っておくのでチェックしてみてください。ブックウォーカーでは読み放題の対象にもなっているので、そちらで読んでみてもいいかもしれませんね。 

 

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人類は衰退しました1 (ガガガ文庫)

 

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人類は衰退しました1 - ライトノベル(ラノベ) 田中ロミオ/戸部淑(ガガガ文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -

 

 

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