ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part264】孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い

 今回の感想は2025年6月の電撃文庫新作「孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い」です。

孤高の電波美少女と恋で繋がったらギガ重い (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 彼女の“おもい”を受信できるのは、俺ひとり。

 「私、世界を救わないといけないから」 そんな妄言を言う彼女に、楠木将臣は告白をした。もちろん、罰ゲームに決まっていた。なのに、その嘘は受け入れられてしまったんだ。 “精神界”の“救世者”と電波な妄想を垂れ流し、周囲から孤立していた美少女、貴家雲雀。そんな彼女と付き合うことになったわけだけど、噂と違って普通に会話できるし、なんなら素直に甘えて来るし……。あれ、普通に可愛くない? 気づいたら本気になっていた将臣だったが、彼女のことを知るたびに、その妄想は「現実」だと分かって――。 「――ねえ、将臣くんは私の“世界”、信じてくれる?」 嘘から始まった想いが本当に変わっていく、ちょっぴり電波な恋物語

 

 

感想

 良かったところ、気になるところ。

 それぞれあるので率直な感想としては電撃文庫だなぁ、新人賞だなぁという感じでしょうか。

 

 

 本作は端的に言えば恋愛作品。

 美人ではあるが電波な言動のせいで周囲から孤立してしまっているヒロインに、主人公が罰ゲームで告白することから始まり、彼女と付き合っていく中でその人となりを正しく知り真剣に好きになり、さらには彼女の話す非現実的な出来事が事実であることも分かって……みたいな感じで話が進んでいきます。



 まず良かったところから話しますと。

 この手の設定は良いですよね。

 というのも、日常×非日常というのはいわゆるラノベの一種の花形で、その非日常の要素として異能バトルやら特殊な病気というのはよく見る形としてあるかと思います。

 そして本作における非日常は、ヒロインの話す精神世界の存在となります。それは世間一般では突発的に昏睡してしまう病気と認識されるが、その精神世界での人々の行動は現実にも影響を及ぼしてしまうため、精神世界を乱す者とは戦わなければならないという設定。

 これはまさしくラノベの花形としての異能バトル要素を担保しつつも、本質的な部分では現実と心の中との狭間に揺れる少年少女(主にヒロイン)を描くための要素として非常に絶妙な塩梅であったと感じています。

 素直に面白いという気持ちと、こういう発想は新鮮で良いなと思う気持ちとで、なかなか楽しく読むことができたと思っています。



 そんな精神世界がヒロインにとって重要な要素であるように。

 主人公にとって重要な要素、あるいは転機だったのは罰ゲーム告白。

 これまたフィクションではまま見るようなもので、人をからかうために行うものである印象が強いものですが、本作に関してはそういった不快感はあまりありませんでしたね。

 その理由としては、主人公自身がそういう流れではあったものの、最終的に行うことを決めたのは自分であり、そこには退屈な日常から脱却してみたいというような願望があっての行動だったからではないかと。

 また罰ゲーム告白を促した友人には別の意図があったという点も考慮すると、一般的な罰ゲーム告白という言葉にある悪辣なイメージよりも、どこか浮世離れしたヒロインに話しかけるきかっけをそういう無理矢理にでもやらなければ今と違う一歩はない、というような主人公サイドにおける転機のイメージが強くなっていたように思いました。

 そして、罰ゲーム告白以降はヒロインに対して彼女の精神世界関連の話も含めて真剣に向き合う態度だったり、そこに見え隠れする彼女自身の心にしっかり想いを伝えられる主人公として活躍していたので全体としては好印象になっていました。

 そんな主人公と付き合う中で、どんどん好きが大きくなって、現実と精神世界の間で揺れるヒロインの恋心もしっかり描かれていて可愛らしくて良かったですね。




 一方で、個人的に気になった点としては。

 精神世界関連の細かい設定でしょうか。

 本作の精神世界は、いわゆる昏睡してしまう病気にかかっている人たちが共有する世界であり、その中での出来事は現実でも影響を及ぼす。例えば、精神世界に入った人間が自らの知人のアバターを召喚することができ、そのアバターが受けた被害は現実のベースになった人にも共有されるといった具合に。

 

 ……わたしが気になるのは、これが本当にただの病気であるのかという点ですね。

 いや、フィクションの架空の症例であることは理解していますが。

 そうではなくて、これを現実サイドでの認識が”病気である”と言うのは、本当にそういう判断をしているのか、それとも一般の認識をそういう理解にとどめようとする何かしらの大きな組織の意図があるのかどうかというところです。

 何せ、実際に現実に影響を及ぼすことができる以上、ヒロインが主人公に証明したように、理屈が分からないにせよそういう事実があることは誰かが少し調べればすぐに分かることなんですよ。

 であれば、何かしらの組織が悪用してしまったりすることだってできるでしょうし、その組織の暗躍を巡った裏でのアレコレがあったりしてもおかしくない。というような日常×非日常の、非日常側へ傾けようと思えばいくらでも傾けることができる余地が残っているように見えるんですよね。

 

 しかし、本作の描写ではそこまでは見えてこない。

 少なくともこの1巻でヒロインが主に戦っていた相手が何かしらの組織的な陰謀があるように見えなかったので、そうなってくるとヒロインが精神世界を乱す者と戦っているのは、自分の身近な世界で目に見える被害を抑えるために行っているのは事実として。

 その戦いの本質的な部分が、真の意味で世界平和のために必要なこととして行っているのか、あるいは現実逃避の精神世界でいわゆるオンラインゲームのようなノリで戦いが行われているのか、どっちなんだろう?と。

 それがどうにも分からないなと、そんなお話を見る一読者としてはどういう気分でいればいいのか? この戦闘描写が異能バトル的な展開をやる以上の意味を持たないのではないか? と思ってしまうんですよね。

 そういう意味で、わたしとしては本作にのめり込むような面白さはなかったのかなと感じてしまいました。



 あくまでこの作品の主題は恋愛部分ひいてはヒロインの心にあるので、このファンタジー部分はあまり重要なところではないのかもしれません。

 もしくは2巻以降で少しずつ掘り下げる部分なのかも知れません。(ただこの精神世界での戦い云々を深めてしまうなら、現実との折り合いをつけていくという思春期男女を描くことが難しくなりそうで本作の良いところが損なわれてしまいそうですし、そもそも主人公がこちら側に基本的には関与できない問題もありますから、深掘りする意味もないのかなとも思います。)

 とはいえ、この作品を読んだ気持ちとしてはこれが事実ですので。

 そしてこういう主題の部分はしっかりやりきるけれど、細部の部分に気になる部分が残されてしまうという感覚は、電撃文庫の新作に多々あるんだよなぁという印象がわたしの中には勝手にあるので、最初の言葉が出てきたというわけですね。

 

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★☆ (7/10)  

 設定世界観・・・★★★ (6/10) 

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)

 イラスト・・・★★★ (6/10) 

 次巻への期待・・・★★☆ (5/10) 

 

 総合評価・・・★★★(6/10) 良い作品だったけど、わたし個人の感性でハマりきれない、そんな作品でした。

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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