ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part265】最近雇った独占欲の強い美少女メイドが、実は王女様だった。

 今回の感想は2025年6月のGA文庫新作「最近雇った独占欲の強い美少女メイドが、実は王女様だった。」です。

最近雇った独占欲の強い美少女メイドが、実は王女様だった。 (GA文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

 

あらすじ(BWより引用

 最近雇ったメイドのシアナはとても優秀だ。

 メイド経験が無いのにメイドのことを熟知しており、頼んだことはもちろん頼んでないことまで完璧に、僕のお世話をしてくれる。

 だけど心配性で、貴族学校に入学した僕に「女性とあまり関わらないよう」言ってきたり、

 噂好きなのか「第三王女フェリシアーナ様」の印象を聞きたがったりする。

 それに時々「国の方針が…」とか変なことを口走ったりもして――。

「ご主人様。私の居ない間に女性を連れ込んだり、していませんよね?」

 無自覚タラシなご主人様と、独占欲強めなメイド(王女様)が織りなす身分差ラブコメディ!

 

感想

 まず最初に1つだけ不満を言いますね。

 

 新作感想で度々言ってることですが、わたし個人としてのお気持ちではタイトル詐欺、表紙詐欺、あらすじ詐欺などのパッケージから想像できる内容からかけ離れた内容を展開する作品が嫌いです。

 それでだれが得するんですか?って常に言いたいです。

 

 そういう意味で、本作は表紙、あらすじ、さらには最初の口絵。

 その全てがメイドで王女様なヒロインとの1対1ラブコメであるかのような雰囲気を出していたのに、実際そうではなかったという点でもうわたしの中での印象は悪いです。

 

 メインヒロインが1人決まっているのは間違いないとして、表紙やあらすじでそこを強調するのは何も間違ってないと思います。

 さらにあらすじ時点で、彼女が独占欲の強いヒロインであると示しているので、他の女性(ヒロイン)に主人公を近づけまいとするような展開があるだろうと思えば、他のヒロインがいることまでは納得ができます。

 

 しかし本作はその程度が問題で。

 この1巻で主に恋敵として登場する、主人公のクラスメイトの女の子が、メイドで王女様なヒロインと同じくらいの登場頻度があって、同じくらいに独占欲があり、二人がバチバチに水面下で牽制しあっているんですよね。

 そうなったら、せめて口絵くらいまでにはそのもう1人のヒロインを入れるべきではないか?と思ってしまうんですよ。

 

 少なくとも、わたしみたいな頭バナナで「メイドさんメイドさんふへへへ」くらいの思考で、メイドヒロインといちゃいちゃするようなラブコメを期待していた読者としては、裏切られた気分でいっぱいなので不満たらたらたらたら出てくるんですよ。





 ……、とまぁ、これに関しては内容の本質ではないのでここまでにします。

 結局大事なのは、思ってたのとは違ってもそれが面白いかどうか、楽しめたかどうかです。

 

 結論から言えば、個人的に本作はかなり楽しんで読むことができました。

 (……だったら尚更、最初の不満たらたら言うことに意味あった?とか思っても言わないでください。自分でも分かってて言ってるんですから)




 さて、改めて本作の内容を整理します。

 

 伯爵家の子である主人公ルクスが最近雇ったメイドのシアナ、その正体は国の第三王女フェリシアーナである。

 彼女はルクスが大大大好きで、正体を隠しながら側で彼に他の女が寄り付かないようにしているのだが、貴族学校に入学してから、クラスメイトで公爵家の娘フローレンスとの距離がどんどん縮まっている。

 シアナは当然それを良く思わないのだけれど、立場もあってなかなか二人の関係に介入しづらい状況。第三王女としても事あるごとにアプローチしていくが、フローレンスは同等以上にルクスへとアプローチしてくる。さらには顔を合わせれば、彼女は自分を偽ってルクスへとアプローチしている自分を気にくわないらしく……。

 ルクスを巡るヒロイン間には激しい火花が散って……果たしてどうなるのか?

 

 といった感じのお話ですね。

 

 好きな男である主人公と1対1のときは普通にラブコメらしい甘い空気。

 しかし、彼のいないところではバチバチに牽制しあっては、お互いに気に入らない相手に「私の彼に近づかないでくれます?」と言い合うような女の戦いが激しい作品。

 

 

 そして本作の面白いところは、この大筋だけを見れば重めの恋愛モノと思えるかも知れませんが、実際のところ内容はかなりコメディ……というよりはそういうものだと割り切っている描写が非常に多いところですね。

 

 例えば、そもそもの初期設定。王女様がメイドに扮して主人公にアプローチするというものに関して。イラストを見る限り結構見た目そのまんまですし、描写として声を特別変えているとかいうのもなかったような?気がします、しかし主人公はまーったく気づきません。いや何故それで正体がバレないのかみたいな当然の疑問が浮かぶわけですが、それに対するエクスキューズが一切ないんですよね。

 つまりこれは、いわゆる見た目とかどう見ても正体丸わかりだけどそんな野暮なことを言ってはいけないという暗黙の了解やお約束で流していく、変身ヒロイン作品とかと同じものなのです。

 

 そして、それと同じように、そもそも彼女が王女様なのにメイドの仕事とかやってて公務に支障きたしてない?とか。

 シアナもフローレンスもルクスに変なやっかみをつける男連中がいたらすぐにそいつらが裏でやってる汚職を暴いて学園にいられないようにしていく(ほぼほぼ私刑)ので、ルクスは毎回毎回自分が嫌な目にあった翌日に原因がいなくなることを不審に思わないのかとか。

 一人の男を基準にして国の貴族を即切り捨てるような王族と高位の貴族(の娘)が平然といる国とか怖すぎるだろとか。

 これ主人公がモテてることに腹を立てて嫌がらせするやつが出たら、絶対同じような展開を辿るんだろうなとか思えば、ルクスが卒業するまでに果たして何人の犠牲者が出るのだろうとか。

 

 とにもかくにも現実的な視点で見てツッコミ始めたらキリがない描写は多数あるのです。

 しかし、ラブコメってそういうものじゃないですか。昔の暴力系ヒロインとかもそうですし、もっとギャグコメディに寄ったような描写いっぱいの作品だってたくさんありますし。

 ですから、この作品はそれらと同じく一読者としてのマインドをこれはあくまでラブでコメディなんだなと、野暮なことは言いなさんなという心持ちがしっかり作れる。

 あくまで愛が重すぎて裏で色々やっちゃう系ヒロインたちが火花を散らしている様子を傍から見てニコニコすると、これがなかなか楽しく読める作品だったなと思っています。

 

 特に、シアナとフローレンスだけではなく、シアナの姉である、第二王女がルクスに興味を持ってちょっかいをかけようとしているようでして。

 この第二王女は二人と違って自分に靡かない男なんているわけないじゃんって自然に思っているタイプの女なので、これが主人公に惚れてシアナやフローレンスと同じように自分だけのものにしようとし始めたらめちゃ面白そうだなと。

 複数の王女と高位の貴族が、一人の男を取り合って裏で自分の権力を平然と公私混同してはアプローチを仕掛けていき、裏で牽制し合う国……もうカオスすぎて楽しいですね。

 

 おそらくですが、ルクスくんはいわゆる傾国の美女の男バージョンなのでしょう。タチの悪いことに、この男は自分から何かしようとするわけではなく、ヒロインたちに優しいという無自覚な行動だけでこのような惨劇を引き起こすので、もはや厄災と言っても過言じゃ無いかもしれません。

 そういう意味では、たしかに独占欲が暴走しているやばいヒロインと釣り合う男は彼しかいないのだと思います。

 是非、これからも多くのヒロインをその無自覚たらしの毒牙にかけて貴族令嬢たちを狂わせて欲しいものです。

 

 

 というわけで、まとめると。

 ラブコメらしい初期設定を初めとする多数のツッコミどころ満載な状況は暗黙の了解で呑み込んだ上で、そういうラブコメとしてヒロイン同士のバチバチを見ていくと、思わずニマニマしてしまう絶妙なバランスの空気感を形成している作品でした。

 個人的にはこういう独自の作品空気感で、ヒロインたちがアレコレと動き回るもの楽しく読むことができました。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★☆ (5/10)  

 設定世界観・・・★★★★ (8/10) 

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10) 

 次巻への期待・・・★★★★ (8/10) 

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) 無自覚厄災系主人公と、それを包囲する独占欲つよつよヒロインズ

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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