【新作ラノベ感想part241】好奇心100 & 警戒心0。 この子はペンギンですか?
今回の感想は2025年2月のMF文庫J新作「好奇心100 & 警戒心0。 この子はペンギンですか?」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
家の裏でマンボウが死んでるPが贈るペンギンとシャチのほのぼのラブコメ!
仁野鋭は無人の教室で熱帯魚が死んでいるのを発見する。
好きな子のミスが原因だと悟った仁野は、チゲスープで水を汚すことで罪を肩代わりした。
だがその赤さから凶器は血だと誤解され、猟奇殺魚鬼・シャチとして学校中から恐れられてしまう。
孤独な彼が出会ったのは、好奇心100・警戒心0のペンギンみたいな転校生、羽柴吟!
吟は仁野にグイグイ接近し、本当は仁野が心優しい人間だと信じてくれた。
さらに、仁野がペンギン(吟)に優しくするだけで、シャチらしくない、と彼の誤解が解けていく現象が発生……!
2人はただ一緒に楽しく過ごす姿を周囲に見せつけていく、名付けて「ペンギンとシャチは仲良し計画」を開始する!
感想
なんだこの可愛い生き物は!?
と、思わず言いたくなるようなヒロインに癒やされるとても素敵な作品……、だからこそ絶賛したいのですが。わたしにとっては、画竜点睛を欠く、と言わざるを得ないエピローグだったなと。
本作の内容はあらすじの通り。
とある事件をきっかけに、学校中から恐がられる主人公が、転校生のヒロインと出会うことでそれが改善していくというお話。
そんな本作、最大の魅力はなんといってもそのヒロイン・羽柴吟。
好奇心旺盛でひょこひょこと何にでも引き寄せられてしまう女の子なんですけど、大抵のことがあまり上手くできなくて失敗してしまう。でもめげずに何度も何度も挑戦する一生懸命な子で、
その様子が天然の子ペンギンを思わせるような愛くるしさでいっぱいの女の子。
この子が、それはまぁ〜、かわいいのなんの。
天真爛漫で裏表がなくて一生懸命、見てるだけで癒される女の子ってこういう子なんだろうなと、読んでいるだけで心が浄化されるレベルの純粋無垢さと言いましょうか。
しばしば見受けられる子犬系ヒロインだったり、猫っぽいヒロインだったり。
いわゆる小動物系ヒロインとでも呼称すればいいのか、そういうヒロインの可愛さの源は、やっぱりそのイメージ元になる小動物が可愛いという共通認識があればこその、そういう仕草をする女の子も可愛いよねという感覚だと思うのですが。
そういう意味では、たしかに本作ヒロイン吟ちゃんは可愛いのですよ。
子犬っぽく甘えてくるとか、猫っぽく普段は素っ気ないのにたまに甘えてくるとかではない、第三勢力とも呼べる「なんにでもひょこひょこくっつっていく危なっかしさから、この子は俺が守ってやらなきゃいけないと庇護欲をバチバチに刺激してくる天然の愛くるしさ」を兼ね備えているのがペンギン系ヒロインなのでしょう。
本作は、そんなペンギンらしさ、実際のペンギンってこういう習性あるよね。みたいなものをしっかり文章で示しながら、
そういう行動を吟ちゃんがしているという状況をダブルで想像することで「ペンギン可愛いほほえま」という気持ちと一緒に「吟ちゃん可愛いほほえま」という気持ちで見守ることができる。
そういう作品にしっかりなっていました。
新しい小動物系ヒロインの魅力がしっかり伝わってきます。
本当に可愛い!この子は汚しちゃいけない!守ってあげなきゃ!そんな気持ちで満たされて幸せな心地になること間違いなしです!
そして、そんな天然モノのペンギンみたいな女の子に救われる主人公・仁野くん。
最初の第一章から、彼女の無垢な優しさに救われて完全に好きになってしまったようですけど。
言わせてもらいます。
それはしゃーないって!!
男という生き物は、自分が辛いときに女の子に優しくされたらコロッと好きになってしまうものなんだよ。特に本作主人公のような、好きな人のミスをかばえるなら自分は悪者でもいいと思うような根が善人すぎて逆にこいつはこいつで天然だろっていうようなやつなら、より一層自分だけで抱えるものが多いだろうから、それを理解してくれる子には弱いでしょうよ。
そしてその後は、読者がそう思うのと同じように。
恋愛のれの字も知らないような純粋無垢、天真爛漫の権化たる吟ちゃんに対して思慕の念を向けていいわけがないと、むしろ自分は救われた側なんだから少しでも彼女のために何かをしなきゃいけないんだと、そう思える仁野くんの姿勢にものすごいわかりみを感じるのも良き!
さらには、好きな気持ちを抑え込もうとはするけど好きな相手の一挙手一投足がもう可愛く見えて仕方ない状態になった彼目線の吟ちゃんの言動への描写、うんうんうんと頷きながら読むことしかできないやつですよ。ずっと言ってるけど、吟ちゃんが極めて可愛いのだから仕方ないんですよ!
先ほどは小動物系ヒロインの魅力を、イメージ元になる動物の愛くるしさがヒロインの魅力と重なることと言いましたが。逆に主人公目線で言えば、この小動物を愛でるようにしなきゃいけない気持ちと、好きな女の子に向ける気持ちという、相反する気持ちが重なることのもどかしさのようなものが存在するわけですと!分かる!ドキドキしすぎてどうしたらいいかわかんねぇよな!分かるよ!
そして、本作のストーリーとしては。
主にこの二人の仲良し大作戦のような奮闘劇で描かれるのですが。
そこでは主に2つの目標があって
「周囲から恐がられている仁野くんが、吟ちゃんと仲良くすることでイメージ改善をすること」
「好奇心旺盛すぎて落ち着きがないことで何をしてもあまり上手くできない吟ちゃんの得意なこと探しを、何でも完璧にこなせるハイスペック仁野くんが手伝う」
というお互いがお互いの弱い部分を助けるそんな優しい目標です。
だからこそ、本作の雰囲気も基本的には優しい。
小動物系ヒロインを愛でるには非常に適した環境と言えるでしょう。
しかし一方で自然界の動物は常に危険にさらされるかのように、終盤ではシリアスな空気もありました。なにせ2人はそれぞれが自分の弱みを抱えている、すなわちそれ相応の過去の後悔があるということでもあり、それに向き合うためには自然とちょっと重たい空気にならざるを得ないでしょう。
また、本作においては主人公の仁野くんが。
本で読めば基本的になんでも出来るようになるという吟ちゃんからは特殊能力呼ばわりされるハイスペック性能を持っていますが。
この現実離れした主人公のスペックは、本作のような小動物系ヒロインというフィクション性を高める要素として機能するものになっていますし、またなんにでも興味を持ってあちこち行ってしまうような危なっかしいヒロインを何があっても守れるという安心感の担保ができ、またそれだけのスペックがあっても周囲の噂や印象というのは代えがたいのだという物語の本筋部分を補強するにも丁度良いと。
ある種、過剰装飾とも取れる最強主人公ではありますが、そこを作品の主題と合わせれば適切に働いていて読み心地を増していたのはとても良かったと思っています。
さて、ここまで絶賛しかない本作ですが。
1点だけ、どうしても1点だけ、それは違うのではと個人的解釈違いを起こしてしまった部分がありまして。
それが最後の引き方。エピローグにあたる部分です。
めちゃネタバレになりますが、あらすじにもある主人公が過去に助けた好きだった女の子が主人公に接触してくる……、というところで終わるんですよね。
いや、その、読後感がっ、悪いんですよッ!!
ここまでわたしが絶賛していたように、本作は二人の魅力を1から9.9まで描いておきながら、何故最後の10をそこにしたんだ! それまでほとんど影も形もないようなヒロインとの波乱を呼びそうな三角関係を匂わせるような展開は、望んでいないんですよ!
まして天然二人で、仁野くんの方は片方めっちゃ意識してて、吟ちゃんは恋愛インストールしてない状態のあの絶妙な片想い空気感が良かったからこそ、そこに割り込みは解釈違いがががが……!
個人的に、この手の第二ヒロインと思わせておいて、実は吟ちゃんの方に興味があって彼女の気を引くため仁野くんに近づいただけで、最終的には天然ペンギン娘溺愛する系の親友枠になるお話とかなら、歓迎しますけど。
そういうお話であれば2巻が出たときに、2巻の冒頭で接触していくるシーンから始めてもいいのであって、わざわざ1巻終盤でやることではないんですよね。
だから、この1巻の引き方としては恋敵となる第二ヒロイン的な立場として見えてしまうので、わたしとしてはちょっと読後感が悪くなってしまっていたなと。
これがもう少し全編通してこの第二ヒロインも匂わせるような部分があれば良かったのですけど、あくまで主人公の過去話だけに留まっていたからなぁと。
ですので、個人的に本作への感想は。
画竜点睛を欠く、という気持ちになってしまいました、と。
とはいえ、吟ちゃんマジで可愛くて癒やしパワー100点満点中の1000点くらい出してくる作品でそれだけで読んで良かったなと心から思っています。それは本当です。吟ちゃんの笑顔を守りたいんじゃ。
総評
ストーリー・・・★★★ (6/10)
設定世界観・・・★★★★ (8/10)
キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)
イラスト・・・★★★★ (8/10)
次巻への期待・・・★★★☆ (7/10)
総合評価・・・★★★★(8/10) 最後の引きを見なければ★9つけるくらいに、吟ちゃんマジでめちゃめちゃに可愛い!ペンギン系ヒロインの時代だ!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。
