ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part185】夜が明けたら朝が来る

 今回の感想は2024年8月のGA文庫新作「夜が明けたら朝が来る」です。

夜が明けたら朝が来る (GA文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 本州と九州を隔てる関門海峡。その九州側――福岡県門司港に住む高校生のアサはママと二人暮らし。

 アサには推しの人気歌手「Yoru」がいる。音痴な自分もいつか歌が上手くなりたいとスナックで働くママに歌を教わる日々。

 そんなある日、推しが突然活動を休止。さらに衝撃の事実が判明する。

 「ママは本当のお母さんじゃない」

 生まれた時に事故で取り違えられたらしい。そんなはずない、と動揺するアサは海峡の向こう側・下関に住む本当のお母さんに会いに行く。しかし、取り違えられていた相手が「Yoru」だと判明し……。

 これは、家族がもう一度家族になるための物語。

 

感想

 これは良い作品でした。

 母と娘、それぞれの想いに胸を打たれてしまう単巻でとても綺麗にまとまったお話です。



 本作の主人公・高校生の少女アサは、ママと二人暮らし。

 推しの配信者歌い手である「Yoru」に憧れて、自分も歌が上手くなりたいと思って歌が上手なママに教わるものの中々上達しない。

 ある日、Yoruが活動の休止を宣言。それにショックを受けるのも束の間、アサは生まれたときに取り違いをされていたことが判明する。衝撃の事実に戸惑いながらも本当の両親に会うと、そこでは取り違い先の亡くなった娘こそがYoruであることも知ってしまう。

 

 と、あらすじにも述べられているように本作はこういったお話となります。




 この作品の肝はやはり何と言っても、

 娘と母それぞれの抱える想い、これに尽きるでしょう。

 

 アサに突然告げられた、取り違い子という事実。

 それはつまりママが本当のママじゃない?

 ママは歌が上手なのに、自分が上手になれないのは血が繋がっていないから?

 本当の娘であるYoruはあんなにも歌が上手で、それはママの子どもだから……?

 多感な高校生という時期であればこそ、今まで過ごしてきたママが本当の親でないという事実は大きく、それを裏付けるかのように感じる小さなものが目について、不安を抱えて怖くなっていっぱい悩んで……。

 いきなりそんなことを言われたってどうしたらいいか分からない。

 自分がずっと一緒にいたのはママで、これからだってそれが当たり前だと思っていたのに、そんな日常が嘘であるように変わっていってしまう。それがまだまだ大人になれない少女に与える心労がどれほどのものか。

 

 一方で、ママの視点においてもこれが非常に難しい問題。

 自分はシングルマザー。一方の相手側の父母の家庭は裕福で、アサが望むことなら好きにさせてくれるような温もりがあって。何より大切な一人娘の幸せを思えばこそ、アサは本当の両親の元で豊かな生活をおくるべきではないか?

 そんな風に考えてしまう。

 それがまたアサにとっては、ママは自分がいない方がいいの? 一緒にいたいって思ってくれないの? と不安を膨らませることになってしまっても親の立場から自分の気持ちを子どもに押しつけるわけにはいかないという葛藤があり、どっちの立場の気持ちも理解できるからこそ非常に読んでいて胸が締め付けられますよね。



 ただ結局のところ。

 どんな事実があったとしても。

 アサがママを大好きな気持ちは変わらないし。

 ママがアサを大切に想う気持ちは変わらない。

 そしてそれは相手側だって同じ。Yoruが両親へ向ける想いも、アサの本当の両親が娘たちに向ける気持ちも。

 だから大事なのは伝えること、ただそれだけ。積み重ねた時間。自分の育った環境。親から貰った大切なもの。この先の未来の日々に願うこと。その全てに正直に向き合っていくしかないのです。

 アサが選ぶ決断。ママと両親に伝える気持ち。その全部があふれ出すクライマックスはそれまでの苦しみを振り切るような不格好な力強さと母娘の絆の温もりにあふれていて胸に染みるものがあったと思っています。



 また本作における舞台。

 海峡を挟んだ先の福岡と山口という、この絶妙な距離感。

 これがまたママと本当の両親の狭間とそれに悩むアサの気持ちを描く上でかなり大きな影響を見せていて、物語の魅力をグッと引き立てていたのも良かったですね。




 

 ……、とここまで良いところしかないような感想を述べてきました。

 いや、実際に作品そのものは良かったですよ。単巻作品として見て非常に丁寧な展開で、母娘それぞれが願うもののメッセージ性や優しさに溢れた素敵な作品だと思います。ライト文芸とかが好きな方はきっと好きになれるお話じゃないかとオススメもしますよ。

 ただここはわたしのブログの中なので、わたしの素直な気持ちを打ち明けますが……、

 

 こういう話を特別好きだなぁって思うことがないんですよねぇ・・・

 

 どこまでいっても良い話で良かったで終わってしまう。

 わたしがフィクションにはとことんフィクションであることを望み、現実味よりも非現実味を感じて物語の世界を見ていたい、と思うタイプの人間だからなんですけど。

 それでもこういう作品をときどき手に取るのは、そんな中でも自分に刺さるものがあるかもしれないという期待や希望が少なからずあるからなんですけど。

 今回もやっぱり好きにはなれなくて、、、はい。

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)

 設定世界観・・・★★★☆ (7/10)

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) 母と娘それぞれの見せた想いに胸を打たれる作品です。

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。 

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