ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part267】天嬢天華生徒会プリフェイズ

 今回の感想は2025年6月の電撃文庫新作「天嬢天華生徒会プリフェイズ」です。

天嬢天華生徒会プリフェイズ (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 ――これは、天祿院凰華の奉仕録であり、その帝王学の実践録である。


 やっとのことで教員資格をとったぼくが紹介された就職先は、総生徒数25万人の《天涯学園》。半島ひとつがまるごとキャンパス、学園都市を超えた独立学園国家だった。

 着任早々とんでもない事件に巻き込まれたぼくを救ってくれたのは、生徒会長にして学園の《王》、天祿院凰華。

「先生はこのわたしが一生涯添い遂げ、尽くす方ですので!」

 謎に距離が近い彼女によって生徒会執行部の顧問に据えられたぼくの、不安も刺激もたっぷりの教員生活が始まる!

「世界でいちばん透きとおった物語」の杉井光が贈る、桁違いスケールで送る極大学園ラブコメミステリ、堂々開幕!

 

 

感想

 設定や世界観はなかなか壮大で、話の展開も広くやっていけそうなので、この1巻全体を通したプロローグを越えてこの先どういう話をやっていくのかという部分は楽しみな作品。

 しかし、この1巻そのものが面白かったかと言われるとボチボチかな……、という感じですね。

 

 そう感じた理由はざっくり言えば1つだけなのですが。

 本作はいわゆる叙述トリック?を活用した作品となっています。

 そのため、序盤から文章表現中に広げられた違和感が、最後にバッと明かされてそこで一気に面白みを増すものであると思っています。

 ……しかし、本当に申し訳ないのですが、開始50ページ時点でメタ読みしてギミックの概要を察してしまったことで、終始そういう描写になってるんだろうなぁと見方をしていたわたしは素直に驚くことができず、分かりきってる謎を最後まで引っ張られてもなぁという気持ちがありました。

 自分のメタ読みなんかで白みが無くなって言いわけがない、と思いながらどうにか水平線上の陰謀のときの迷探偵のように、反証を探しながら読んでいたんですけど、読めば読むほどメタ読みが正解に近づいていてもう辛かったです。

 こういうオチから逆算して読む性格とこういう作品相性が悪すぎる……。

 

 ともあれ、そういう作品だったのでここではそのネタバレになりそうな部分には触れないことにして、最初に言及した設定世界観周りで感想をまとめていくことにします。




 本作の舞台となるのは、独立国家となっている学園島。

 そこに新任教師として主人公が赴任することになったところから物語が始まります。

 したがって、第一に学園についてのことを何も知らないまっさらな状態の主人公という、読者と同じような立場にある人間主体で進んでいくので、1つ1つその場所がどういうところなのかを描きながら進んでいくことに、未知の世界へ飛び込む非日常を感じられて個人的にはこういうのが好きです。

 また、それと同時にそれだけ有名な学園について、何故主人公がこれほど無知であるのかという疑問が生まれてきて、話としての続きが気になる牽引力になっているのも良いなと。

 

 さらにこれら2つの魅力は、主人公のことを雇ったという学園都市全ての学園を統べる生徒会長ヒロインの存在もあることで、いっそう深まってるように感じられました。

 すなわち何故彼女が主人公にここまで好意を向けているのか? 彼女が主人公に求めているものはなんなのか? という主人公に生まれた疑問へ、主人公以外の観点でも情報を散りばめていること。またシンプルに特殊な環境のもっとも特殊な人物である生徒会長の彼女と行動を共にすることで、その世界観の特異性を惜しみなく描写することができること、ですね。

 

 そして、学園に関して様々な活動が描かれていくと、子どもたちが主体となっている学園でアリながら独立国家と言われるだけの大人の世界も感じる二面性がしっかり感じられて、それが話のバリエーションに繋がっているのが面白かったです。

 序盤で起こる窃盗事件やそこに配信描写を含めていることや、そういう子どもらしかぬ大がかりな事件を生徒会による自治で解決しているという点。終盤になると生徒の権利やそれにまつわるお金の取引がありつつ、そこに賭けゲームという学園モノらしい戦いだけど大人の遊びだよねっていうものをやっていくところ。

 そういった様々な要素が、こういう規模の大きな世界観だからこそこういう色々な話を広げられるんだよ、っていう魅力で繋がれているんだなと思いました。

 こういう作品は読んでいてなかなか楽しいと思いますし、さらにここから巻数を重ねればさらに色々な要素が出てくるかも知れないという期待が持てます。



 ただ、一方でわたしがそういう読み方をしていたからという問題があるかもしれませんが。この1巻全体を通しての物語を見ると、先述のギミックの収束のために1つ1つのイベントがあるような印象を受けて、その1つ1つのトピックでの起承転結としての盛り上がりにやや欠けてしまったように思いました。

 つまりは、終盤のいちばんの盛り上がりまでは、話が淡々と進んでいたような感覚があったということです。そのため素直に話を面白いと思うことができなかったですね。

 また、キャラもギミックを行うために動きが制限されてしまっている部分を感じてしまい、個々のキャラの魅力や強みが発揮しきれていないのでは、とも思いました。(これに関しては、正直わたしが他の方の感想を見るまで、自分の感想がキャラに対する言及一切ないことに気づかないレベルでして。個々のキャラへの感想がなかった……良いところが見えてなかった……改めて振り返っても良いキャラいたかなと首を傾げてしまう……、ということがあったので)

 とはいえ、終盤の盛り上がる点にむけてしっかり伏線を張り、それを一気に回収するという手腕は見事。そこからプリフェイズというタイトルの意味まで含めて、しっかり主人公ヒロインによって話を導かれていたなと感じられるのは良かったです。

 

 

 そういうわけですので、

 総評としては最初に述べたような感じになるかなと。

 今後に期待する部分はおおいけど、1巻単体の面白さは少し劣る印象。

 

総評

 ストーリー・・・★★☆ (5/10)  

 設定世界観・・・★★★★ (8/10) 

 キャラの魅力・・・★★☆ (5/10)

 イラスト・・・★★★ (6/10) 

 次巻への期待・・・★★★★ (8/10) 

 

 総合評価・・・★★★☆(7/10) こういう作品は絶対に素直に驚いた方が面白いと思う!

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

bookwalker.jp

 

 

 

感想ネタバレ部分でちょっとした感想

 ちなみにネタバレになる部分にも触れる感想でほんの少しだけ言いたいことですが。

 この1巻は主人公の先生が性別を上手く隠すし、名前でも上手くミスリードしてるしだったので、描写できなかったものだと思いますが。

 

 2巻以降は、生徒会長による自分の好きな女だけを集めた生徒会百合ハーレム的ないちゃいちゃがあると期待してもいいでしょうか???

 だとしたらものすごーく楽しみになりますし、こういう独立国家として自らが王で法となれるくらいの場所なら、ガチで冗談じゃ無く同性婚で重婚やってほしいんですけど?

 ただ、この1巻のプロローグが先生の回想的な感じで始まっているから、最終的には生徒は先生から卒業っていう形になって終わっちゃうんですかね……、だとしたら悲しい。