ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part53】悪いコのススメ

 今回の感想は2022年12月のMF文庫J新作の「悪いコのススメ」です。

悪いコのススメ【電子特典付き】 (MF文庫J)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ

 「先輩、私と一緒にこの学校に復讐しませんか?」

 暴言。人格否定。学力差別。価値観が歪んだこの進学校で、その後輩は突然僕に手を差し伸べた。

 黒髪に隠したインナーカラーをなびかせ、悪戯っぽく微笑む彼女の名前は星宮胡桃。

 「私、退学するんです。でも、逃げただけになるのは絶対に嫌――だから先輩、一緒に学校を壊しましょう」

 有無を言わさず手を握らされ、巻き込まれる。二人ぼっちの反逆の日々。

 放課後、二人きりの部室で、僕らはテロを企てる。そして、不純異性交遊に勤しむ。罪を重ね、唇を重ね、背徳的に堕ちていく。

 「ねえ、先輩。キスも立派な反抗になると思いませんか?」

 これは常識を捨て、優等生をやめ、大人への反逆を誓う――そんな僕らの、悪いコのススメ。

 

感想

 う~ん、これはいいですね!

 きっと誰もが学生の頃に持っていた不満や鬱憤を数十倍に濃縮して爆発させるような作品だ。

 

 本作の舞台はあらすじに述べたように、教師から生徒への暴言が当たり前の成績偏重主義の学校。成績の良い者だけが人間で、そうでない者は畜生の世界。

 そして、これはそんな歪な学校に復讐を目論む二人の物語だ。復讐の方法としては、成績の悪い生徒のテスト答案には暴言を書いて返却する先生に対して、成績の良い生徒の答案にも同じような暴言を書き込んだ困らせてやるようなイタズラレベルのモノから始まり。学校行事文化祭をぶち壊すところまで徐々にエスカレートしていく。

 読んでいて、あーこういう嫌な先生に反撃するのって一度は想像したことあるある、みたいな感覚を覚えるかもしれませんね。わたしとしては小学生のときに読んでいたぼくらシリーズを少し思い出したりしました。

 なので1冊を通した内容としては読んでて楽しいですし、その物語を構築する設定としても申し分ないと思いました。

 

 そして、本作のいちばんのポイントとしては、主人公がそんなエスカレートする復讐の途中で一度は迷いを見せるところだと思っていて。

 悪いことは、どうやったって悪いことなんですよ。そこにどんな理由があろうとどんな思いがあろうと主人公がやっていることは悪です。だから罪悪感が生まれてしまうのも普通のこと。

 きっと現実でわたしたちが悪いことをしようとしたって、どこかで歯止めがかかってしまうのでしょう。そういうこと。わたしたちは学校で嫌なことがあっても、先生に仕返ししてやりたいと思っても、実際にはやらない。

 でも、だからこそだ。

 この作品のどうしようもないほどに歪んだ学校の中であれば、迷う必要などないのだと。罪悪感など持つ必要がないのだと。それに気づいてさえしまえばもう不満を吐き出す爆弾のスイッチを押すのに躊躇いはない。

 盛大にぶちかまして最高の気持ちを味わえる。そこに意味などなく、ただ純粋な爽快感。全能感。多幸感。そして、わずかな虚無感・・・それがあるだけ。

 

 最初にも言ったように。

 きっと誰もが学生の頃に持っていた不満や鬱憤を数十倍に濃縮して爆発させるような作品でした。真面目で普通の学生にはできなかった暗黒の青春がここにはあります。

 

 それを目にしてみたい人には間違いなくオススメできる作品。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)

 設定世界観・・・★★★☆ (7/10)

 キャラの魅力・・・★★☆ (5/10)

 イラスト・・・★★★ (6/10)

 次巻以降への期待・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) 学生の闇を濃縮した暗黒の青春物語がここにある

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

bookwalker.jp

 

 

 

おわりに

 2023年、新年初のブログ感想でした。

 

 これまでの新作感想って、あくまで、わたしがこれまで読んできてTwitterで公開していた感想をブログでも記録に残したくてとりあえずコピペしてるだけのやつだったんですよね。

 

 ただ、せっかくブログで記録を残すならもう少し丁寧に書きたいなという気持ちがあって。

 今後は少しづつですけど、Twitterでツイートする感想との差別化を図りたいところ。とはいえ、これまでにブログに出してきた感想は読んでから時間が経っていることもあってなかなか丁寧に書き直すのが難しい部分もありますが、これから出す感想は、できるだけ丁寧に書いていきたいと思います。

 わたしの手間としても去年は11月くらいから去年1年に読んだ新作の感想を年内にとりあえず出し切ろう、みたいな感じだったのもあって書き直す時間はほとんどなかったですしね……。ただ、そのがんばりもあってある程度は去年1年で読んだ新作の感想は出せたと思うので、今後はリアルタイムで読んだ新作感想がメインになるはずですし、色々丁寧に描くこともできるんじゃないかと。

 

 とりあえず今回は、感想ツイートをベースにいくらか加筆して、また最後の総評の部分で◎や◎++にしている部分が具体的にどういうところを評価したのかが分かるようにしてみているのですが、どうなんでしょうか。もう少し決まったフォーマットを考えた方がいいんですかね。

 しばらくこんな感じでやってみます。