【シリーズまとめ感想part71】ゲーマーズ!
今回感想を書いていく作品は「ゲーマーズ!」です。
ファンタジア文庫より2015年~2019年に刊行されていた全12巻+外伝短編集3巻のシリーズ。作者は葵せきな。イラストは仙人掌。
※画像はAmazonリンク(1巻と12巻)
- 作品概要
- 1:全体のストーリーについて
- 2:ゲーム好きなキャラたちが持つ好きなものへの想い
- 3:主要キャラへの印象
- 4:過去作とのつながり
- 5:外伝短編集DLCについて
- 巻別満足度と総合評価
- おわりに
作品概要
本作はジャンルとしては「学園ラブコメ」でしょうか。
ものすごく端的に言えば、ゲーム好きな少年少女たちによるドタバタすれ違いラブコメディ(コメディ多め)といった具合です。
そして、本作はその刊行の経緯もあって全12巻の構成として、序盤と終盤がある程度明確に分けられていた作品になっていました。
といいますのも、元々は書籍のために書いていた作品ではなく、短編連載形式で始まった作品ですので初期の1巻2巻ではそういった1話1話ある程度独立している短編の雰囲気が強くありました。
一方で、書籍化してストーリーとしてしっかり長続きすることが3巻以降意識されるようになり、そこからおおよそ7巻くらいまではすれ違いと勘違いのオンパレードによる恋愛のドタバタ模様が楽しめます。
そして8巻~11巻の終盤には、そこまでの勘違いがある程度解消され、改めてそれぞれのキャラが恋愛に真剣に向き合っていくようになります。
12巻はエピローグ的立ち位置です。
それから本作は短編集(外伝?)として、「ゲーマーズ!DLC」のタイトルで全3巻刊行されていますので、シリーズ合計は15冊になります。
少し前置きが長くなりましたが、ここからも少し長いです。
改めて序盤のあらすじについてまとめていきます。
””主人公の”雨野景太”は人見知りでゲームが大好きな高校生。
ある日、校内でアイドル的な人気を有する憧れの存在である”天道花憐”とゲームショップで出会い、そこから彼女が立ち上げたというゲーム部に勧誘される。
ゲーム部の見学に行った雨野だったが、そこで目にしたのはゲームに勝つことを目的としてストイックに活動する部員たちの姿。
第一にゲームを楽しくやりたい。そんな気持ちを持っている雨野はゲーム部への入部を断ってしまった。
きっぱりと入部を断られたことに最初こそ衝撃を受けていた天道だったが、その後雨野がクラスメイトの上原佑と話している場面に遭遇し、そこで雨野がスタンスの違いから入部を断ったとは言え天道たちゲーム部のゲームへの向き合い方は尊敬しているのだという熱弁を聞いてしまう。
それをきっかけに雨野への好意が芽生えるも、ゲーム部に勧誘した者と断られた者でなかなか距離を縮めることができずにいて……
一方、雨野の友人である上原はいわゆる高校デビューした陽キャ男子。
雨野には昔の垢抜けてない自分の面影を感じて最初こそは一方的な苛立ちを感じていたが、一度話してみると雨野がゲーム部への想いを真剣に語った姿から、その人柄に好感を持ち友人となる。
そんな上原は彼女である”亜玖璃”と付き合って半年が経過していたが、あまり進展が見られていなかった。というのも、上原自身が高校デビューした自分に向ける彼女の好意をあまり信じていなかったからだが、ある日彼女が中学時代から自分に惚れていることを知り、改めて彼女のことを本当に好きになってしまっていた。
しかし、こちらもやはり上手く距離を縮めることができずに……
そして天道が雨野に想いを寄せていることを知った上原は、それとなく雨野が天道と仲良く出来るようにお節介を焼くようになっており、その中で雨野の人見知り克服のために趣味が合いそうなゲーム好きな女子”星ノ守千秋”を紹介する。
雨野と星ノ守の二人はすぐに意気投合……したかに思えたが9割一致する好きに対して、1割だけの好みの不一致によって犬猿の仲になってしまう。
しかし、傍から見ている上原だけは知っていた。
雨野がこよなく愛するフリーゲームクリエイターとオンラインのソシャゲ仲間がいずれも星ノ守であること、そして星ノ守にとっての自分のゲームを応援してくれる最古参ファンとソシャゲ仲間が雨野であることを。
まるで運命みたいに結ばれている二人を見て、上原はどうすべきかと頭を抱えるようになって……
一方で、雨野はある頃から上原の彼女である”亜玖璃”から恋愛相談を受けるようになる。
定期的にファミレスに集まりお互いの愚痴や弱音を吐き出す雨野と亜玖璃は、お互いの恋愛を応援する同盟を結成しどんどん交流を深めていく。
しかし、傍から見たら完全にカップルがファミレスで駄弁ってるだけにしか見えない上に、お互い絶対に恋愛感情をお互いに持たないが故にもはや姉弟のような距離感でフランクに話すようになるものだから……””
ひとまずはこんなところでしょうか。
すれ違い勘違いがメインにある作品ですので、その中心にあるメインの5人のキャラそれぞれについてまとめていると長くなってしまいましたね……。
ともあれ本作は、雨野と天道と星ノ守、上原と亜玖璃の3 + 2人の恋愛模様が絡まり合ってどんどん変な方向に転がっていく作品だという認識があればいいのかなと思います。
それでは、以降はシリーズ全巻読んだ感想をいくつかのポイントをピックアップしてまとめていきたいと思います。
1:全体のストーリーについて
せっかく長々とあらすじも書いたので、
最初にストーリーについて触れていきましょうか。
まず率直な気持ちとしては、すごく好きでした。
本作の肝となるのは「各キャラが持つ情報量の格差」にあったと思います。
それはあらすじにもある程度含めた部分ですが、
特定のキャラのみが知っている情報であったり、
傍から見た際に事実とは異なる情報を得てしまうことだったり、
あるいは天道が雨野に(上原が亜玖璃)惚れるきっかけになったように面と向かってではなく偶然話を聞いてしまうことが、断片的な話だけを聞いてしまうような状況になったり、
そういった情報の錯綜によって最初から明確であるはずの恋愛の矢印がどんどん乱れていくというのが本作のいちばん面白いところです。
よくもまぁここまで拗れることができるなと、物語としてもそんな話を構築する作者の手腕としても感心しかできないテンポの良さがありました。
そして各キャラが情報量の格差があり乱れていく様子というのは、読者という全情報を持っている立場だからこそ見ていて楽しめるものがあると思っていて。
例えば、これが1対1恋愛であるとして、主人公視点でずっと話が進み、その中で主人公とヒロインの間には色々なすれ違いがありそうだと推測は出来るものの、それが本当かどうか分からないというハラハラ感は主人公に共感しながら読めばこそ味わえる面白さだと思います。
一方で、本作は各キャラ視点がしっかりあるので、読者目線では誤解のオンパレードになっていることが”事実”として明確に分かっている状態です。だからこそ、そこにはある種の安心感があるけれど、逆にこのすれ違いはどこまで加速するんだろうというワクワク感が生まれてきて、毎回毎回どんどんおかしな方向に拗れていく恋愛模様というのを楽しめたと思っています。
そんな勘違いやすれ違いがメインでコメディ強めの展開は、先述の通り主に序盤の7巻くらいまでのお話になっております。
そこからはしっかり恋愛に向き合うパートになるわけですが、こちらに関しても概ね楽しめたと思っています。
しかしながら、個人的にコメディ多めの雰囲気が非常に好きだったこと、また恋愛面に関してはメイン5人の中の一部キャラにあまり好感が持てなかったことがあり、相対的な満足感は序盤に比べて下がってしまったかなと思います。(この話については後で書きます)
とはいえ、全体のストーリーとして見れば拗らせたまま終わることなく、それぞれのキャラがしっかり努力して向き合って着地することができていたので、全部読み終わった読後感としては満足できるものでした。
ですので、シリーズを通した総合的な評価はとても良かった、楽しかったというものに落ち着いています。
2:ゲーム好きなキャラたちが持つ好きなものへの想い
本作を読んでいて好きだなと思った点に、ゲーム好き(というよりも、好きなものがある人だからこそ)のセリフが多数あったことです。
それはいちばん最初の雨野の、自分はゲームを楽しくやりたいから、勝つためにストイックなゲーム部には入らないけれど、そんなゲーム部の人たちのスタンスだって間違ってるわけではなく尊敬できるものだというような発言からも分かるところでして。
自分の好きなものについてはちゃんと好きだと言うし。
お互いに好きなものへのスタンスがあるから、ソリが合わないことや喧嘩することになってしまっても、自分とは違うからといってそれを一方的に否定したりはしない。
そういう真摯な心から出てくるセリフや、想いというのはやはりこうしてラノベを好んで読んでいる身にも共感できるものがたくさんありました。
その中からいくつかピックアップすると、
まず1つ目は雨野くんがオススメのギャルゲーを聞かれたときのセリフです。
流れとしては、ゲーム部に入っている同級生からオススメのゲームを紹介して欲しいと頼まれたときに、雨野くんはいわゆるレビューで評価がめちゃくちゃ高いような「神作」や「傑作」ではなく、いわゆる「良作」と言われるような作品をオススメしたというような状況です。
そこで、彼が口にしたのは、
「その作品は、評価が良かったり、ヒットしている作品じゃない」
「自分が特別に好きになるような、他にない特殊な要素があるわけじゃない」
「神作と呼ばれるものに素晴らしい価値があることは大前提として、しかしそういう『ジャンル』を構成する中心にあるのは、一部の例外的な突出した作品ではないのだと思う」
「だから、初めてやるギャルゲーのオススメというなら、変化球的に面白い例外作ではなく、王道で、丁寧で、突出していないけどちゃんとストライクに入っている……そういう作品がいいと思った」
というようなセリフです。
本当に、すごく共感したんです。
わたしはラノベをあれこれ色々読んでいて、めちゃくちゃ面白い絶賛するような作品はそれはもちろん大好きですけど、それと同じくらいにテンプレートを踏襲して「そうそうこういうのでいいんだよ」と思える安心感のある作品もわたしはすごく好きで、だからこそそういう良作ならではの良さや強みをしっかり言語化してくれるこのシーンは大好きでした。
それから2つ目については、
子どもが初めて触れるゲームはものすごく重要である、というお話です。
この話はそのままの意味ですので、経緯は割愛しまして、最初にやったゲームはやはりその後の好みとかに影響していくというのもわたし自身の経験として共感するものが多くありました。
わたしの場合、ラノベを読み始めた最初期に触れたものが同作者の「生徒会の一存」と、ファミ通文庫から刊行されていた鳳乃一真先生の「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金」でした。また漫画作品ではありますが「ドラえもん」「ハヤテのごとく!」なども好んで読んでいました。
そのためコメディで笑えるような作品、長編シリーズとして安定感を持って読める日常/非日常がバランス良く続く作品、分かりやすくワクワクするようなアクション謎解きひみつ道具的要素のある作品、そういったものが現在でも非常に好きなものとなっています。
逆にそれとは対照的な鬱々とした作品や血みどろの作品などは、小さい頃に見た「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」の弐号機が量産機にやられるシーンなどで若干トラウマになっていたこともあって、現在でもあまり得意ではないジャンルになっていますね……。
ですので、シンプルに自分にとってもそうだったという意味合いで最初に触れるゲーム作品は重要だという本作中の話題にも共感の頷きをしながら読んでいました。
最後に3つ目はさらにシンプルな話題で。
エロゲーに関する話については、自分もある程度はエロゲーをやっている人間として理解できてしまうものがありました。
体位検索機能とか確かにあってほしいと思いましたし、作品によっては18禁展開になった瞬間ノリノリで野外プレイとか言葉責めする主人公いるよなぁとか、創作に限った話でエロゲーに関してはさっさとナマで行ってくれたほうがテンポ良くて好きだとか……、本当に正直全部分かってしまいます。
本作は星ノ守千秋の妹で、エロゲー大好きな心春ちゃんという口を開けばエロゲー由来の下ネタばかり出てくる子がいるのですが、これらの発言を含む彼女の発言はもう全般分かってしまうが故の好感をもって見てしまいました(笑)
ともあれ、このように本作はゲーム好きな人ならではの発言が数多くありまして、そしてそれを読むわたし自身もラノベやアニメ、エロゲーといった趣味から共感できるものが多数あり、そういう好きなものへの姿勢というのは非常に心に響きながら読ませていただきました。
3:主要キャラへの印象
ここからは、キャラにフォーカスして全巻を通した印象を述べていきます。
そのため終盤の展開への言及が増え、ネタバレになってしまう部分が出てきてしまいますのでご了承お願いします。
・雨野景太
しっかりと本作の主人公をやってくれていました。
彼の良いところは、何に対しても真摯であることです。
初期のゲームへのスタンスや想いはもちろんですけれど、それ以上に友人や家族、身近な人たちを大切にする言動はめちゃくちゃカッコよくて大好きでした。
その真摯さゆえに恋愛面では色々と悩んでしまうことも傷ついてしまうこともあったかと思いますが、それだけ真剣であることそれ自体が何よりの美徳だったと思います。
1巻から最終巻まで、基本的には読めば読むほどその魅力に惚れていくことのできる、素晴らしい主人公でした。
・天道花憐
最高のメインヒロインでした。
個人的な好みなんですけれど、基本的にスペックが高くて1人でいても問題なさそうな人が恋とか大切な人ができることで、そこから普通の人間らしい弱みを見せていくようなやつが大好きなんですよね。
まぁ、本作の天道さんは恋愛脳でポンコツになるとかそういうレベルを超えて、めちゃくちゃ面倒くさい女になってましたけど、完璧美少女みたいな雰囲気よりもそのくらいの残念美少女であるほうが可愛げがあるので個人的にはヨシです。
またわたしがいちばん好きだったのは、中盤以降の自分なりに雨野くんの真摯さに向き合うべく努力をしているところで、それだけを見れば彼女も成長しているんだなと好感を持てる状況かと思いますが。
そこでやっていた行動が第一に自分の好きな雨野くんをめちゃくちゃ傷つけ振り回すものであり、傍から見たらお前えぇぇと言いたくなるものだった上に、自分からそのようなことをしておきながら未練たらたらでクソ面倒くさい女ムーブをかましてくるという……もう天道さんはそのままでいこうか!と残念美少女しての何かを極めていくような展開。
もう、ここまでされちゃうとわたしとしては好きにならざるを得ないですよね。
面倒くさくはあっても、ポンコツ極めて超残念系美少女になっても、そこにちゃんと天道さんなりの好きへの向き合い方と変化が見れるわけですから。それが良い悪いはともかく、そんな天道さんだからこそ好きだったんです。
・星ノ守千秋
本作でもっとも好きになれなかったキャラです。
先述のとおり彼女の妹である心春ちゃんの方がよっぽど好きでしたというか、むしろ心春ちゃんは終盤になればなるほど良い女になってたので、素直に彼女がヒロインでも良いと思うくらいでした。
しかしながら、姉の方、お前だけはダメだ。
ただこの好きになれない理由について、もう少し細かく言うと、恋愛面に関して彼女をヒロインであると言いたくないという気持ちが強いです。
単純なキャラとして、物語的な主要人物としては彼女が重要な役割を果たす部分は多くありましたし、ゲーマーズという作品自体初期の勘違いすれ違いがメイン5人いなきゃできなかった部分なので、そこまでは全然許容するんですよ。
しかし、彼女が天道さんと並ぶWヒロインのような扱いをされることには納得ができない。終盤の恋愛にしっかり向き合うパートでもう少し変化や動きが見られたら好きになれたかもしれないのですが、それが足りていなかった。
で、具体的に何が彼女を受け入れがたかったかなんですけど。
端的に言って、この子がヒロインであることに何の面白みもないところです。
天道さんは、基本的にハイスペックで、まさしくゲーマーの鏡のようなストイックさも持ち合わせている女の子。一方で、恋をしてからはメンタルもガタガタ、ポンコツ通り越して残念系美少女に見事変貌、それでも雨野くんを好きであり、好きだからこそ変わろうとしている、変わっていく自分に向き合おうとしている。それには彼女自身のゲームに対するストイックさ、勝つことへのこだわり、そういう部分に近い性質が見えてきます。
一方で雨野くんは勘違いやすれ違いがあったり、最初こそ上原くんからのお節介で天道さんと仲良くなれるように努力を始めた経緯があったりもしたけれど、その流れの中でも1人1人の相手に真摯に向き合い続けようとしたのは雨野くん自身の意志だし、少しずつでも自分を変えようとしてきたのも雨野くんの努力だった。そして、雨野くんが一度だけズルのようなことをして天道さんにゲームで勝ったことがあったけど、その話は多少変な方向に走ってしまったとはいえ、ズルみたいでも彼が努力をしようとした事実は確かにあったわけだし、それ以上にゲームを楽しみたいと主張していた雨野くんが、自分の下手くそなゲームスキルを自覚していた雨野くんが、それでも勝とうとしたその心が重要だったと思うんです。
つまり本作の恋は結局のところゲームの話で、勝つも負けるも真剣勝負である、そういう部分にわたしは魅力を感じていたのです。
だからこそ、星ノ守千秋に言いたい。
雨野くんと、趣味の9割が一致していて、自分のフリーゲームの大ファンで、自分の大切なソシャゲ仲間で、運命で結ばれているんじゃないかと言われるくらいに気が合う、そんな彼だからこそ共感してくれて、自分を認めてくれるような言葉を貰って、そんな好きにならないわけがないような関係性であるヒロイン。
それは逆ですら同じであることでしょう。
雨野くんだって、千秋を嫌いになるわけがない。むしろ千秋と同じくらいに好きになる要素しかなかったのでしょう。
なるほど、で、それ面白いですか?
ズルをして勝ったこそそのものは明らかに間違っていたけれど、天道さんのためを想い下手くそな努力をするような雨野くんのエピソードがあった上で、
そんな雨野くんが努力も何もなく最初から好きにならないわけがないというようなお膳立てのされている初手から圧倒的に有利なハンデを持っている状態で始まった恋、そのハンデそのままに恋をしているヒロインって、なんです?
わたしには受け入れがたい。少なくともこの作品において、この子が勝ちヒロインになってほしくない。そう思ってしまいました。
特に決定的だったのは終盤、雨野くんと同じような考えができるからこそみたいな展開ありましたけど、終盤になってもそれが強みとして出てくるのであればそれはもうチートで優位性を取っているのと何も変わらないよ、とわたしには見えてしまった。
もちろん、これがそもそも好きじゃないヒロインに対するうがった見方あってこその感想であることは自分でも重々承知しています。そして、最初から印象の良くないキャラはやっぱり読み手の気持ち的に挽回が難しいんだなと再認識させられました。
星ノ守千秋、本当にごめんなさい。全く好きになれませんでした。
・上原祐
雨野の友人で、亜玖璃とのサブカップル枠。
彼への評価は右肩下がり、ですかね。
序盤はすごく好きでした、どんどん拗れていく5人の中で、雨野にお節介を焼いたりできるくらいには人の機微をしっかり見ることのできる貴重な存在。彼がいなければどこかで変な崩壊をしていたかもしれない、そう思えるような頼もしい親友キャラでした。
しかし同時に、彼女である亜玖璃が関わることにはどうにもやることなすことが裏目に出てしまうので、必然的に5人の関係もどんどん乱していく存在。彼がいたからこそ拗れた部分も大いにある、そう思わせてくれる本当に良い動きをしてくれる親友キャラでした。
が、しかし終盤、恋愛に向き合うパートでは弱かった。
これに関しては真摯の塊である雨野と、超残念系美少女に変貌しながら四苦八苦していた天道さんが、それぞれ強すぎたがための相対的な印象もあるかと思いますし。そもそもが上原くんはやはり雨野くんみたいにはなれない、対比的なキャラクターとして描かれていたのでよりいっそうそういう印象が深まってしまった部分はあったかと思います。
とはいえ、もう少し男を見せて欲しかったな。
雨野くんがあれだけ男を見せたなら、最後くらいは親友として同じくらいの気概を見せてくれよ。
・亜玖璃
本シリーズにおいて、1巻から最終刊まで、一貫して常に最も高い好感を持てた子でした。
まず第一に上原くんへの一途な恋心。これは何よりも強い。そして本作がゲーム好きな少年少女たちの譲れない想いやスタンスを重視するのと同じくらい、ゲーム好きではなくとも上原くんへの恋心だけは絶対に揺るがない彼女は本当に輝いていた。(そして彼女がこれだけ一途であるからこそ、終盤に上原くんにもっと男を見せて欲しかったという先述の不満が増したりもした)
次に、客観視の大切さを教えてくれること。本作で唯一ゲーム好きではない彼女だからこそ、雨野くんや天道さん、星ノ守千秋などのゲーマーたちに言えることがあった。その鋭い刃のようなキレッキレの発言の数々は、本当に身に刺さるもので、彼女がいたからこの作品がただゲーム好き仲間だけの会話劇で終わらずに、きゅっと引き締められた雰囲気があったと思います。
それから、雨野くんとの関係。
基本的には恋を応援し合う同盟ですけど、作中序盤で明言されるように一貫してお互いの恋愛の足を引っ張り合う関係でもありました。しかし絶対に離れない不思議な絆を持っていて、ある種「男女の友情は成立する?」へのアンサーみたいな姉弟みたいな関係でした。
正直、色々言いたいことはあるけれど、
この二人についてはもうこのままずっとこれでいてほしいし、この二人からしか摂取できないものがあって大好きです、とだけ言います。
4:過去作とのつながり
既に述べたように同作者の「生徒会の一存」シリーズは、ずっと大好きな作品でして。
本シリーズでは、その過去シリーズとの繋がりを感じさせるような描写が多々見られました。生徒会の一存シリーズの舞台である碧陽学園は、星ノ守千秋の妹の心春が通って生徒会長を務める学校であるとして登場したり。外伝短編であるDLCなんかでは、生徒会の一存アニメによって生み出された生徒会おしまいのポーズを天道さんがやっているシーンが挿絵つきであったり。
こういう古参ファンがにやっとできる小ネタみたいなのが大好きなので、良かったなぁと。
そして、これら2作品はさらに過去作である「マテリアルゴースト」からも繋がっており、それに関連するワードもちらほらあるようですが、それに関しては全然拾うことができなかったので今度はマテリアルゴーストも読みたいなと思いました。
5:外伝短編集DLCについて
最後に外伝についての感想です。
外伝は全部で3巻。
内容として1巻~2巻では、実は本編の裏側で雨野くんが定期的にゲームで遊んでいる実況配信者の霧夜歩と、その隣人である彩家碧との交流を描いていく短編連作になっており、3巻は本編外伝合わせた後日譚やアニメ特典などのイフルート短編などが収録されていました。
ですので、まさしくDLCだなと思えるような単純な短編集ではなく、本編の拡張のようなお話になっていてそれが2巻で綺麗にまとまっている内容は素直に面白かったなと思いました。その内容の終盤も、本編にはない味付けがしっかりされていて霧夜歩の気持ちが描かれていたので満足感が非常に高い。
さらには、本編の時系列に沿った、裏側エピソードになっていますので基本的には刊行順に読むことになります。そうすると、本編終盤のコメディが薄くなってきたようなタイミングでこの外伝に触れるのですが、そうすると元々短編連載型であった本編1巻2巻のような雰囲気の感じるコメディがあり心安らぎ笑えるというのが、読み心地として最高だったんですよね。特にDLC2巻は、霧夜歩に雨野くん以外のキャラもどんどん関わるようになってきてコメディの勢いが増していたので好きでした。
そしてDLC3巻になってようやくおまけの短編集らしい内容になり、最後のアフターストーリーもあり、締めの一杯としての完璧な1冊。
そのため個人的にDLCの評価はめちゃくちゃ高いです。本当に面白かった。
巻別満足度と総合評価
最後に本作の巻別満足度と総合評価です。
まずは巻別満足度。
基本的にはコンスタントに面白さのある作品だったと思いますが、その中でも雨野くんや天道さんが大活躍していた巻やDLCは比較的楽しく読めたかと思います。
総合評価としては
★8.5/10
とします。面白かったです!
おわりに
めちゃくちゃ久々のシリーズまとめ感想でした。
そのため、まとめるときの分量感覚を完全に忘れており、めちゃくちゃ長くだらだら話すことになってしまいましたね……
また、シリーズモノをまとめ読みしたら感想をこうしてまとめていきたいと思っています。

