ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part38】うちの居候が世界を掌握している!

 今回感想を書いていく作品は「うちの居候が世界を掌握している!」です。

 GA文庫より2012年から2017年まで刊行されていた全16+1巻(短編集の3,5巻)のシリーズ。作者は七条剛。イラストは希望つばめ

うちの居候が世界を掌握している! (GA文庫)うちの居候が世界を掌握している!16 (GA文庫)

※画像はAmazonリンク(1巻および16巻)

 

 

 まずは本作のあらすじから

 

””主人公、笠取真哉は15歳という若さにして世界でも五指に入る大企業オリオンリュートの創業者、そして代表取締役社長。そんな彼はドイツから日本に赴き、そこにある父の友人が経営する貧乏工務店、飯山家に居候することになる。

 飯山家には、真哉と同じ年齢のちょっとおバカで家族思いの長女桃香、一つ年下のクール系美少女な次女莉子、芸術家肌の天才小学生な三女優希、といった個性豊かな三姉妹がいて。

 家族も常識も知らない居候な少年社長と三姉妹たちの温かく騒がしい日常が始まるのだった。””

 

 と、こんな感じ。

 ジャンルとしてはたぶんラブコメ

 でも個人的には恋愛より家族愛の要素が強く、またそれ以上にコメディに比重が置かれていたように感じています。

 なので、アットホーム社長無双コメディ、というのが正しいジャンルかな?


 いくつかのポイントに分けて本作の感想を述べていきます。

 

 

それぞれのキャラが生み出す「家族」の形

 まず本作を語る上で重要なのは、それぞれのキャラの個性と立ち位置、でしょうか。

 

 というのも、家族を知らないままに青年社長となってしまった真哉がこの関わる人々から感じること、それこそが本作の大きなテーマになっているからです。

 

 真哉を中心とした人間関係は多岐にわたります。

 まずは、桃香、莉子、優希の三姉妹の家での居候という関係。そして、個性的な三人はそれぞれ違った方向性から真哉と関っていくことになります。恋愛だったり、友情だったり、あるいは無邪気に懐いてくれる妹分だったり。

 次は、会社関係。秘書のルファやCEOのキルマン、小雪や愛など。ここは物語の大筋にも大きく関わってくる場所。家族というよりは、仲間というものの近いでしょうか。

 そして、そんな周囲キャラ一人一人が持つ、それぞれの家族の形。言うまでも無い三姉妹の見せる家族の愛情。それから子煩悩なキルマンとちょっと反抗期な娘だったり、傍から見れば淡泊にも見える愛と母親の諜報親子だったり。他にも、真哉の義妹や、12巻で登場したとある姉妹の話などなど。

 

 真哉が社長としてよく口にする言葉に「物事は多角的に見なければいけない」というものがあります。

 こうして周囲のキャラを見てみると、まさしくこの作品自体が「家族」というものについて多角的に表現しているように、そんなふうに感じられるのですよね。

 

 家族をテーマにした作品ですけど、これだけ多岐にわたる人間関係を拾って描いているのはこの作品の大きな特色の一つ。

 また、こういう多くのキャラを出して見せることができるのって、長編シリーズとして巻数を重ねているからこそ生み出せる味わいですよね。これがめちゃくちゃ面白いのですよ!



キャラ個別の紹介

 キャラ同士の関係性が重要、という話をしたので。じゃあもう少し具体的にそれぞれのキャラがどういう立ち位置で、どんな魅力があったのかというキャラクター紹介をしようと思います。



・笠取真哉

 本作の主人公で少年社長。

 10歳で大学卒、11歳で博士号、12歳でオリオンリュートの会社設立。

 その天才ぶりの背景には、幼い頃から科学者な母親による高度過ぎる教育のみを受けたことがある。しかしその母親は教育を終えるや否や姿を消し、真哉は一般的な家族の形や愛情というものを知らないままに大人の世界で生きてきた。

 そんな彼は、飯山家に来て、初めて家族というものに触れることになります。既に言いましたが彼が関わる人との関係性が本作の大きな魅力ポイント。

 それからスマホ無双」をする社長でもありますね。後ほど詳しく説明しますが、これが本作がコメディに振り切れる最大の要因です笑。

 

 そして、そんな飯山家の家族を構成するのは三人の姉妹と真哉の亡き父の古い友人である三姉妹のお父さん。

 

・飯山桃香

 飯山家三姉妹の長女。

 彼女は真哉が社長であることや、その周辺の事情について、全く知らないし気づくこともない。

 騙されやすく天然でおバカな子ですね。

 それでも三姉妹の長女として家事全般を背負う家庭の中心となっていて、本作においては日常の象徴としてあり続けます。



・飯山莉子

 飯山家三姉妹の次女。

 桃香とは対照的に、彼女はむしろ真哉の事情を知り、その上で積極的に踏み込み支えたいと願うようになっていく子。

 中盤あたりからは真哉の衛星兵器も普通に使っちゃって、終盤は真哉を支える存在になるために自分の将来を悩み。家族となる一つの方法「恋」をもっとも深く象徴したのが莉子だったのではないでしょうか。



・飯山優希

 飯山家三姉妹の末っ子。

 彼女は癒やしですね。

 幼い彼女は大人の事情や家族の苦労は分からなくて、無邪気に作品を照らす光のような存在。そして芸術家肌の天才でもあり、要所要所でその実力を惜しみなく発揮しては真哉すらも驚かしていました。

 優希はとにかく癒やし。

 また、詳しくは言いませんが、最終巻の彼女は必見です。



・ルファ

 真哉の社長秘書として、会社で右腕となっていたルファさん。

 常に真哉の突拍子もない行動に振り回されながら涙目になっている場面の多い薄幸系美少女です。

 家族ではなくとも、会社という真哉にとって最も大切な場所で、最も近くで支えてくれる。ある意味でこれもまた重要な関係性でした。

 何よりも、本作では常にあらすじを語るというコメディの役回りもしっかり果たしている本当に有能な秘書さん! 是非ともこの作品は背表紙のあらすじにも着目して読んでみることをオススメします。

 

その他

 三姉妹の父は、真哉の両親と面識があり、終盤ではちょっとしたキーパーソンになりますね。そして会社関連で言うと、既に少し名前を挙げましたが、終盤のキーパーソンとなるCEOのキルマンや、ネットワーク関連のスペシャリストな小雪、諜報活動を中心に裏方で活躍する愛などなど。

 

 一人一人語ると長くなるので少しここは省略。基本的な主要人物は社長、三姉妹、社長秘書の五人という認識でOKってことですね。

 

 ※個人的には、12巻で本編とは全く別に描かれた二人の姉妹についてはもっと語りたいのですけどね。人ではなく、記憶や思い出ではない、また別の角度から家族というものを描いてましたからね。




作品のストーリーについて

 物語の中心は、主に真哉の会社関連から派生する事件だったりのアレコレになります。

 ただ基本的には、真哉がハイスペック過ぎてなんとかしてくれる安心感があり、事件とかにあまり危機感やハラハラはなく、日常にプラスされるドタバタを楽しむ感じになっていますね。

 まぁ、そのあたりは家族をテーマにした作品ですから重すぎなくて良かったですね。

 

 にしても、真哉はレーザーで物を壊しすぎですけど笑

 スマホ無双っていうのはこういうことかぁ」

 この作品を読みながら思ったことがこれなんです。

 

 真哉の会社、オリオンリュートは衛星技術で他の追随を許さない技術を持っていて、真哉はスマホからその操作ができます。

 そして真哉には一般的な常識なんか無いですからね。

 衛星でできることは何でもやりますよ。

 レーザーぶっ放したり、特殊な音波振動で人を気絶させたり、ガラスぶっ壊したり、位置情報や立体映像を使うのもお手の物。そんなキラー衛星の数々に、真哉自身の頭脳を合わせて、タイトル通りに「世界を掌握」するほどの無茶苦茶ぶり。

 

 そして、そんな真哉なので14巻では「遂に逮捕」とか言われる始末w。

 すると、こんな無茶苦茶ぶりに振り回されて涙目な秘書のルファさんがめちゃくちゃ可愛く見えてきたりします。そういう意味でもこの破天荒な社長秘書は常に影の立役者というか、苦労人ポジションで良いキャラなんですよ💦

 

最後に

 最後に、本作は雰囲気がとにかくいいということを話して感想終わりにします。

 社長的な常識しかない真哉、天然でボケる桃香、全部分かってて敢えてボケる莉子、天才肌な思考回路な優希。

 そんな子たちの織りなす会話劇が、面白くないわけないですよね。

 

 そして、主人公が真哉だからなのか、地の文すらも自然にちょっとズレたような比喩表現を使ってきて、それがまた面白い。これはもう読んでいて、よくこんな比喩表現が思い浮かぶものだなぁと作者さんに尊敬の念を抱いてしまうくらい、個人的には刺さった部分ですね。

 単純に語彙が多いだけでできるようなことでもないですし、本当にすごい。

 

 終始日常の温かさがあって、その上でのドタバタコメディ、そしてズレまくりの会話と地の文は、読んでて飽きる場所がない面白さを提供し続けてくれる。

 うちの居候を一言でまとめればこんな感じかな。

 面白かったですね!

 

 以上で、今回の感想はおしまい。

 

 

 1巻のAmazonリンクとBOOKWALKERリンクを貼っておくので気になった方はチェックしてみてください。

 

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