ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part48】あやかしマニアックス!

 今回感想を書いていく作品は「あやかしマニアックス!」です。

 GA文庫より2011年から2013年まで刊行されていた全5巻のシリーズ。作者は夏希のたね。イラストは犬洞あん

あやかしマニアックス! (GA文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

1:あらすじ

 まずはいつものように本作をあらすじをご紹介。

 

 ””主人公の影森和樹は退魔師の高校生。
 都市伝説や不思議な怪異を取り締まるために日々活動しているのだけど、特殊な性癖を持つあやかしたちが起こすのは怪異事件ではなく変態事件ばかりで!?
 一方、そんな彼の前に現れた転校生の少女、亜璃沙はどういうわけか和樹に猛烈なアプローチを仕掛けてきて、それに幼馴染で従妹の少女ヒカリも対抗してくる。
 変態×妖怪なドタバタラブコメディが始まる。””

 

 と、そんな感じでしょうか?
 変態妖怪たちによるコメディと、二人のヒロインによるラブコメの二本の軸があって、どちらかといえばコメディ要素の強い作品でした。


2:安定した変態コメディ

 というわけで、まずは本作のコメディについて。

 

 一言で言えば、安定して面白い。良。でした。

 

 常に変な性癖を持った妖怪たちが、自分の妖怪としての能力を使ったりして変態事件を起こすみたいなノリがあって。
 各巻、1冊の中では「大きな変態事件」とそれに伴う「小さな変態事件」があって、どちらにせよ「結局そんなオチかい……笑」「そんな動機で事件起こしてたのかよアホかな?」といった感じで見ることができる面白さがありました。
 例を挙げるなら、女の子をぺろぺろしたがる垢嘗や、私を見てと言いながら露出したがる口裂け女……みたいな感じです💦

 個人的には三位一体で、女の子の脚を刈る、女の子が浮いた隙にパンツを取る、女の子を受け止めて新品の高級パンツを置いていく、とかいうパンツ大好き3匹のかまいたちがちょっと好きかもです笑。

 

3:メリーさん&ターボ婆ちゃん

 そんな変態妖怪たちの中でも、サブストーリーの主役と呼べるようなキャラが二人いまして。

 

 それがメリーさんとターボ婆ちゃん。

 

 メリーさんは「もしもし私、メリーさん」っていうアレです。
 和樹の家に居候している女の子で、本作唯一の良心的存在。純粋無垢な幼女で変態性は皆無です。
 しかし、そんな彼女だからこそ本作に登場する数多くの変態妖怪たちと広くコミュニティーを形成することができていて。メリーさんと変態妖怪たちの些細な会話劇というのが幕間で描かれていて、これがなかなか面白いのですよ。

 

 また単純な設定として。
 メリーさんは電話越しでしか会話できない。
 電話越しの相手の背後に瞬間移動できる。
 電話をかけられた相手が振り向いたら殺してしまう。
 だから、和樹の家に居候しながらも和樹とメリーさんは一度も顔を合わせたことがなく、常に電話越しでしか会話ができない、というちょっと不思議な同居関係がいい味を出してるなと思うこともしばしばありました。


 続いてもう一人のサブ主役であるターボ婆ちゃん。
 車と並走して走る妖怪、なのですが。
 そんなターボ婆ちゃんが自身の走る限界を突き詰めていき、やがて音速を超え、光速を超え、世界の理すらも超えていく壮大なサブストーリーは涙なしには見られないのです!
 そして同時にいやそうはならんやろと言いたくもなくぶっ飛んだコメディ加減が癖になります笑

 ラノベですので各巻裏表紙にはあらすじがありますが、毎回ターボ婆ちゃんについて触れられるくらいにはサブストーリーの主役をやってました。
 面白かったですね。

 

4:紙本ならではのワンポイント?

 昨今電子書籍が普及してきていますが、本作には1つだけ紙本ならでは(?)の演出が搭載されていまして。

 

 それがSDキャラを置くこと。

 

 本作では、会話文などの文字数の少ない行の下に生まれた空白に、SDキャラを置きその表情差分によって直上の会話文におけるキャラの表情が簡単に分かるようになっているんですよ。
 これが案外ありそうで見たことのない演出で、めちゃくちゃ良かったなと思いました。


 試し読みした限りですが電子書籍だと、使う端末によって1ページに含む文章量が異なるのでこの演出が「行と行の間にスペースを作って、そこにSDキャラを置く」という形になって変わってるようです。 (※1巻に関してはこの演出が全くないっぽいです。)

 この電子書籍版のSDキャラは会話文のすぐ横に置かれる形になるので、これはこれで会話してる様子がヴィジュアルかされてて美味しいなと思いますが、SDキャラが二人分並んだりするときにスマホの画面だとそれで半分くらい占められてしまうのが少し不便かもしれません。

 なので、もしも読むなら紙本、あるいはタブレット端末等の横幅が広く取れるもので電子書籍がいいんじゃないかと。


5:ラブコメのラブについて(※1巻のネタバレあり)

 ラブコメなので恋愛要素についても感想では言っておかなきゃですよね。

 最初にも言ったように本作はコメディがメインなので、恋愛部分もいくらかはこのコメディを助長する感じがありました。

 

 特にそれを感じたのが、亜璃沙。
 転校生ヒロインとして登場し、主人公に積極的なアプローチをしかけてくるどこかミステリアスな雰囲気を纏っていた女の子、ですが。

 1巻最後に明かされるのが「亜璃沙は異母兄妹でサキュバスの半妖、血の繋がったお兄ちゃんとえっちして結婚したいブラコン」であるという事実。

 

 ……そう、ヒロインも変態妖怪だったというオチです笑

 

 2巻以降はもう隠すことなくお兄ちゃん好き好きをアピールしていて。
 変態妖怪の起こす事件の中ではサキュバスの自分は本当の愛を手に入れることができるのだろうか? と悩んだりして、「そうだ自分が男にTSしてそれでもお兄ちゃんと愛し合えたらそれは真実の愛だ」とか「お兄ちゃんがTSして女の子になっても萌える、むしろ孕ませたい」とか言い出す始末。
 実妹サキュバスさん的には実の兄妹とか性別よりも、サキュバスとしての性質に悩むというちょっとズレている問題意識なのが変態コメディのヒロインらしくてとても好きでした。


 一方で幼馴染ヒロインのヒカリに関しては、もうめっっっっちゃくちゃ嫌いなタイプの幼馴染で読んでてもう苦痛でしたね。
 発売された年代を考えると、ツンデレ幼馴染というのが流行っていたのも理解しますが、それにしたって暴力性が過剰すぎて純粋にヤバい人になっていた感じでしょうか。
 ここに関する不満を語りだしたら止まらないのでこのくらいにしますが、マジで幼馴染のツンデレは簡単に魅了にも地雷にもなるなと思いました。

 

5:巻別満足度と総合評価

 最後に本作の巻別満足度と総合評価です。

 

 まずは巻別満足度。

 特別めちゃくちゃ面白いってことはありませんでしたが、終始安定したコメディがあった作品です。

 最初の1巻2巻あたりは幼馴染ヒロインがきつすぎて大変だったので評価が若干低めです。

 

 そして総合評価です。

 シリーズ全体を通しての満足度は ★6.5/10

 全5巻のほどよく読めるラノベとして満足の作品でした!

 

おわりに

 変態妖怪の起こすコメディ具合が気持ちよく読める作品。

 そんな変態作品らしいサキュバス実妹ヒロインも可愛くて良かったですね。

 

 今回の感想はこんなところで。

 気になったら是非読んでみて欲しいです。

 最後に1巻のamazonリンクとBOOKWALKERリンクを貼っておきますね。

 

 

bookwalker.jp

 

 電子では合本版もあるので、まとめて買うつもりがあるならこちらでもいいかもしれません。

bookwalker.jp

 

 

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