ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part227】白いドレスと紅い月がとけあう夜に

 今回の感想は2024年12月のスニーカー文庫新作「白いドレスと紅い月がとけあう夜に」です。

白いドレスと紅い月がとけあう夜に (角川スニーカー文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 通じ合えた時、謎は解ける。女剣士と吸血姫が挑む謎解きファンタジー

 人間と魔族が共に暮らし始めるも、なお絶えない両族間の事件にあたる《特務隊》。

 ある夜、事件現場に駆けつけた剣士の隊員・リンが目にしたのは――血濡れた可憐な吸血姫・ラヴィアと、特務隊員の首なし死体だった。

 リンは現場証拠からラヴィアに犯行は不可能と考えるも、彼女は唯一の容疑者にして上級魔族の吸血鬼。

 ラヴィア確保を主張する隊長を説得するため、リンはラヴィアと「自分以外の人間の血を吸わない契約」を結ぶ!

 行く当てのないラヴィアを住まいに招き、真犯人を捜すために始まった同棲生活。

 事件の謎を解きながら、血と情が溶け合う日常は、次第に種族を超えた絆を深めていく――。

 

感想

 ファンタジーを活かした事件の真相、面白かったです。



 本作は、人と魔族との争いが終わったあとの世界が舞台。

 表向きは和平の道を進む両種族ではあるけれど、勝者である人は魔族を虐げ、敗者である魔族側は抑圧された生活に不満を抱えているような空気の中で、吸血鬼の領主が治める街で殺人件が起こる。

 《特務隊》に所属する少女リンとその仲間であるルゥ、二人の勤める詰所の中で目の当たりにしたのは、同僚と思われる少女の首ナシ死体とそこにいる領主の娘である吸血姫の少女ラヴィア。

 唯一の容疑者であるラヴィア、しかし状況を見れば彼女が犯人とは思えない。人と魔族との関係を乱すためにこの事件を手引きした何者かがいる――その真犯人を追い求めてリンとルゥとラヴィアの三人は仮初めの同居生活を始めることに。

 

 と、そんなあらすじで始まるお話でした。

 ジャンルとしてはファンタジー×ミステリ、そして主要人物は全員女の子ということで百合の要素も含まれる作品でした。




 まず、そのファンタジー×ミステリの点に着目すると。

 しっかり面白かったと思います!

 人外の魔族という生物が関わる事件だからこそ、通常の人基準では解決し得ないトリックが介在するという点を上手く活かしていました。

 またミステリを読み慣れない人にも読みやすいことを意識して、その事件のトリックの謎は主に物語前半で情報を出し切った上で解決まで導いていたのは本作の印象的なポイントでした。すなわち1冊をかけた壮大な謎ではないからこそ、読者に要する読書カロリーをほどほどに、導入として丁度いいものになっていたのではないかと。

 そしてこの前半部で事件のトリックが明かされ、後半からは如何にして真犯人の正体究明とその確保に乗り出すかという方向で話が進んでいくことで、純粋なファンタジーモノのラノベとしての面白さが深まっていく。しかしその土台としてはしっかりミステリが根付いているから、作品全体としてはやっぱりミステリであると。そんな塩梅が見事だなと感じる作品で、全体の構成はとても楽しく読み進めることができました。

 

 続いて、主人公サイドの3人の関係性。

 いわゆる百合的な要素に関する部分、これも十分に良かったと思います。

 ラヴィアは吸血鬼でありながら、人と魔族の和平がなった世の中では自由に吸血をすることができないために、人で言うところの栄養失調的な状態になっているような状態で。しかしリンは過去の経験から魔族に対する嫌悪感を持たず、真に平等でありたいと願うことからそんなラヴィアのことも受け入れる。

 吸血鬼と言えば、吸血。その行為を通じる中でお互いに相手を知っていき、徐々にほぐれていく感情はなかなかに良いものでした。

 またリンを敬愛する同僚のルゥとの関係性。これに関してもしっかりルゥが持つ秘密が、リンの過去とラヴィアの吸血鬼としての鋭敏な感覚を通じて深掘りされることで、絶妙な距離感のもどかしさと強い友愛を感じさせるものとなっていて個人的な好みにしっかり刺さるところとなりました。

 

 ただ、あくまで個人的な観点で感想を述べると。

 異種族恋愛として見たときには物足りなさを感じてしまいましたね。

 というのも、異なる存在であることの枷をあまり感じなかったのですよ。これは環境的要因しかり、生物的要因しかり。異なる存在であるからこそ、関係を深めるときには何かしらの障害が生まれてしまう、差異に対して向ける感情が生まれてしまう、そういう部分をもう少し重視しないと異種族の魅力は出てこないのかなと。

 本作の吸血鬼であるラヴィアとのアレコレが吸血という一点で終始していたのは、まさしくこの物足りなさを感じた部分でした。ただ純粋に事件究明をメインとする物語の中で三人の関係を描こうとするためにどうしても描写不足になっていて、設定と簡単な因果のみで話が終わっていたようにも感じたので、これは今後シリーズが続くなら徐々に深まる場所なのかなとも思います。

 

 

 というわけで、まとめると。

 ファンタジー×ミステリとして、読みやすさを意識しながらもしっかり人外の魔族を活かしたトリックを描く展開はとても見事で、事件の究明をする中で少女たちの仲が深まっていく様子はキャラ小説のラノベとしてなかなか良いもの。ただ異種族恋愛的な部分は個人的な満足には至らなかった。という感じでしょうか。

 ちなみに本作を振り返ったとき。いちばん最初に感想として出てくるのは「ラヴィアパッパめっちゃ良いお父さんやんけ」なんですけどね。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)  

 設定世界観・・・★★★ (6/10) 

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10)

 イラスト・・・★★★ (6/10)  

 次巻への期待・・・★★★☆ (7/10) 

 

 総合評価・・・★★★(6/10) 異種族味がもう少しほしいです(個人の意見)

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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