ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part57】Mother D.O.G

 今回の感想は2023年1月の電撃文庫新作「Mother D.O.G」です。

Mother D.O.G (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 猟奇殺人事件が世間を騒がす大都市に、その身に不釣り合いな大きな傘を携えた少女と顔に傷がある恐ろしい風貌の青年の姿があった。

 二人組の名前は夜子とサトル、国際法で開発を禁じられた生体兵器である。

 彼女らの目的はひとつ、【D.O.G】と呼ばれる生体兵器たちを殲滅すること。半年もの間、手がかりすらない事件の話を聞きつけ、はるばるやってきたのだ。

 人を装い群衆に紛れ込む怪物を狩ることが可能なのは夜子しかいない、なぜなら彼らを生み出したのは彼女自身だったのだから――。

 悲壮なるダーク・アクションファンタジー、ここに怪演!

 

感想

 いやぁー、素晴らしい!
 もうめちゃめちゃ大満足ですよ!
 わたしの性癖ぶち刺さりまくってました!


 まず、本作の概要をざっくり説明しますと。
 世界にはD.O.Gと呼ばれる生体兵器、その実験体が溢れ出して密かに跋扈している。ときに残虐な殺人事件を起こしているその化け物を殺して回る夜子とサトル、二人の戦いのお話です。あらすじで述べられている通りですね。
 少し補足をすると、本作は中編連作のような形式で、1話1体の化け物と戦っていきます。

 

 そんな本作のどこがそんなに良かったか、1つづつお話ししていきます。


 まず、夜子とサトルもまた生体兵器D.O.Gです。

 そんな二人が同じD.O.Gを殺している。

 それはひとえに同じ怪物であったとしても二人は「人間」として他者を害する化け物を許すわけにはいかないという信念と、夜子が全ての化け物の始まりとなった最初のD.O.Gであるから。

 

 まず、この前者について。

 同じ化け物であったとしても、その力をどう使うか。本当に心まで化け物になってしまうのか、それとも人として在るのか。

 そんなテーマを掲げながら、本作はオムニバス形式で様々な事件を描いていきます。作中でも語られているように悪を滅する悪の流儀、というカッコよさが存分に発揮されていました!

 これが面白いポイントその1!

 

 続いて、後者。

 夜子が原初のD.O.Gであったということ。

 これがタイトルのMother D.O.Gを意味しているわけですね。生体兵器として初めて成功被検体となったのが彼女で、そして世界中に溢れ出してしまったD.O.Gは夜子の細胞を移植した実験体たち。そんな彼女だからこそ人を害するD.O.Gを見逃すわけにはいかない。

 こういう、世界中の化け物を生み出してしまったきっかけが自分だから、自分がそのケリをつけるみたいな設定、わたしもう大好物なんですよね!

 例をあげるならアマゾンズの鷹山仁みたいな感じ!

 だから、最初に書いている公式あらすじを見て期待していた部分がどんピシャリであったわけですよ! もう最高だよね!

 これが面白いポイントその2だ!

 

 それから、触れるべきは夜子とサトルの関係性。

 サトルもD.O.Gである以上は、夜子の細胞を移植されて生み出されているわけですけど、違うのはサトルは夜子が望んで生み出したD.O.Gであるということ。

 この彼女とサトルの出会いの話、サトルが化け物になった日の話は本作の最後の一編で語られるのですが、これがもう素晴らしいの一言! そこまで戦う姿だけで見せてきた夜子が人であろうとする理由やサトルだけが特別である意味、そういう背景がはっきり分かるともう本当に最高なの!

 さらに設定の面で言えば、夜子は不老不死で幼い容姿のままだとか、能力を使うために夜子はめちゃめちゃ大食い、一方でサトルは何も食べなくても生きられる体質だけど……、みたいな日常で感じられる普通じゃない部分も人外大好きなわたしの性癖にブッ刺さりまくってるの!

 そういう意味で怪物な夜子とサトル、二人だけの特別な関係性というのが本作の面白いポイント3ですね!

 

 あとはそもそも中編連作の形式だから起承転結の区切りが良く読みやすいとか、各話の事件に巻き込まれた人たちの見せる感情や想いなんかも物語を彩るスパイスとして効いているとか、色々と面白いポイントはあったわけですよ。

 

 ただ、まぁ、わたしの感想としてはとにもかくにも性癖に刺さりまくるものてんこ盛りっていうのが大きかったですね!

 なので3つの面白いポイントに絞っての感想にしました! 実際に1つ1つの中編がどんなお話だったかは、この感想で全く触れていないので、そこは実際に読んでみて楽しんでほしいです。

 

 まとめますと。

 悪が悪を滅するダークヒーロー、人外の化け物の生き方というテーマ、あるいは化け物である二人だけの特別な関係性、そういうものが好きな人なら間違いの無い作品!!

 

総評

 ストーリー・・・★★★★★ (10/10)

 設定世界観・・・★★★★★ (10/10)

 キャラの魅力・・・★★★★★ (10/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻以降への期待・・・★★★★☆ (9/10)

 

 総合評価・・・★★★★★(10/10) とにかく最高にわたしの性癖をぶっ刺してくる作品!! 2023年初っ端にやってきた最高傑作!

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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