ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part32】おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!

 今回感想を書いていく作品は「おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!」(通称)

 ファンタジア文庫より2011年~2016年に刊行されていた全15巻+スピンオフ1巻のシリーズ。作者は村上凛。イラストはあなぽん

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (富士見ファンタジア文庫)おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!15 大学生編 (富士見ファンタジア文庫) 

※画像はAmazonリンク(1巻および15巻)

 

 まず、いつものように作品の概要から、と言いたいところですが。

 

 今回は予め行っておきます。

 めちゃくちゃネタバレをします。

 シリーズ感想として言いたいことがネタバレなくして話せないので……。

 

 とはいえ、わたしはこの作品はこのネタバレがあった上でも楽しむことができるものだと思っているので、それを信じて見てもらっても大丈夫です。(と、思います……。絶対とは言い切れないですよ)


あらすじ(ネタバレ有り)

 ””高校入学を期に「隠れオタク」になり清楚で可愛い彼女がいる普通の「リア充」を目指すことにした主人公、柏田直輝。

 入学式の日、彼は自分の理想を体現したかのような少女、長谷川翠に出会う。

 彼女とお付き合いしたい、そう思った直輝だったのだけど、ひょんなことからクラスのギャルである恋ヶ崎桃に自分がオタクだと言うことがバレてしまう。

 桃はオタクなイケメンの鈴木が好きだから協力してくれ、自分は直輝が翠と付き合えるように協力するから、と言い出して……。

 直輝と桃はときに衝突し、喧嘩もしながら、お互いの恋路のために協力をする。しかしながら、次第にその気持ちはお互いに向かうようになる。””

 

 といった感じの作品で、ジャンルはブコメですね。

 

 1巻~10巻までが高校生編。

 11巻~15巻は大学生編。

 スピンオフはサブヒロインの一人、桜井小豆のifルート。

 という構成の全16冊のシリーズになっています。

 

あらすじのネタバレ部分の補足

 さて、最初から盛大にネタバレしていきます。

 ええ、直輝と桃はそれぞれ好きな人がいましたが、最終的に直輝と桃の二人が付き合います。

 

 とはいえ、これは1〜15巻まで全て表紙が桃な時点で、この作品のメインヒロインが彼女一人なんだなっていうのは察せる部分ではあります。それに、お互いの恋路に協力し合う同士が好きになっちゃった、というのはある種の王道ではありますし十分に予想はできるところ。

 わたしはそんな風に思いながら読んでました。これは正直、完結済みの長編シリーズだからこそのメタ読みですよね

 

 ですから、わたしのこの作品の楽しみ方というのは「どのヒロインと付き合うんだろう? ワクワク」というよりは「最初は別々の好きな相手がいた二人が付き合うことになるのか?」という方向性になっていました。

 これが良い悪いはともかくとして、方向性が決まっているというのはそれに集中して読むことができるという確かな強みがある。

 

 

サブヒロインが強い!

 作品の方向性が最初から固まっていることは、基本的には読者がその流れに集中しやすくて良いことなのですが。

 しかしながら、こういう作品だからこその問題が一点だけ。

 

 サブヒロイン推しになると辛い……ッ!

 

 何せ、メインヒロインの桃以外と主人公が付き合うことはないって最初から分かっていますからね。

 だというのに、この作品、メインヒロインである桃以外にも魅力的過ぎるヒロインがいっぱいるんですよ。

 あらすじにも書いた長谷川翠。2巻で登場し、小豆エンドなんていうイフストーリーまで書かれた桜井小豆。夏のコミケで知り合った女性漫画家のムラサキさん。

 などなど。

 

 特に小豆にフォーカスした9巻は、もうわたしも頭がおかしくなったくらい辛かった巻ですよね。

 やっぱり、フラれることが前提の女の子っていうのは見ていて悲しいです……。しかし、負けヒロインだからこその魅力はたしかにあった! それだけは間違いないです!

 ※あとでまた言いますが、小豆に関してはifルートとして1冊スピンオフが書かれています。

最初から最後までただのラブコメだった

 個人的に、この作品最大の魅力は「劇的なドラマが存在しない」ところにあると思っています。

 

 これは言葉通りの意味で。

 恋愛って、そのきっかけこそ何か特別な出来事があるのかもしれません。

 けれど、そうじゃない場合だってもちろんあります。

 小さな思い出を少しづつ積み重ねて、それがいつしか何よりも大きな想いへと変わっている、そういう恋愛だってあるでしょう。

 

 この作品はまさに後者。

 ズバリコレと言える特別はないけれど、一つ一つの出来事が繋がって、それが最後のハッピーエンドに繋がるラブコメそんな恋愛模様を描く作品であるから、10巻を超える文量で長い時間経過をしっかりと感じさせてくれる。

 

 これは長編ラブコメとして、非常に大きな強みではないでしょうか?

 それに、こんなラブコメだけをやって10巻以上続けられる作品なんてそうそうないんですよ。普通はラブコメ+αで(αはスポーツだとSFだとかファンタジーだとか、そういうの)そのαの要素があるからラブコメ以外の面白さも描けるようになって、10巻以上になってもダレずに続けることができるんですよ。

 ラブコメだけで10巻を超えられる作品は、それだけで本当にすごいの!

 

 そして、だからこそ、わたしはそんな「劇的なドラマがない」ことこそがオタリア最大の魅力だと思うわけですね。

 

 いや、もちろん、ラブコメ作品のクライマックスとしての告白とかは劇的なドラマなのかもしれないですけどね。高校生編のラスト10巻、大学生編のラスト15巻ではそれぞれラブコメとして最高の結末を見せてくれますし。

 だから劇的なドラマがないというのは、全体的には、という話です。



おわりに

 長くなったので、ザックリまとめますと。

 

 この作品は、ちょっとオタクな高校生たちが普通に恋をするお話、ただそれだけなんです。そして、そのただそれだけが最高に素敵な作品。

 そして、そんな彼らのラブコメは10巻で一度幕を降ろし。大学生以降が11巻〜15巻では描かれ、一歩大人になって自由と責任という要素も加わって。一作品で二度のクライマックスに魅せられた最高の作品でした。

 

 今回の感想はこんなところで。

 気になった方は、以下に1巻のリンクを貼っておくので、そこからチェックしてみてください。

 

Amazonリンク

おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! (富士見ファンタジア文庫)

BOOKWALKERリンク

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