ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part56】喋らない来栖さん、心の中はスキでいっぱい。

 今回の感想は2022年6月のスニーカー文庫新作「喋らない来栖さん、心の中はスキでいっぱい。」です。

 ※現在2巻まで刊行中(2022年11月現在)、2巻まで読了済み。

喋らない来栖さん、心の中はスキでいっぱい。 (角川スニーカー文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 時期はずれの転校生・来栖瑠璃菜は、無口で冷淡な態度からクラスにうまく馴染めないでいた。

 一方、他人の心の声が聞こえる体質で、トラブル無縁生活のためにそつなく立ち回れてしまう鏑木律。

 来栖さんはそんな一見世渡り上手な彼に憧れの眼差しを向け、『鏑木くんと仲良くなりたい』という願いを持つように!

 美少女だけど無愛想、近寄りがたい来栖さん。周囲からは鏑木くんに鋭い眼光を向けているように見えるも、

 (鏑木くん、寝顔かわいすぎ……!? ずっと見ていたい)

 真意は裏腹、心の中ではよくデレていて。

 そしてその健気な想いは――もちろん鏑木くんには丸聞こえなのである!

 

感想

 あらすじにあるように無口なヒロイン来栖さんと、他人の心の声が聞こえる主人公鏑木くん、ちょっと変わった二人のお話です。

 一見世渡り上手に見える鏑木くんに憧れの目を向ける来栖さん。彼女に友達付き合いのコツを教えてほしいと頼まれた鏑木くんだけど、ただ他人心の声を聞いて当たり障りのない受け答えをしているだけで人付き合いが上手なわけじゃないと自分では思っている。でも来栖さんの真っ直ぐな心の声を聞いてしまうと、助けてあげたいと思って……。みたいな感じで徐々に仲が深まっていくのが主なストーリー。

 

 とにかく、ヒロインの来栖さんが純粋すぎて可愛いけど心配になっちゃう作品でしたね。

 来栖さんは無口で、筆談少女。それも常に持っているタブレットに文字を写してコミュニケーションしようとするちょっと新しい筆談少女です。

 そんな彼女はとにかく警戒心が薄い。ほぼ初対面の状態から鏑木くんに対して憧れの目を向けて懐いてくる子犬のような感覚。鏑木くん自身も言うように、簡単に人を信用しすぎでしょうと思っちゃって心配になるんですよね。

 ただ、それもなかなか友達もできず、親からも放任主義で育てられているみたいだし、そういう少しずつ明らかになる背景を考えると純粋すぎるのも納得できるのかな? それに今まで人から避けられ続けていたから、自分から逃げない人イコール良い人というのも分からなくはないですし……。

 一方でそんな背景を持つ来栖さんだから、鏑木くんに懐いている本音とは裏腹に「できるだけ迷惑をかけちゃいけない」という気持ちも非常に強く持っていて、ときに強情だったり自分から関係を引いてしまうときもありました。これは2巻以降で仲良くなる他のヒロインとの交流でも顕著に見られるものでした。

 

 そんな来栖さんだからこそ、心の声が聞こえるということで人付き合いが表面的なものでしかないと一歩引いていた鏑木くんも真剣に向き合って、彼女の問題をどうにかしてあげたいと思うわけですし。本当はもっと色々お話ししたいけど迷惑はかけられない、という二律背反な決して声には出さない彼女の本音を、心の声が聞こえる主人公がしっかり聞き取るというのが本作のストーリーで重要となるポイントなのは間違いないでしょう。

 そういう意味で、少し特殊な二人の関係性を丁寧に描いた作品として満足度の高い作品。とはいえ、1巻ではまだ来栖さんが今の状態になってしまった具体的な出来事などは語られてないので気になるところ。

 

 また、2巻以降のお話と他のヒロインの紹介をしますと。

 本作は無口な筆談少女(心の声が純粋過ぎる)な来栖さんの他に、主人公と中学生の頃の知人で心の声が全く聞こえない霧崎さんと、生徒会長で心の声が大きすぎる雛森さんなどがいます。

 2巻はこの霧崎さんに焦点が当てられた巻であり、心の声の聞こえない(つまりは鏑木くんには伝わらない)彼女の持つ内心が鮮明に描かれていて良かったですね。また来栖さんや霧崎さんの変化によって、それまで人付き合いを表面的にしていた鏑木くんの壁が徐々に壊れてきているので、ここから主人公としてどう変わっていくかも気になるところです。

 そして、3巻が出るのであれば今度は雛森さんに焦点が当てられるだろうと。彼女は2巻までの印象としては自分を可愛いと思っていて、自分に惚れない男子なんているわけない、って思っているような感じの子。ある意味で来栖さんと対照的な感じですよね。そんな彼女は鏑木くんにたびたびアプローチをかけて自分に惚れさせてやろう、なんて画策していますが、これが上手くいかない。当たり前ですよね、鏑木くんは彼女の本音が全部聞こえているわけですし。

 ただ、この雛森さんとの一連のやり取りで「どうですか、今日こそ私のことを好きになるでしょう!」「なんでなびかないんですかー!? むきー!」みたいな感じが正直めちゃくちゃ愉快なので、わたし好きなんですよ。楽しいコメディのノリです。また2巻では来栖さんともお話するようになるのですが、方や本音を言えない筆談少女で、方や内心ちょっぴり腹黒な見た目清楚系、会話が全くかみ合って無くてめちゃくちゃ面白いんですよ。なので3巻以降も是非読んでみたい作品。

 

 さて、今回の感想はこんなところでしょうか。

 基本的にラブコメとなるとキャラの紹介になりますね。本作は魅力的なキャラクターが多くて楽しいので特に偏ってしまった感じもします。

 

総評 

 ストーリー・・・★★☆ (5/10)

 設定世界観・・・★★★ (6/10)

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)

 イラスト・・・★★★ (6/10)

 次巻以降への期待・・・★★★ (6/10)

 

 総合評価・・・★★★(6/10) ちょっぴり変わった設定を活かしつつ、キャラ魅力でしっかり読者を掴むラブコメ

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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