ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part259】口もききたくないあいつと、自習室で甘い筆談

 今回の感想は2025年5月のMF文庫J新作「口もききたくないあいつと、自習室で甘い筆談」です。

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あらすじ(BWより引用

 喋るとバチバチ、筆談ではいちゃいちゃ。宿敵を演じる二人の裏表ラブコメ

 柊ヶ丘学園の生徒会と部活連合は対立関係にある。特に生徒会長の「冷徹メガネ男」東口真北と、部活連総代の飄々としたカリスマ女子・西丸何南は両陣営を代表する宿敵。顔を合わせれば口論する日々を送っていた。しかしある日の放課後、東口がひとりで通う学校の自習室に西丸が訪れる。身構える東口であったが、西丸がノートの切れ端に書いてきた言葉は、『……てか、付き合ってる人いる?』 本当は西丸は、東口と仲良くしたいのであった! 二人は宿敵を演じながら、放課後は自習室で筆談する秘密の関係に。東口が初めて知る、可愛くっていたずら好きな西丸の素顔。話せば敵同士、紙の上では付き合う目前(?)の恋の行方は!?

 

感想

 うん、良かったですね。かなり楽しめたと思います!

 全体的な内容はもちろん、ヒロインがとても好きでした。



 本作は学園ラブコメ

 形骸化した生徒会と部活連合によるいがみ合い、それぞれのトップに立つ男女が、誰もいない自習室で秘密の交流をしていくお話です。

 いわゆる現代版ロミオとジュリエットのようなイメージの設定でしょうか。

 

 そんな本作は、物語的な目標としては二人でこのいがみ合いを終わらせること。

 そのために密かな協力関係を作り、月一回の定例会議の方針を二人で調整することで少しづつ生徒たちの雰囲気を変えようとするわけです。

 

 

 しかし、この作品はあくまでラブコメ作品。

 となればメインの二人、

 主人公であり生徒会長の、東口真北(ひがしぐち まきた)。

 そしてヒロインであり部活連合代表の、西丸何南(にしまる なんな)

 この二人による恋愛こそが、注目すべきポイントとなるわけです。

 

 そこにフォーカスしてみると。

 どうもヒロインの西丸何南の方が、真北くんへと想いを寄せているご様子。けれど、その気持ちはなかなか言えず……、

 生徒会と部活連合の確執を無くそうという協力関係は、学校の雰囲気を変えたいという気持ちも本物ではあるでしょうが、それよりも彼女にとっては想いを寄せる彼に近づけるチャンスや建前にもなっていると。

 そういう本質的な部分で、乙女心に基づき想いを隠しながらも、自分の心を満たせるように、表面的には合理的に動くヒロインというのは、どうしてこう可愛らしいじゃないですか。

 

 そして、そんな本音と建前が魅力的なヒロインだからこそ、本作が持つ生徒会長と部活連合代表という肩書と振る舞いというのが、そこにしっかりと引っかかってくる。

 すなわち、真北も何南も、お互いにやりたくて代表をやっているわけじゃないということ。端的に言えば、二人とも周囲からの期待に応えるように振る舞ってしまう人間であるのです。

 そんな二人だからこそ、お互いに共感し合うことができるし、協力し合うこともできる。実際にそれこそが二人の協力関係のきっかけでもあると。

 この共感できる者同士が気兼ねなく本音で語り合えるというのは、恋愛において重要な惹かれるファクターにもなり得ますし。

 対面的に周囲に人がいる状況ではお互いに代表としての振る舞いをしなければならないという二人の染み付いた習慣があればこそ、言葉でなく文字で伝える二人の秘密の筆談は”いつもと違う”という意識を二人にも、読者にも与えてくれる。



 こういう小さな要素が、物語の中心にある二人のラブコメという大きな木の枝にしっかりかかっているような構成、わたしは好きなんですよ。

 

 そしてそういう見方をすれば他にも色々な良かったなと思う要素があって。



 例えば、真北と同じ生徒会の仲間である双子の風子と雷子、さらに部活連合で何南の付き人をする晴子。

 この三人は作中でも言及されるように、名前と性格がなかなか一致していないというキャラです。

 真北と何南が”周囲からの期待に応え続けている人物”であることに対して、この三人は”名前というその人をその人たらしめるものによる影響がないくらいしっかり自分らしくある人物”なんですよね。

 こういう小さな対比があってこそやはりメインの二人の人物に対する印象や見え方が増えていきますし、1巻という物語的にまだサブキャラにスポットを当てられない部分でも、決して無駄なサブキャラにはなっていないというのがわたしの中では好評価できるポイントです。



 それから建前と本音、というのはそのギャップにこそ魅力が生まれるわけでして。

 その点において、西丸何南というヒロインは「メガネフェチ」とかいう謎すぎる個性を引っさげっているのがすごく良かった。

 基本的には飄々としてるタイプなのに、好きなものになるとめちゃくちゃ饒舌に熱くなってしまうタイプで。

 主人公、真北の自分の性格的に合っているという理由だけでかけているファッションメガネに対する言及の火力が高い高い。

 これはシンプルにキャラの個性やャップ萌えを生み出すにも効果的ですし、それ以上に彼女自身の乙女心による嫉妬心が、メガネフェチ故のこだわりと火力に隠されることにより、想いを秘めたるヒロインという形の自然さが増しているというのが良かったんですよ。

 ワンポイントアクセントのキャラ付けとしては見事に成功していると感じました。

 

 わたしの新作感想について少し触れますと。

 基本的に、わたしは1対1のラブコメ作品の感想だと主人公とヒロインという、属性で話をしていることが多いです。個人名をほとんど出さない感想、探せば結構あると思います。

 しかし本作に限っては、西丸何南という個人のキャラを好きだと言える。

 そういう意味で、わたし自身がこうして感想を書きながらしっかり気に入ることができたキャラだったんだなと、改めて思えるところもやはり良かったのだなと。

 ヒロインを好きになれる、それがラブコメではいちばん大事ですよね。

 

 

 あとは本作で重要な要素としては、新聞部でしょうね。

 「なかよし新聞」なんていう煽りのような新聞を発行している彼らは、生徒会にも部活連合にも寄ることのない第三勢力として場をかき乱す学園ラブコメにおけるあるあるなポジション。

 その思惑がどう働くのかが気になるのはもちろん、読者視点だからこそツッコミができてしまう「その思惑、遠からずとも上手く機能しちゃってません?(苦笑)」みたいな彼らの思惑がほんのちょっとした隠し味として良かったなと。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)  

 設定世界観・・・★★★★ (8/10) 

 キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)

 イラスト・・・ ★★★☆ (7/10) 

 次巻への期待・・・★★★★ (8/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) 西丸何南ちゃんのキャラが全体的に好き、恋する乙女心も火力高めなメガネフェチも

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

bookwalker.jp