ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part21】アリストクライシ

 今回感想を書いていく作品は「アリストクライシ
 ファミ通文庫より2013年~2014年の間に刊行されていた全3巻のシリーズ。作者は綾里けいし。イラストはるろお

アリストクライシ1 for Elise 「アリストクライシ」シリーズ (ファミ通文庫)アリストクライシ3 with you 「アリストクライシ」シリーズ (ファミ通文庫) 

※画像はAmazonリンク(1巻および3巻)

 

 

 まずは本作の概要からご紹介。

 

 ""「穴蔵の悪魔」アリストクライシと呼ばれる化け物の一族の少女エリーゼ。彼女は一族に家族を奪われ、その復讐のため同胞であるアリストクライシを殺して回る旅をしていた。あるとき聞きつけた噂から、土の中に生き埋めにされている一匹の化け物を掘り出す。それは探していたアリストクライシではなく「名前のない怪物」グラウエンと呼ばれる化け物の青年だった。

 青年にグランと名付け、グランはエリーゼと共に旅をすることになる。それはもちろんアリストクライシを殺す復讐の旅。一匹と一匹の化け物が紡ぐ悲しくも儚い物語""

 

 といった感じのお話。ジャンルとしてはダークファンタジーですね。綾里けいし先生という作者からお察しの方もいるかもしれませんが。まぁ、わたしは綾里先生作品これが初めてなので他の作品と比較してどうこうは言えないのですけどね(笑)。

 ともあれ、そんな本作についての感想を率直に述べるなら「グランとエリーゼの関係が美しい」になるでしょうか? 詳しくは、続きを参照でどうぞ。

 

1:一匹と一匹の化け物

 グランは名前のない化け物。その身は不死性を持ち、心のない怪物として恐れられ、かつて暮らしていた村の人々に生き埋めにされてしまった過去を持つ。それを掘り起こしたのがエリーゼで、以来エリーゼの旅についてアリストクライシを殺す手助けをしている。

 と、いうグランの立ち位置があるので、基本的に本作はヒロインであるエリーゼの復讐が主体となって物語が進行しています。グランは心のない怪物らしく自ら何かを主張することはほとんどなく、会話でも感情的なエリーゼと対照的に淡々としている様子が多々見られます。

 しかし、そんなグランは何故エリーゼの側にいるのか リーゼの為に……、それは”心のない”怪物らしい理由ではない。)(しかし自分は確かにどれだけ傷ついてもすぐに再生できる、普通の人間ではないのだ。)(でも、噂に聞くような怪物ではない。なら、自分は一体……。) と、まぁ、そんなことを思い悩みながらエリーゼの側にいるのです。

 

 これだけでめっちゃグッとくるよね! こういうの大好き。

 

 そして、エリーゼはこれまで何度か述べたように家族の仇を取るために同胞を殺して回っていまして。その旅は過酷で孤独なもの。けれど、それだけが今の彼女の心を支えるものなのだからそれでも良かったのだ。

 グランに出会うまでは。

 エリーゼは人間ではない。かといってアリストクライシの仲間にもなれない。拠り所となる者はいなかったのだ。けれど、出会ってしまった。人間でもなく、恨むべきアリストクライシでもない、ただの化け物と。

 それが一体エリーゼの心の中にどんな意味をもたらしたのか。明記されている部分は少ないのですが、エリーゼがグランに寄せる信頼や甘えはささやかな描写から伝わってきて。だからこそそんな彼女の行く末が非常に気になるのです。

 

 同じ二匹の怪物ではなく、一匹と一匹の怪物だからこそ生まれた関係性。

 こういうのって最高じゃないですか? 堪らなくないですか? 復讐の旅というほの暗さがより一層にこの関係性の美しさを際立たせていたように感じます。

 

2:アリストクライシを殺す”旅”

 本作のメインストーリーとなる復讐の旅は1巻につき1つのアリストクライシの根城を探し出し殺します。

 これが個人的にはある種の旅モノのような面白さ、そしてちょっとしたミステリーや謎解きの楽しみがある作品だと思ったんですよね。

 

 アリストクライシは「穴蔵の悪魔」と呼ばれるように自らの特殊な領域を持って、その中でその欲望を満たすために人間たちを襲っています。これが街に広がる奇妙な噂になったりすることで、それを聞きつけたエリーゼたちがやってくるわけです。

 そうすると毎回お話の舞台が異なる街となって、その街には何か変な事件だったり奇妙な出来事が起こるわけです。すると読者としては今度はどんな街でどんな設定になっているんだろうと期待をするわけです。これがどことなく旅モノのファンタジー作品のような面白さがあって、それにプラスして事件は大抵が人の死が関連するものなのでミステリーちっくなハラハラ感もあるわけです。

 このアリストクライシの起こす事件は、中には人の命を持て余すような残酷だったりするものもあるためそういうのが苦手な人は要注意という感じです。ただ、個人的にはそういう系苦手なタイプですが、そこまで重くはないと思いました。エリーゼとグランの関係で萌えてるとあまり気になりません。そもそも復讐の旅と言ってますから、多少誰かが死んだところでそういうものとして受け入れますしね。

 

 ※ あ、一応言っておきますが。旅モノのような楽しみもある、というだけで旅がメインではないですよ。メインは復讐です。殺伐と殺し合います。特殊能力とか使ってバトります。

 

3:真の最終巻

 本作は全3巻で1つの終わりを迎えています。

 が、真の最終巻となるお話が新たに作者自身の個人出版として発売されるみたいなんです。詳しいことは作者である綾里先生のツイートへのリンクを貼っておきますね。

https://twitter.com/ayasatokeisi/status/1555453333833363458?t=ZWfGtXREDf16MV_w-8HB2Q&s=19

 こちらも発売されたあと、メロンブックスに委託などがあれば購入して読んでみようと思ってます。

 

おわりに

 感想をまとめましょう

 ・エリーゼとグランの関係が最高に美しい!

 ・ちょっとダークな旅モノファンタジー、悪魔たちの猟奇的事件のを探る微ミステリーとしても楽しめる!

 ・真の最終巻、発売されたら絶対読みます!

 といったことをお話しました。とても良かったですね! 想像していたよりもエグみが無く、読みやすかったのでそういうジャンルが苦手なわたしでも楽しめました。

 綾里先生の著作で人気なところで言うとやはりBADや異世界拷問姫になりますが、そのうち読んでみる……、のかなぁ? 言ってますがダークなお話は苦手なのですよ、わたし。アリストクライシは3巻の表紙が「これは……、良いカップリング!!」とわたしのセンサーに刺さったのがきっかけで買ったので。

 まぁ、その辺りは今後のわたし次第ですね。

 

 とりあえず、今回の感想はここまで。

 化け物の絆みたいな作品を読みたい方には是非ともオススメな作品。1巻のリンクを張っておくので気になったらチェックしてみてください。

 

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アリストクライシ1 for Elise 「アリストクライシ」シリーズ (ファミ通文庫)

 

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