ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part165】電脳バニーとゲームモノ。

 今回の感想は2024年5月のMF文庫J新作「電脳バニーとゲームモノ。」です。

電脳バニーとゲームモノ。【電子特典付き】 (MF文庫J)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 不運×記憶喪失な主人公がギャンブルシティで生き残る!?

 記憶を失った少年・波止場皐月が目を覚ますと、そこは見知らぬ路地裏。ホログラムとゲームが溢れる街中で、ディスプレイからなんとバニー姿の美少女が飛び出してくる。ツキウサギと名乗るこの子は波止場の担当コンシェルジュ。なんと、彼女に従えば、すべての願いが叶うゲームに挑めるらしい!?

「──さあ、私と一緒に欲望の限りを叶え尽くしましょう!」

 記憶なし、住居なし、残金わずか。絶体絶命の状況を打破するためにゲームに挑む波止場の相手は登録者300万人の大人気配信者・櫃辻ミライ。チート・イカサマなんでもありのこの勝負に波止場は勝てるのか!?

 頭脳バトル×サスペンス×バニーなサイバーパンク、開幕!

 

感想

 面白かったですねb
 MFのゲームモノは品質保証がしっかりされてる。
 そう感じられる手堅い物語構成が魅力的な作品でした。


 本作は、いわゆるゲームモノ。
 そして舞台となるのは電脳世界。人々の活動によって発される脳波がネットワークを介して単一のサーバーの動力となるような場所で、そこに生きる人々は互いの願いを賭けたゲームを行い自らの望みを叶えようとしている。
 主人公は目が覚めると記憶喪失で、電脳バニーな案内人ツキウサギに導かれてどうにかこうにかやっていこうとするのだった・・・みたいなお話ですね。


 最初にも言ったように、この作品は物語構成が非常に手堅い。
 ざっくり本作の流れを言えば、
 起:ツキウサギに導かれて初ゲーム、ヒロイン櫃辻ミライとの出会い
 承:舞台となる世界観の説明。主人公の記憶や不幸体質にまつわる謎の提示
 転:強制負けイベント発生
 結:逆境を乗り越えの勝利
 というような感じなんですね。

 これはもう文句のつけようがない構成ですよ。とりあえず最初の1巻、アニメの最初の3~4話くらいとなればこれがベストってくらいの見事な起承転結です。

 そのため第一に本作はめちゃくちゃ読みやすい。素直に楽しめる。そんな作品と言えるでしょう。

 


 そして構成が良いのなら、あとはそこに肉付けしていくキャラや設定、世界観の勝負となるわけですが・・・これもちゃんと面白かったですね!

 

 まず主人公は記憶喪失。さらにはとんでもない不幸体質であるデメリット持ち。そんな冒頭から手詰まりでどうするんだ、という状況があり。

 そこから初ゲームに繋げることで「この世界では、お互いに何らかの望みを持ち、その望みを叶えうる能力を持った者同士でマッチが発生する。そして敗者が勝者の望みを叶える義務を持つ」という基本構造を教えると同時に、ヒロインとの出会い、主人公のひとまずの寄る辺の確保といった展開へと自然に繋げることができる。

 さらには実際にゲームを行うことで、本作のゲームは電脳世界らしい様々な電子的デバイスのアシストを使うものなんだという独自のゲーム性を明示することができますし

 一方で主人公の方にはそういう知識もなければ、何の特別な力もない。むしろちょっと不幸体質であるために今後も苦戦を強いられるのだろう。ということがハッキリ分かるので、ゲームモノにおいて重要な「負けるかもしれないハラハラ感」というのがちゃんと本作では味わえるぞというのが序盤から感じられるのもグッドですね。

 

 そこから本作の重要となる世界観開示パートでは、本作の抱える重要な課題・目標が明らかになり話の方向性が示されていきます。そしてそこに主人公の不幸体質の謎や、失われた記憶の行方が絡んでくることで話に深みが増していきます。

 

 続く強制敗北イベント。

 やはりこれは王道でしょう。

 強敵出現はゲームモノ、バトルモノ、そういうもののお約束でいちばん面白いところです。
 そして本作においては、ここでゲームでは「人の心」のような形のないものでも無理矢理に奪うことができることが分かり、相手によっては負けることの重みが一層増しているのが上手いですね。敗北によって戦う意志がくじけてしまう、という状態を文字通りに描くこともできるわけです。

 

 けれど、負けたままでは終われない。

 最後には勝たなくてはならない。

 そこで迎えるクライマックスです。

 再起の炎を燃やすまでの過程も王道でまっすぐな良さがありましたし。そこから自らの不幸体質を乗り切り、絶対的強者に一矢報いるための手段。まさしく弱者らしい肉を切らせて骨を断つ戦い方で挑むラストバトルはとてもグッとくるものでありました。

 

 そういうわけで、まとめてしまうと。

 独自のゲーム性と謎に満ちあふれた電脳世界を舞台に、弱っちい主人公がどうにかこうにか戦っていくゲームモノのハラハラや今後の物語へのワクワクを非常に丁寧な物語構成で魅せてくれる。

 そんな作品だったということですね。

 とても満足しました。

 

 強いて個人的な懸念を上げるのならば。

 主人公の不幸体質のデメリットがやや強いために、それを乗り越えて勝つ展開にバリエーションをどうやって作るのだろう? ということでしょうか。

 今後もシリーズが続くのならば、ここがちょっと課題になりそうです。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★★☆ (9/10)

 設定世界観・・・★★★★ (8/10)

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10) 

 イラスト・・・★★★★ (8/10)

 次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) 流石MF文庫Jのゲームモノ!

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。 

bookwalker.jp