今回の感想は2023年1月の講談社ラノベ文庫新作「十五の春と、十六夜の花」です。
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あらすじ(BWより引用)
ヤンデレ気味な幼馴染・三城紗弥花に手を焼きながらも、國枝春季はつつがなく高校生活をスタートさせていた。しかしある日、春季は同級生の千崎優紀に紗弥花との関係をからかわれ、あげくにキスまで迫られる。おまけにその様を紗弥花に目撃され怒らせてしまう。誤解を解こうと迎えた翌朝、紗弥花はなぜか二人に分身していた! 両手に花ながら互いに妬み合う紗弥花らに振り回される中、今度は優紀の性別が男に変わったと知ってさらに困惑! 怪現象の謎を追い始めた春季は、優紀が暮らす寺院の"枯れない彼岸花"の伝承が関係していると知り――。徒花の不可思議な力に魅入られた少年少女を巡る新時代の恋愛伝奇ミステリー!!
感想
いやぁ、これは騙された!
幼馴染が二人になってしまい、友人は男になってしまう、そんな超常現象に巻き込まれた主人公。その謎に迫る中でとある伝承に触れて……、というお話。
この本作の序盤の概要はあらすじが丁寧に説明しているので、まずはそれを見ていただきたいところ。そして、このあらすじを見て気になったのなら読んで間違いない作品だと思いました。
なので最終的なネタバレだけはしないように少しだけお話をしていきます。(過程の部分には少し踏み込むので、そういうネタバレもNGな人は見ないこと推奨)
少しだけあらすじの続きを話すと、とある伝承を聞いてすぐに身の回りに起こっている異常事態は「誰かが何かを願った結果、世界が改変された」ことで生じたものだということが分かります。
しかし、ここで分からないのは「誰が」「何を願った」のかということ。終盤にはこの真相が明かされていくわけですがこれが本当に予想外の展開。それも二転三転するような事実が明かされるので息をつく暇がない。
こういう謎を追う作品はその真相でどれだけの衝撃があったかで評価が上下すると思うのですが、そういう意味で、本作はわたしにとって大満足の1冊!
また、”恋愛”伝奇ミステリー、とあらすじに述べられているように本作は恋愛要素も重要な軸としてあって、ラブコメや青春作品としての味わいも存分にありました。
ヤンデレ気味なヒロイン紗弥花からの強すぎる好意や、二人に分裂した彼女たちのやり取り、彼女の愛情に悩む主人公春季の心情、さらには友人の優紀の抱えていた悩み。そして言うまでもなくおかしくなってしまった世界、これらが絡み合って紆余曲折あった彼らの関係性は本当に良いものでしたね。
それから願いが世界を改変するという設定から。
果たして本当の世界、元の世界とは何なのだろう?
という漠然とした問いかけも本作を読む上で考えさせられるポイントでした。謎は全部が全部完璧な答えがあるわけでない、みたいな部分が伝奇モノの要素としての不思議な読後感を深めてくれる気がするのですよね。
またその他、最後の最後まで見所満載になっているので是非一読してもらいたい作品。
騙されたー、と思わず言いたくなる気持ちのいい読後感があることは保証します。
総評
ストーリー・・・★★★★ (8/10)
設定世界観・・・★★★☆ (7/10)
キャラの魅力・・・★★★ (6/10)
イラスト・・・★★★ (6/10)
総合評価・・・★★★☆(7/10) これは騙された! 大満足!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。