ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part237】なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ

 今回の感想は2025年1月のファンタジア文庫新作「なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ」です。

なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ (富士見ファンタジア文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 史上最も禍々しいヒロイン爆誕! 第37回ファンタジア大賞《大賞》受賞作

 新入生ヘレシーの召喚獣、ハッピー。彼女(?)は清楚で可愛い相棒だ。『鬆大シオ繧翫縺呻(頑張ります!)』「ひぃ……っ!」――外見はちょっと異形だけど。召喚獣と目指せ、幸せ学園生活! ※周囲は阿鼻叫喚

 

感想

 これは、面白かった、のでしょうか?

 やりたいことは何となく分かりますし、それが面白いと思える人は思えるんだろうなと想像はできるのですが、どちらかと言えばわたしは終始地に足がついていない感覚がしてしまって、not for meだったのかな……、と。




 本作は召喚師を育成する学園に入学した主人公ヘレシーのお話。

 そして、彼が家族同然に育ってきた召喚獣ハッピーは、表紙からも分かるまがまがしい異形で……、そのせいで彼は普通にしているつもりなのに、周囲が変な勘違いをしたり、騒動が起こってしまったり。

 全体的には、勘違いコメディ調が強いような印象の作品でした。



 そして、本作でいちばん最初に目に見える特徴は間違いなく「一人称」だと思います。

 主人公ヘレシーの一人称は全て必ず「やぁ、僕の名前はヘレシー!」という文章から始まり、文末は句点を使わず99割が「!」で占めているものとなっていました。

 そのため、文章から伝わるテンションが非常に高かった。

 このテンションが本作のコメディ色に寄与しているのは間違いなく、また初見でヒロインの見た目と同等に読者の好みが分かれそうだなと感じたところですね。

 

 個人的な気持ちとしては、

 常に常に人を食ったような皮肉めいた思考を持っていて、どんな出来事にも常に一定のフラットなその姿勢を貫く様子は、ヒロイン以上にこの主人公の精神状態がやばいのかもしれない? という気配を感じて、そこが物語が進むにつれてどうなるのかが見所かな? という感じですね。

 ただ、1巻時点では結局このあたりはハッキリしなかったので、なんとも言えないのかなと。



 そして、本作のいちばんの推しどころであった異形のヒロイン・ハッピーについて。

 主人公ヘレシーと、家族同然に育ったという話もあり、主人公との会話はまさしくその雰囲気を感じさせるものでした。文章だけで言えば、たしかに正当に可愛い妹or幼馴染ヒロインのようだと言ってもいいでしょう。

 ただ、それだけといえばそれだけ、なんですよね。

 彼女の異形の見た目によって、SAN値削られた周囲がおかしくなったり、邪教の人々の暴走を起こしたりという物語の火付け役にはなっていたのでしょうけど。異形だからこその展開が基本的にこの一辺倒で終わってしまっていますし。

 実際のところ、彼女が見た目通りの邪神やそれに類するものなのか、ヘレシーとの関係はただの召喚獣とそれを呼び出したものなのか。そのあたりは終盤にハッピーたちの種族と敵対しているらしい天使が現れ、彼女の口から色々示唆されるものはありましたが、主人公とハッピー視点では終始自分達は普通にしているつもりなのにというスタンスだったので、結局白黒ハッキリとはしませんね。

 

 

 では、周囲のキャラはどうなのか。

 クラスメイトの女子レティーシアと、男子のジェイドが口絵にも描かれる主要人物であり、この2人はどちらもハッピーの異形によって精神をやられてしまいます。

 その結果、レティーシアはハッピーの召喚者であるヘレシーの側でだけ安心感を覚えられるようになって、ヘレシーを感じるための不法侵入や窃盗が当たり前の子になり、一方のジェイドは貴族のプライドがズタズタになってそこから這い上がろうと努力をするけれど……、みたいな感じになっています。

 そして、基本的にそれが序盤で描かれて以降、2人はそういうキャラであり続けます。

 それ以上に特に何か物語として大きな動きを出したり、キャラとして魅力的なシーンがあったりは、しなかったと思います。



 

 とまぁ、本作掴み所がない作品、なんですよね。

 主人公自身が正常なのか異常なのかという疑惑がつかない中で、周囲も揃って精神を犯されているものだから、どこを基準にして読めばいいのかがイマイチ分からない。

 

 外からの観測では、人の本質など分からない。と作中で述べられているので、それが本作の本質なのだろうと思いますし。あとがきにおいて、シリアスのような部分も全てギャグだと思って書いています、と仰られているので本作はそういうものだと思って読むべきなのだろうとも思います。

 であれば、個人的にはこういう地に足がつかない感覚をそのまま受け入れることはどうにも肌に合わないなと思ったので、まさしくnot for meな作品だったのだろうなと。

 

 そう思いました。

 

 逆にこういう不思議な何もかもが曖昧な空気のコメディが好きな人にはオススメできるのかもしれません。しかし、それは本作の表紙から異形ヒロインを求めて買った人にはどうなのでしょうか……。やはりそれも分かりませんね。




 ※追記。最後の雑なタイトル回収みたいなものだけは、素直に好きじゃないです。

 

総評

 ストーリー・・・★★ (4/10)  

 設定世界観・・・★★★ (6/10) 

 キャラの魅力・・・★☆ (3/10)

 イラスト・・・★★★★ (8/10)  

 次巻への期待・・・★★ (4/10) 

 

 総合評価・・・★★☆(5/10) これはnot for meでした

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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