今回の感想は2024年9月のファンタジア文庫新作「戦乙女たちと築く元・底辺村人の最強ハーレム ~数万人の女に対し、男は俺一人~」です。
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あらすじ(BWより引用)
滅亡寸前の世界。男は俺だけ、周囲には性に飢えた美少女たち。すなわち――極上のハーレムで邪神を討伐せよ――規格外にHな人類復興ファンタジー!!
「……生き残っているのは、私たち《戦乙女》だけなのです」
特殊な魔力を理由に蔑まれてきた少年・オズワルドが目を醒ますと――そこは、邪神によって滅びかけた数百年後の世界。
邪神への抗戦を続ける《戦乙女》――男が消滅した終末世界で性に飢えた美少女たちは、少年を“賢者”として慕ってきて――
「賢者さまとHなことをしたら……ステータスが上昇した!?」
――彼の魔力がもたらす性的興奮こそ、能力強化の鍵だった!
「邪神の討伐、人類の復興……Hをすれば一挙両得ですね!!」
元・底辺村人の少年が、エロすぎる美少女たちとともに世界を取り戻すべく戦う――規格外にHな人類復興ファンタジー!!
感想
表紙がすごくえっち。
第一声から何を言ってるんだと思うかも知れませんが、大事なことです。
ローアングルの爆乳と淫紋が刻まれたお腹、それどういう服装なの?と思わず問いただしたくなる服装……、こういう表紙を見ただけで「そういう作品なんですね」って分かるのは、購買層を的確に選ぶにあたってはこれ以上なく理にかなっているんですよ。
そういうわけで、まずは表紙がえっちという段階で好評価。挿絵もちゃんと可愛い女の子のちょっとえっちな表情みたいなのは普通に良い感じでしたね。
と、そんな第一印象で始まる本作は、ざっくり言えば、
邪神とその眷属によって滅びかけた世界で、唯一の男となって目覚めた主人公オズワルドが戦乙女として戦う少女たちにえっちなことをするとその力が高まるぞ、という設定で繰り広げられるハーレムファンタジー作品ですね。
ですので、そういうえっちなことをする作品として見ると。
まずは可もなく不可もなく、といった感じでしょうか。
いきなりセックスだ!という雑なえろ描写はなく、基本的にえっち寄りなラノベならこのくらいだろうというという塩梅の描写で、挿絵としても明確にR18というものではないのは個人的には好印象なところです。
なにせがっつりエロを見たいのなら人はエロ漫画とかそういうちゃんとエロが確約されているものに手を出しますから、ラノベでちょっとえっちなものを見たいという読者にはこのくらいがちょうど良いのですよ。特にハーレムファンタジーならなおさら、読者はほどよくえっちなものが見たいのです。
とはいえ、じゃあこの作品のえっちな部分を全部ヨシとするかは別問題で。
シンプルに文章としての内容が……、という。一言で言えば、擬音と♥をめちゃくちゃ多用するんですよね。これが見開き1ページで見たときに目に入る文章の塊となると、ものすごーく異彩を放っていて、どうにもわたしは好きになれないなと感じた次第です。
ですので、えっちな描写に関しては内容そのものは良い塩梅だけど、それに伴う文章が個人的にはイマイチ楽しめなかったかなという印象になります。
そして、えっち以外の部分の感想を挙げていきますと。
まず序盤の導入が描写不足というか、時系列が分からないというか、ちょっと個人的には物語の滑り出しとしては上手く作品に乗れなかったですね。
というのも、本作の描写としてはまず「主人公が賢者と呼ばれていて、幼馴染であり勇者と呼ばれる少女ソフィアを救うために戦乙女とするシーン」から始まり、そこで何らかの不測の事態が起こったことが描かれます。その後に「主人公が普通の村人として暮らす」シーンがあって、直後に「滅びかけた世界で記憶を失い目覚めると、男が自分しかいない」という場面になるんですよ。
しかしながら、どうにも時系列的には「主人公は普通の村人であり」、平和な日々を脅かす敵が現れたから戦っていると「賢者と呼ばれる主人公と勇者と呼ばれるヒロイン」になったが、不足の事態によって主人公は目覚めない状態になって……、という順番のようなんですよね。
これは一見だとすごく分かりづらい。
その上、主人公がただの村人であったけど長い戦いを通じて賢者と呼ばれるくらいには力を身につけたという過程が全く描かれないものだから、主人公の特別な力の由来は分かるのに「ただの村人だった主人公がこんなに強くなったのか」みたいな読者の感動とか思い入れとかそういうものが全く湧かず、最初から普通に強い主人公というふうにしか見えないものだから、元村人要素必要だった?という状況になっているのがなんだかなぁと。
またこの序盤の過去が十分に積み重ねられていないせいで、この1巻における終盤で主人公たちが過去を1つ乗り越えたという実感に乏しく、カタルシスを覚えることができないという点で満足度がやや低くなってしまったかなと。
とはいえ、こういう普通の生まれであることが設定としてあるのは主人公とハーレムヒロインの1人が幼馴染であると示すには効果的ですし、この幼馴染のソフィアがややツンデレちっくなキャラですので、鉄板のヒロインを第一ヒロインに据えるためには必要だったと考えると、物語的な部分よりやはり可愛い女の子とえっちなことをする作品としては良かったのではとも思えるのです。
また「村人→賢者→目覚めたらただ1人の男」という3段階があり、特に重要な戦乙女としてソフィアを救ったときに生じた何らかの問題により現在の状況に至っているが、主人公がその中間となる2段階目の賢者である前後の記憶を失っていることが物語的には気になる謎としてしっかり残されているのはシリーズものとしての今後を見据えて楽しめるからそういう意味では序盤の描写不足もそういうもの、として見れば良かったのかもと思うんですよね。
それから、別の点として気になるのは、ヒロインの登場頻度のメリハリでしょうか。
ハーレム作品であれば、色々な女の子が登場するのは当たり前です。
女の子に囲まれる主人公をどんどん描いてくれとも思います。
しかしながら、常にヒロインがいっぱいいれば良いというわけでもなく、ハーレムを拡大していくにあたっては1人1人のヒロインの個別パートというのも大事なわけですよ。そしてこの個別パートにおいては、主人公とそのヒロインの1対1で距離感を縮めてほしいと思うのです。そこでそのヒロインの個性を存分に出して、彼女が主人公に惚れる理由をハッキリさせてくれ。
ヒロインズが全員で主人公といるシーンはそれ相応のハーレムむふふな描写を描く、そうでなくヒロインと個別で距離を縮めるところでは他のヒロインは目に入らないような状況を描く、というメリハリがあってこそ複数のヒロインが登場する作品というのはその魅力を一段と増すものだとわたしは考えています。
そういう意味で本作は、そのメリハリがやや弱かったなと感じます。複数のヒロインが登場するは良いですけど、その1人1人のフォーカスが十分でないために複数のヒロインから読者が特に「好きなキャラ」というものを感じられるような点が少なかったんですよ。
最初に述べたような、雑なエロ描写を読者が求めないのと同じように雑にヒロインが多くてハーレムっぽくしていれば読者が喜ぶわけでもないのですよ。
と、そんなところでしょうか。
まとめますと、表紙から分かるえっちなやつ。内容も読者がハーレムファンタジーとして求める良い塩梅のえっちなやつ。しかしながらハーレムモノとするなら、もう少し1人1人のキャラの魅力を見せて欲しい。物語としては先が気になるものではあるけど、やや序盤の描写不足や村人設定の必要性が引っかかるか? といった感じになりますね。
総評としては、普通に良かった作品、続きが出れば普通に買うくらい、でしょうか。
総評
ストーリー・・・★★★ (6/10)
設定世界観・・・★★★ (6/10)
キャラの魅力・・・★★★ (6/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻への期待・・・★★★ (6/10)
総合評価・・・★★★(6/10) こういう作品はなんだかんだでたまに読むと良いんですよね
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。
