今回の感想は2023年3月のファンタジア文庫新作「あのね、じつは、はじめてなんだ。 ゆるそうでうぶな彼女との初体験まで、あと87日」です。
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あらすじ(BWより引用)
学校一モテると言われながらも、実は童貞という秘密を抱える少年・隼。
彼に初めてできた恋人――それは長い片想いの相手にして、学校一“ゆるい”と噂の少女・日和だった。
しかし――実は彼女も秘密を抱えていた……『未経験』なのである。
「あ、ブラのホック、外れちゃった……留めてくれる……?」
お互いに見栄を張ったデート中も、抑えられないドキドキ。
「え? ……ら、ラブホ? 行くの? べ、別にいいけどさ」
強がりやハプニングが、ふたりの心の距離を近づけていく。
「その、最中に……私の名前を呼んでほしいなって。駄目?」
これは、ふたりが『初体験』を迎えるまでの87日間の物語。
感想
これは良いラブコメでしたね〜
1冊でしっかりタイトル回収して満足できるタイプの作品でした。
まず序盤では、
主人公の隼とヒロインの日和が、高校入学時のとある出来事をきっかけにお互い好きになっていたけれど、言い出せずに1年が過ぎてしまったことがそれぞれの視点で語られます。
そして、好きな人にカッコよく、可愛く見せたいからと自分磨きをした二人はどういうわけか経験豊富な男女として有名になってしまっていた……。
そんな二人が恋人になるところから物語は始まります。
それからは、それぞれ「相手は経験豊富で余裕があるんだ」「自分が実は童貞/処女だとバレたら幻滅されるかもしれない」「ならば自分は余裕のある姿を見せなきゃだめだ」という考えの元で動くのでここで絶妙なすれ違いが起こっていて、旗から見てるとこれがすごく笑えてしまう💦
とはいえ本質的には、どっちもどっちで1年ごしの片思いが成就したという状況なので、常に相手のことを思いやりながら、恋人として付き合える今の幸せを噛みしめている感じなので、もう自然と甘い雰囲気が生まれててこれが最高なんですわ。
しかし、終盤には。
経験豊富だなんて見栄を張り続けた結果起こった事件があって。自分に自信を無くしたり、幻滅されてしまったかもしれないという、さっきまでの良いすれ違いとは打って変わって、負のすれ違いが起こってしまうわけですね。
結局、自分を偽ったって駄目なんだと。
改めて正直な気持ちを告白して、本当の恋人として歩きだした二人。
タイトル通り87日目の初体験を迎えてより一層幸せオーラが増した様子には思わずほっこりでした。
というわけで。
まとめると。
序盤の導入がすごい丁寧で、中盤は良いすれ違いと甘い雰囲気に癒され、終盤は事件から本当の告白、というこの1冊を通した内容がすごく丁寧で分かりやすいのが良かったんですよ。
最初にも言ったように1冊で満足できるラブコメ!
ただ、1つだけ難点がありまして……。
それが主人公に好意を持っているような素振りを見せる、バイトの先輩と幼馴染の女の子の二人。
おそらくはサブヒロインの立ち位置なのでしょう。しかしこの二人はここまでに述べた大筋の物語には関係しなくて、主人公がメインヒロイン一筋なのに、謎にサブヒロイン感を出してきていたので、これが普通にノイズでしかなかったんですよね。正直いらないキャラでした。
主人公とメインヒロイン、あとはそれぞれの親友ポジの四人だったら、展開が丁寧で良い作品がもっと綺麗で良かったんじゃないかなぁと個人的には思いました。
というか、この二人の謎サブヒロインが口絵にまで登場してて、親友ポジとして主人公とヒロインの応援をするという大筋にしっかり関わってくる二人が口絵にいないのマジで謎すぎます。
この二人さえいなければ、文句なしの良質ラブコメと言えたのに……。
あと余談ですが。
2巻以降出すなら、タイトルを少し変えるんですかね? サブタイトルの「ゆるそうでうぶな~」の部分は変えないと2巻以降詐欺になっちゃいますよ。もしも数年後に「お、全○巻でよさげな作品じゃん」って思って読んだら「1巻でタイトル回収するんかい!」ってなる事件が起きてしまいます。
総評
ストーリー・・・★★★★ (8/10)
設定世界観・・・★★★ (6/10)
キャラの魅力・・・★★★ (6/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻以降への期待・・・★★☆ (5/10)
総合評価・・・★★★(6/10) サブヒロイン二人さえいなければ文句なしの作品だったのに……!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。