ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part184】異能アピールしないほうがカワイイ彼女たち

 今回の感想は2024年8月の電撃文庫新作「異能アピールしないほうがカワイイ彼女たち」です。

異能アピールしないほうがカワイイ彼女たち (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 特殊でも、普通でも。「キャラ」に悩むあなたに幸あれ!

「有史以来、サキュバスってワンパターンなキャラばかりよね」

 ミューデント。それは、第二次性徴期からの若い間だけ、サキュバスや雪女のような空想上の存在の特徴に覚醒し──しかしその能力の小ささ故に、社会に影響を与えることもなく現代社会に溶け込む若者たち。

 普通の男子高校生・古森翼は、幼馴染のサキュバス先輩・斎院朔夜に振り回され、生徒のお悩み相談を受ける【文芸部( )】を立ち上げることに。そんな彼の元に、猫娘(ウェアキャット)のギャルJK・獅子原真音がやってきて……?

「あたしって、みんなより個性弱いよね」「は?」

 ちょっと特殊な彼女たちが抱える、ありふれた思春期の悩み。そんな異能を持った彼女たちに、普通な「俺」ができることって──?

 

感想

 普通と普通じゃない、で悩む少年少女たちの青春作品でした。

 個人的には好きとか面白い、よりは悩ましい作品でしたね。



 本作は、思春期に発症して三十台くらいまで空想上の生物の特徴が現れる不思議な症状が現れるミュートスと呼ばれる若者たちがいるような世界で、サキュバスのミュートスである年上の幼馴染朔夜と生徒のお悩み相談する部活を始めて、ミュートスのヒロインたちと関わっていくお話でした。



 中学生前後で発現するという、特殊な症状。

 それは思春期の子どもたちからしたら、普通ではないことで、症状を発症した人も周囲で症状を発症した人もそれをどういう風に扱って良いか分からないデリケートな問題であるということです。

 それ故にミュートスの子どもたちは、人間関係においてなかなか口には出せないような悩みを抱えてしまっていると。一方で主人公は年上の幼馴染であり、サキュバスのミュートスである朔夜を見てきたからこそ、ミュートスの能力が実際のファンタジーのような大きな力なんかなく、ミュートスの人たちはその少し普通と違うことで周囲からの目が変わってしまうことやそれにより問題を抱えていることをよく知っている。知っているからこそ、常にそんなミュートスと周囲の環境に納得がいかない。

 このミュートスであるヒロイン、ミュートスでない主人公、それぞれの立場がハッキリしていて。それを軸としてミュートスの悩みに向き合うというお話は、特殊な設定はあれど、根底としてはしっかり青春の少年少女というものをこういう世界観らしく真っ直ぐに描いていてとても良かったと思っています。

 そしてミュートスという普通じゃない性質を持ってしまったからといって、それで自分がそういう特殊な人になったわけではない。普通じゃないことをアピールする必要なんかない。それによって誰かから特別視されるいわれなんかない。というタイトルにも通じる本作のこのメッセージ性を感じさせる部分にはグッときました。

 また、主人公のミュートスに対する考えで強く根付いている年上幼馴染との関係性という部分からは、恋愛的な部分での主人公自身の青春味も強く感じて好きなところでした。良いですよね、年上の幼馴染だから頭があがらないし、お悩み相談の部活動なんてものにも関わらされて、それでも強く拒まないのは幼馴染というより純粋に主人公自身の気持ちがそういうことだから……、みたいなやーつ。



 と、ここまでの話だけだと、普通に良かったという話だけで終わりそうですが。

 一体この作品の何が悩ましい、のかといえば単純にこの作品の設定世界観の部分でして。

 

 ミュートスという症状は、どうやら10人に1人くらいの割合でいるようで。

 更にはこの症状が見られるようになってから既に50年ほどが経過しているそうなんですよね。

 

 ……そうなると、このミュートスというものがもっと当たり前の日常で常識として世界には根付いていそうじゃないですかね? 1クラスに4人はいるレベルじゃないですか。だったらもはや高校の中には、ミュートスに対する配慮とかちょっとした設備や特別クラスみたいなものを置いているところも結構ありそうじゃないですかね? そのくらいの世界であれば、一般の人だってそれ相応にミュートスという人たちを目にする機会があるのだから、彼らの持つちょっとした特性がどの程度なのかは分かってるものじゃない? 本作の周囲の人々のミュートスに対する理解度の低さは一体どういうことなの? 

 

 と、いう疑問が次から次へと浮かんで来てしまうんですよね。

 あくまでわたし個人の意見ですが、異種族異種間って言うのは設定こそが命で、どういう性質があって、それ故にこういうキャラが生まれて、そして物語が始まる。という設定が全ての土台になっていると言っても過言ではないくらいには設定世界観を重視しているのです。

 そういう意味で本作の世界観は果たしてどうなんだと、そう思ってしまいまして……。

 

 でも、別にそれはこの作品においてすっごいどうでも良かったんですよ。

 本作は高校生の少年少女の話で、ミュートスが発現するのは中学生くらいの時期なんです。そして発現の時期は三十台くらいまで。

 どれだけ世界的に常識的なものと根付いていたとしてもまだ子どもの彼らからしたら、ミュートスは基本的になじみがないもので当たり前ですし、自分の親世代は発症していても既に症状が治まっているのですから、身近にミュートスの知人がいる機会はあまりないのでしょうね。だったら、最初に述べたような症状が出た人もそうでない人もそれぞれが距離感に悩んでしまって、ギクシャクしてしまってみたいな問題があっても全然おかしくないんだなと。

 ……、そういう解釈で普通に納得できたんですよねぇ。

 それでも学校とか社会的な環境がミュートスに関する配慮とか認知を広めようとするような背景が見えない部分は気になりますが、本質的に少年少女の青春という部分にそこまで深く関わるような話でない限りは、どうでもいいことですしね……。



 というわけですので、本作の感想としては

 青春作品としては良い作品だったと思いますが、異種間異種族好きな個人的には悩ましい作品でした、ということですね。

 これは完全にわたしが自分の異種間異種族というものへのこだわりが強いが故の弊害という感じがしますね💦

 でも、しゃーないじゃないですか、こういう設定を見たらわたしはそういうのを期待して読んでしまうんですって……、異能アピールしないという作品にこういうこと言うの本末転倒すぎますが、特殊設定の部分をもっと見せて欲しいのですよ……。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)

 設定世界観・・・★★☆ (5/10)

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻への期待・・・★★★ (6/10)

 

 総合評価・・・★★★(6/10) 結論、やっぱりわたしは異能アピールをしてほしいんだと実感しました。

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。 

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