今回感想を書いていく作品は「銃皇無尽のファフニール」
講談社ラノベ文庫より2013年~2018年に刊行されていた現在15巻+短編1巻のシリーズ。作者はツカサ。イラストは梱枝りこ。
※画像はAmazonリンク(1巻および短編集)
まず、本作の概要から。
""突如現れたドラゴンという驚異に晒された世界。それに対抗できるのは同じドラゴンの力を持つ"D"と呼ばれる少女たちだけだった。しかし世界で唯一、男にして"D"である青年がいた。その主人公・物部悠が"D"の少女たちが集まる学園に編入するところから物語が始まる""
といった感じ。いわゆる、女の子だけの学園に男一人だけファンタジー作品、ですね。
そういう作品なので今回は全体の物語とヒロインハーレムの2点をメインに全体の感想を書いていこうかなーと思ってます。
1:全体のストーリー
全体的な物語の展開としては大きく二段階に分けられます。それは、
・1〜8巻くらいまでの七色のドラゴンと戦っていく前半パート
・それ以降9〜15巻の明かされた事実と新たな敵に対して立ち向かう後半パート。
これは少しネタバレしちゃってる気がしますけど、序盤は1巻ごとに大体1体のペースで、ドラゴンの中でも特別強力な能力を持った七色のドラゴンを討伐していきます。
本作のバトルシーンは、この七色のドラゴンが持つ固有の特殊能力に対して、如何に攻略するかという側面に比重があるように感じました。
予めある程度判明しているドラゴンの特殊能力に対して、戦略を練り、対抗策を考え、準備を万全にして作戦決行。作戦が失敗したときや突然の事態にはどう対処するか。といった具合で「決して失敗のできない人類の驚異であるドラゴンと仲間たちと協力して戦う」というニュアンスが強いようにも感じました。
言うまでもないかもしれませんが、そもそもの敵が人より圧倒的に巨大なドラゴンなので、戦闘は大規模で派手なものになるのでシンプルに怪獣と戦う人類みたいな構図を楽しむこともできます。
2:ドラゴンの力、Dの力について
バトルシーンが魅力と言っても、色々ありますよね。例えば魔法を使った派手な戦いなのか、剣術や武術を使った人間同士のバトルなのか、同じ面白いバトルでもその味わいは違いますよね。
本作は既に述べたように、巨大な怪物を前にして仲間たちと協力してどうやって攻略するか、という面白さがあるバトル。でもって、ここでの面白さはドラゴンの持つ能力と"D"と呼ばれる少女たちの能力がキーになってくるわけで。
その設定について少しだけ説明しておこうかなと。
まず"D"の持つ能力は、七色のドラゴンの中の1匹、黒のヴリトラと呼ばれるドラゴンの能力に由来するモノ。その能力は上位元素(ダークマター)と呼ばれるモノを操る力で、この上位元素は既存のあらゆる物質に変化させることができる性質を持ちます。ざっくり言えば、この能力で武器を生成して戦います。
そして七色のドラゴンはこのような特殊能力をそれぞれが持っていて、例えば強力な斥力を操ったり、例えば触れたモノを風化させる光線を撃ってきたり。
本作では、なぜそんな力を女の子たちだけが持つことになるのか、Dの能力の本質、すなわち世界に何故ドラゴンが生まれたのか、そんな謎に迫っていきます。
この詳しい設定は話すと長いですし、これが本作の面白いところなのであんまりネタバレするのもどうかなと思うのであまり話さないで起きます。
この真相に迫る中では、主人公が唯一の男のDになった理由もちゃんと明かされます。なので、主人公だけ女子の楽園の入ってズルい羨ましい死ねばいいのにと思う読者も一応それで納得しなきゃいけませんよ。
3:ハーレムについて
本作は女の子だけの学園に男一人だけファンタジー作品。である以上、ハーレム系になるのは必然。感想でこの点に触れないわけにはいかないでしょう。
本作のヒロインは最終的には8人
その中でもメインヒロインというか、特別に他のヒロインよりもより主人公との関係が深い女の子が2人。学園に来て最初に出会う銀髪の少女イリスと主人公の義理の妹で学園の生徒会長の深月(短編集の表紙になっている2人ですね)。この2人は物語の進行、主人公との関係では欠かせない存在になっています。更にこの二人の中でも、メインヒロインらしさがあるのはイリスになるのかなぁと。ここは1巻の表紙がメインヒロインの法則的なやつありますね。
とそんな感じですので、逆に言うとハーレム系ではあるけど、イリスと深月以外はハーレム系として彩るためのヒロインという印象が多少あったかなー、って思います。序盤では巻ごとにヒロイン一人一人との距離が近づく話があるんですけど、好きになる理由としてはやや軽かったように。とはいえ、ぶっちゃけハーレム系にそこの深さはあんまり求めちゃダメだと思ってて、わたしは可愛い女の子が可愛ければそれで十分だと感じてます。
また個人的にハーレム系作品って、ヒロインの可愛さを堪能するものだと思ってて、そういう意味ではヒロインが多いからこそ女の子たちだけの日常の和気藹々というのがあるかないかは重要なポイントだと思うんですよね。
その点において、本作は最後の短編集でしっかり満足させてくれます。これはね、めちゃくちゃこの作品の評価したいポイント!
なので、全体的に学園ハーレムファンタジーとしてヒロインたちの可愛さを味わうには十分に良い作品と言えますね。
4:その他、本作の印象的な要素
・お風呂パート
本作には短編集とは別で物語の羽休めみたいな巻もあったり、本編でも日常パートが多いことが特徴として挙げられます。そして、その日常パートはお風呂パートと言い換えても良いくらいにはお風呂シーンが多いです。
羽休めの巻があると言いましたが、その巻では内容のほぼ9割が温泉でした。ツカサ先生がその巻のあとがきで言っていたことを要約すると「元々銃皇無尽では1巻につき1回以上はお風呂シーンを入れたかったけど中々できなかったからこの巻でまとめて放出した」ということらしいです。
お風呂シーンにこだわりがあるようですね。読者がヒロインの肌色を求めていることをよく分かってらっしゃる。ごちそうさまでした(^^)
・絵師あとがき
最近のラノベではあまり見ませんが、ちょっと昔だとちらほら絵師さんもあとがきを書いている作品がありまして、本作もその一つ。絵師さんあとがきは、だいたいがラフ画だったり、本編挿絵にはできなかったけど絵師さんが好きなシーンだったり、あるいはヒロインのコスプレ絵だったり、とりあえず絵師さん好きならあると滅茶苦茶嬉しいサービスになるんですよね。
なので、絵師さんあとがきがある作品はそれだけで高評価しちゃう!
特に本作はイラスト担当の梱枝りこ先生が基本的にあとがきも書かれることが多い方で、あとがきを楽しんで書いているな~って伝わってくるイラストが多いので読者として非常に楽しいんですよね。
・イラストでちょっぴり不満
イラストでヒロインたちが可愛くて良かったのとは逆に、イラストが基本的にキャラしか無かったところは短所と呼べるかもしれません。
というのも敵の挿絵がなかったんですよね。本作はドラゴンとの戦闘も大きな魅力だったから、そのイラストとかあったら更に緊迫感やハラハラ感が伝わって盛り上がったんじゃないかなと思ったりもしたんですよ。ここだけはちょっと不満かもしれません。
おわりに
さて、色々と述べて来ましたがまとめましょう。
一言で超ざっくり言えば「ハーレム系学園ファンタジーを読むぞと思って読めば間違いなく楽しめる作品」これに尽きます。ヒロインたちの可愛さ、それを際立たせる温泉パートや短編集、そして強大なドラゴンとの戦闘。文句なしの作品でしょう。
逆に言えば、この手の作品ってハーレム楽しむぜ! って人じゃないとそこまで楽しめるものではないと思うんですよね。テンプレの王道ってそういうものだと思ってます。
今回の感想はこんなところで。
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