ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part204】死神公女フリージアは、さよならを知らない

 今回の感想は2024年10月のスニーカー文庫新作「死神公女フリージアは、さよならを知らない」です。

死神公女フリージアは、さよならを知らない (角川スニーカー文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 死神は人と繋がり恋することで――最期にすべてを理解した

 

「私は人が生き抜いた末の『死』が観たい。その果てに、なにが遺るのかを」

 『死』を学ぶためだけに現世を旅をする死神がいる。死神公女フリージアトルストイ・ドルシュヴィーア。

 異世界の中でも高位な存在であり、現世の『死』を知りたいと願った彼女は、付き人である少年、《人の死期がわかる》異能を持つ黒朗夏目と、様々な人間の『死』を看取る旅をする。

 寿命という概念と無縁だから、人間と親しくなったことがないから気付かなかった、抗いようのない一つの事実。

 彼女がそのことに気付く、その刻まで――旅は続く。

 

感想

 うん、単巻完結でスッキリ読める作品でしたね。

 面白かったと思います。



 本作はいわゆるローファンタジー作品。

 異世界と現代が繋がってしまった世界において、異世界の「死」を司る死神公女フリージアが、人間であるものの人の死期を見ることができる異能を持つ少年・夏目とともに現代の人々の死を見て旅するお話です。

 構成としては連作短編形式。1つのお話で、1人の死を見守り、そこからフリージアが「死」に伴う人々の感情を知っていき……、というような形で進んでいきます。



 そんな本作の感想として

 

 個人的な印象でまず言いたいのが、絶妙なエグみ具合、ということでしょうか。

 なにせ綾里先生で「死」が関わるお話といえば、まず真っ先に思い浮かぶのはその十八番であるダークファンタジー的なものになるのではないでしょうか。

 同じような現代に近い世界観で異能(霊能)やらが関わる綾里先生の代表作「B.A.D.」は残酷描写がそれはもうなかなかなものでして、非現実的要素が関わらない部分でも想像するだけで凄惨さが伝わってくるようなものが多々あったように思います。

 一方の完全にファンタジーである「異世界拷問姫」などでは、ファンタジーである分だけ現実的ではない殺戮が幾度となく描かれていまして、逆にここまでくると想像して痛みを感じるとは違う面白さになってくるかと思います。

 どちらにせよ、基本的にはエグいわけですね。

 しかしながら、本作はどうでしょう。現代舞台でなおかつ死を学ぶための交流や会話を中心にするために、非常にマイルドな人死にが描かれています。ところどころに異世界というファンタジー要素が加わることで、現実の穏やかさだけでは描けない「死」に対する強い気持ちというのを表現できるようになっており、この際には綾里先生らしいやや過激な描写が伴うようになっていました。

 そうなると、全体的な印象として絶妙なエグみだったなと、まずは思ったわけです。

 

 そしてそんな中で、メインの物語となるフリージアが「死」に伴う人の感情を知っていくというお話が確かな面白さを持っていた。

 繰り返しになりますが、現代的な比較的穏やかな死と異世界のような非現実が加わることで引き起こされる不条理さのある死、その両方があることによって多角的に人の感情を見せることができ、そうであるからこそそんな人たちを見るフリージアの”学び”という部分が存分に描けていたのではないかと。

 これはただ異世界で旅をするだけでは描けなかっただろうと感じる部分で、異世界と現代が繋がった世界観という部分の意味を生み出すという点でも効果的だったように思います。

 

 そしてその短編の上で、フリージアと共に旅する夏目くんとの物語がある。

 あらすじからも概ね想像ができてしまう物語があるでしょうが、短編で様々な死を見てきたからこその2人の物語があり、その点において終盤で確かな変化とそれによる結末というものを描いてくれているので、単巻完結作品としては良い読後感で終わることができていたのが良かったです。

 個人的な欲を言えば、やはりこの手の作品では周囲の人々の物語が中心になってしまって、それを見ているメインの2人の掘り下げがやや弱くなってしまうのがネックかなぁとは思ってしまいましたが。すなわち、フリージアと夏目くんを中心に据えた物語を色々見たいのですけど。――まぁ、そういうキャラ重視の個人的な評価を抜きにすれば、全体的に良い作品だったと思います。

 

総評

 ストーリー・・・★★★☆ (7/10)

 設定世界観・・・★★★★ (8/10)

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) 単巻完結作品はこういうのが良いですよね

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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