ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part229】彼女のカノジョと不純な初恋

 今回の感想は2025年1月の電撃文庫新作「彼女のカノジョと不純な初恋」です。

彼女のカノジョと不純な初恋 (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 彼女がいるカノジョと、私は同棲をしている――

 「わたしが勉強を教える代わりに、夏休みまでユキの家に泊めて」

 次に赤点を取ったらひとり暮らしはおしまい。崖っぷちの私・ユキは学校で随一の美人・つかさの提案を流されるまま受け入れた。

 でも、私見ちゃった。つかさが公園で同級生の女の子とキスをしていたところを。妙に近い距離感で私を何度も困らせてくるつかさは、まさかの「カノジョ」持ち。友達の弓莉には、女同士でも「浮気」じゃないかって同棲に反対されたけど、つかさはどこ吹く風。でも私の学力は上がってきてるし、つかさとの生活も楽しく感じはじめている。

「恋愛感情がなければ浮気じゃない」ってそうかもしれないけど、けど――

 ――大丈夫、私が恋を知らないままなら、みんな幸せなままだよね?

 

 

感想

 うーん、これはちゃんと納得感のある複雑な関係だ! 

 だからこそ苦しいやつ!

 

 本作は四角関係百合作品。

 あらすじとしては

「次に赤点を取ったらひとり暮らしは強制終了。そう言われ焦っている主人公・拝島雪は、校内でも有名な美人・碧海つかさが公園で幼馴染の少女・狭山玲羅とキスしているところを目撃してしまう。

 しかし、それは恋人同士の仲睦まじい空気というよりは別れ話のような様子で……、その後家出したというつかさを勉強を教えて貰うという条件で居候させることになってしまう。 その状況を友人の久留米弓莉に相談するとやめておいた方が良いと言われるけれど、実際つかさとの生活に不満はなく、学校の成績も上がり始めていたから止める理由がなかった。」

 そんな感じで始まるお話ですね。

 

 関係性だけをピックアップすれば。

・つかさと玲羅は恋人同士。

・しかし何やら衝突があったようで、つかさは雪の家に居候。

・雪に対して強い友愛(?)を抱く弓莉はそんな状況に苦言を呈する。

 といった感じでしょうか。

 

 果たしてこれがどうやって痴情のもつれへと発展していくのかと。

 そう期待しながら読んでいくと。

 本作の話の中心にいるつかさ、彼女がなかなか厄介なんですよね。

 掴みどころがない性格と言いましょうか。

 玲羅という幼馴染の彼女がいるにも関わらず、雪に対しても近しい距離感で接してきて、甘えるような素振りまで見せてくる。勉強も親身になって教えてくれるしで、雪としてはどういう気持ちでこれに向き合えばいいのかが定まらない。その同じ気持ちを読者も共有するような感じですよね。

 ものすごくぐらぐらした状態の不安の中読み進める緊張感がありました。

 

 その緊張感が解き放たれるのは、言うまでもなくこの1巻終盤。

 話が進む中で玲羅から聞く話があり、何故別れ話のような事態になったのかを知っていき、その根底には玲羅とつかさ家族ぐるみで付き合いがある関係性だったからこその問題が浮かび上がってきて……、あぁ、なるほどそう来るのかと!

 

 一言で言えば納得感しかない。

 そして、そうであるからこそ、理解できてしまうからこそ。

 

 この話に関わった当事者全員の狂い始めた関係と走り始めた感情に、胸を痛めてしまう。

 そういう作品だったわけですよ。



 そう、本当にこんな落とし穴は不可避としか言い様がない。

 

 雪は最初こそ彼女持ちのつかさに戸惑いが勝っていただろうけど、彼女の事情を知ればこそ、彼女の掴み所のなさが本質であると知り、同じような家族関係で痛みを抱えるものだからこその共感も持ててしまう。そうなってしまったら、彼女に対する気持ちの置き所はもう1つに定まるしかないだろうよ。

 たとえそれが泥沼に進む道だとしても。

 

 一方の、つかさに関しては。幼馴染の玲羅を彼女と思っていながらも、雪に対する距離感の近さがあって、その状況に対する正しい理解ができないほどの危うい無自覚さがあったわけだけど。本当の意味で誰かを好きになるということを知ったその瞬間に、自分が立っている状況を理解して幸せと悲しみの意味を同時に知るのだから、そんなのはあまりに皮肉としか言い様がない。

 知らない方が幸せだったのか、知ることが幸せだったのか。

 

 そして、つかさの彼女である玲羅。彼女がつかさに向ける感情は本物で、だからこそ彼女がつかさのためにできることを思ってやった幼い日の行動だったのだろうから、それは決して間違ってるなんて言えないのだけど。それこそが今のつかさの不安定さを作り出してしまったし、そして家族ぐるみの近しい関係だからこそ彼女ではつかさをそれ以上掬い上げることができないというジレンマ。

 誰よりも近くにいるのに、誰よりも心で寄り添えないとかあまりに無情。

 

 最後に、雪の友人である弓莉。彼女はまだ今回の話には深く踏み込んで来なかったわけだけど、彼女が想いを寄せる雪がこの1巻の結論として大きく動き出すことになった以上はただの傍観者で友人ではいられないだろうから、ここから彼女が動き出して如何に関係性に揺らぎを生み出せるかに期待。彼女が何故そこまで雪を大切に想うか、その根幹が明かされて、それによってまたガラッと見え方が変わってしまうのか。

 次の爆弾はこの子ではないかと、個人的には思ってる。



 と、四者四葉で複雑に絡み始めた糸は果たしてどんな結末へと向かうのか。

 これは気になる新作の始まりと言うしかありませんね。

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)  

 設定世界観・・・★★★ (6/10) 

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)

 イラスト・・・★★★★ (7/10)  

 次巻への期待・・・★★★★☆ (9/10) 

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) 不可避の落とし穴、その下は泥沼、ですね。

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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