ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part181】異世界エルフと京大生

 今回の感想は2024年7月の星海社FICTIONS新作「異世界エルフと京大生」です。

異世界エルフと京大生 (星海社 e-FICTIONS)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(星海社ウェブページの新刊案内より引用

 そうだ エルフと京都、行こう。

 『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』の京大卒作家・森田季節が本領発揮! 小説家志望の冴えない京大生と異世界から転移してきた神官エルフの、ほのぼの京都ライフ小説!


 小説家志望の京都大学二回生・真中英勝は、南禅寺裏手の山道を散歩していたところ気を失ったエルフと遭遇??!?

 神官のアスライナと名乗ったエルフは、なぜ異世界転移したのか心当たりがない……。

 真中くんは路頭に迷う彼女??アスラさんを見捨てられず、異世界に帰還する方法を見つけるまでの仮宿として聖護院のワンルームでの同棲生活がスタートすることに!


 平安神宮南禅寺/鴨川河川敷/祇園金閣寺龍安寺北野天満宮上賀茂神社錦市場/八坂神社/哲学の道銀閣寺/京都市動物園鞍馬寺貴船神社渡月橋愛宕山……etc.

 名だたる京都の名所へ、京大生&神官エルフがゆく!

 

感想

 うん、良かったですね!!

 とにもかくにも日常。ある日、出会った異世界のエルフ・アスラさん、彼女が元の世界に帰る方法を探すために京都の名所を巡るお話ではあるのですが、全体的な空気感が完全に日常のソレなんですよね。

 自分も京大生だったら、あるいは京都に住んでいたのなら、より一層共感しながら読むことができたのではないかと、そう思うくらいに地に足がついていて突飛な展開とは無縁な日々の生活の様子が描かれていました。



 そのため、本作の魅力はズバリなんだろう?

 と聞かれると、なかなか難しいのですけど。



 個人的にはアスラさんの目的と性格、そして異世界の存在。

 これが日常のお話ではありながらも、その雰囲気が緩すぎるものにならないように上手くバランスを取っていたのではないかと感じていて、そこが良かったですね。

 

 具体的に述べるならば。

 マナカくんとアスラさん。二人が京都の様々な場所を訪れるのは、アスラさんが元の世界に戻るため。自然に溢れるマナが豊富な地を求めて。という目的があってのことです。

 そのため基本的にアスラさんは、京都の歴史だったり建物だったりを意欲的に勉強して吸収していき。マナカくんはそんな彼女に実際の現地を案内して、その場所を説明して、というそこにはラブコメにおけるデートの様な甘酸っぱい空気はなく、純粋な観光の様子というのが生まれるのですよ。

 そしてその中でわたしが好きなのは、現地人であるマナカくんだからこそ逆に普段は意識しないようなことが、京都について色々調べるアスラさんの口からはすらすらと出てきたりするような感じなんですよね。すごくあるあるって納得できませんか? 自分の棲んでる場所の観光名所の詳しい説明とか案外できないものだし、逆にそういう場所について興味を持って調べている他県の人だったり外国人の方がよっぽど詳しいみたいなやつです。

 

 それから、この空気感というのは二人の生活の中でもしっかり見られていて。

 基本的にアスラさんは、いつか元の世界に帰ることを前提に常に行動をするために。

 同棲生活という文字にすればドキドキな状況でも、実際にそんなフィクションのようなラブコメ展開なんてものは起こらないのです。

 アスラさんにそういう意識が全くないから、ですよね。

 とはいえ、そんなことが起こらないと分かっていても普通の健全な男子大学生のマナカくん的にはそういうのを少し期待していてドキドキしていたりする、こういう部分も非常に分かりみ深いのです。

 わたしだって、美人な年上の女性と急に一緒に暮らすとかなったら、そりゃ毎日色々考えてしまいますでしょうよ。そして実際に自分から何か行動を起こしたりなんかは絶対にできないでしょうし、美人から案内してほしいと頼まれたらそれだけでも十分すぎるくらいに良い思いをしているなと自分を納得させていることでしょうね。

 

 このようにして、本作にはとにもかくにも。

 純粋に男子大学生と異世界のエルフの二人が過ごす日々の様子というのが、非常に解像度の高い現実味をもって描かれるというわけです。

 そして、そんな現実味を強く持ち、実際の京都にあるものを描き、読者の誰もが想像しやすいものであるからこそ。

 今度はそこに入り込んできた、異世界という要素が際立ってくるんですよ。

 現実にエルフさんはいません。マナなんてものはありません。魔法もありません。

 しかしこの作品の京都にはあるんです。アスラさんはいます。そしてアスラさんの口から語られる言葉の源にはそういう魔法や彼女が神官として務める宗教がある別の世界があるのです。

 そのため彼女の目から見た京都という町の解釈や寺院や神社というものが持つ意味。そこには現実ではないファンタジーの何かが必ずあるんです。そしてそれこそが古い歴史を持つ京都という町が持つ神聖さだったり霊的な何かだったりというものをグッと深めてくれるのです。すなわち、読みながら想像する京都の風景というものがものすごく綺麗で幻想的に見えてくるのですよ。

 

 こういうのがすごく良かったなと思っていて。

 やっぱり飯テロ作品だったら、実際に想像して美味しそうこんなものを食べてみたいと想像することを楽しみたいように。

 名所を巡る作品だったら、そこに実際に行ってみたいと思えるような想像を楽しみたいってわたしは思います。

 そして歴史や神話というものに強い縁のある京都だからこそ、そこにある神秘的で霊的なものを異世界という要素によって膨らませていくという描き方が良かったんですよ。最初に言ったようにどこまでも現実に即しながら、そこから想像できる範囲にある非現実があることでより一層のリアリティを生み出しているのですよ。



 だから、わたしはこの作品が好きです。

 読んで良かったと思います。しっかり楽しむことができました。

 そして唯一の欠点が、わたし自身が京都には数回の観光にしか行ったことがないということでしたね。

 

総評

 ストーリー・・・★★★☆ (7/10)

 設定世界観・・・★★★★ (8/10)

 キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻への期待・・・★★★★(8/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) わたしも異世界エルフさんと京都観光したいです!!

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。 

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