ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part272】クズに金貨と花冠を1 ひとりぼっちの最強少女は自称悪徳商人に拾われ幸せになる

 今回の感想は2025年4月のオーバーラップノベルス新作「クズに金貨と花冠を1 ひとりぼっちの最強少女は自称悪徳商人に拾われ幸せになる」です。

 ※2025年6月現在2巻まで刊行中。今回は1巻を読んだ感想です。

クズに金貨と花冠を 1 ひとりぼっちの最強少女は自称悪徳商人に拾われ幸せになる (オーバーラップノベルス)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 助けたお兄さんとの旅は幸せい~っぱい!


 自称悪徳商人の青年ランヴァルドは魔獣の森で窮地に陥った時、不思議な少女ネールと出会う。

 伝説級の魔物を瞬殺しランヴァルドの命を救った彼女は、その驚異的な戦闘能力とは裏腹に純粋無垢な内面を待ち合わせていた。たとえば、初めて見る治癒魔法に目を輝かせたり、モノの価値を知らないが故に街でぼったくられても気づかずニコニコしたり、挙げ句の果てには『悪徳商人』のランヴァルドを慕って後ろをのこのこついてきたり!

【戦闘能力:最強】【人里で生き抜く力:最弱】――ネールの危うさに目をつけたランヴァルドは巧みな話術で彼女を誘い、旅のお供にすることに。

「お前が魔獣を狩る、俺が素材を高値で売る、儲けた金は山分けだ。いい考えだろ?」

 こうして始まったのは、ネールに文字を教え、あったかい食事を共にする嬉しさを分かち合う――すこし想定外、だけど優しい毎日で……?

 復讐に燃える青年と行き場のない少女のハートフル冒険譚、ここに開幕。

 

 

感想

 うん、これはとても良かったです!

 個人的にはこういうの好きだなぁ~、と言いたいものが非常に多くて大満足でした。



 本作はファンタジー作品。

 とある目的のために金貨を稼いでいる旅商人の主人公ランヴァルド。

 目標の金額を稼げる一歩手前で、雇った護衛に裏切られ魔獣の森のど真ん中に置き去りにされてしまう。

 魔獣に襲われ絶体絶命に思われたランヴァルドを救ったのは、年端もいかない幼い少女ネール。

 言葉も話すことの出来ない彼女はたった一人で魔獣の森とそのすぐ近くの町の間で暮らしているらしく、その圧倒的な戦闘能力と悪意ある人に騙されることを知らない幼心に目を付けたランヴァルドは、彼女を懐柔して金稼ぎを目論むのだった。

 ランヴァルドの打算ありきで始まった二人の旅路は果たしてどうなるのか……、

 

 といった感じで始まるお話ですね。




 ランヴァルドとネール。

 この二人の関係がとにかく良かった……!

 読んでいてとにかくニコニコしてしまう微笑ましさと温かさで満ちていると言えばいいのでしょうか。

 

 まず、最初にランヴァルドについて。

 彼はネールを都合の良い商売道具のように扱い、実際作中でも年端もいかない少女を平然と魔物にけしかけたり、さらには盗賊とは言え人間相手ですら平気で手を掛けさせていて、ネールの情操教育的になんて悪すぎる保護者なのかと思う部分がけっこうあるんですよね(まぁ、この点についてはネール自身、魔獣の森なんて場所で生きる死ぬの生活をしていた人間だからなぁ、とも思う部分もあるけど)。

 ただ、そういう商人としてネールの強みを活用する以外の日常においては、もう言動の節々から善人の基質が滲み出ちゃってるものですから。

 ランヴァルドがネールに対して手厚く接しているのを彼女に懐かれるのは都合が良いだの、彼女を失うと稼げなくなるから助けているだけだの、ネールに対する彼の内心の言葉がなんかもうただの建前にしか見えなくて可愛いんですよ。やはりこういう何だかんだ言いつつ良い人みたいな、ツンデレ?みたいな主人公からしか得られない栄養素はあるのだと感じます。

 そしてこれだけ良い保護者やっておきながら、自分自身では自分はろくな人間じゃないと思っているものだから、後述するネールからの純粋な好意を前にするとどこかぎこちなくなっちゃたりするのも良いですよね。これがよりいっそう、ランヴァルドの発言のツンデレ感というか、言い訳感というか、そういうのを増しててほほえま~ってなってしまうのよ。

 あとは、ランヴァルドがお金を稼ぐとある目的。一言で言えば復讐、なんですけど。その復讐の内容も知れば、あくまで自分の心を整理するためのニュアンスが強くて、直接的に誰かを陥れたり傷つけたりしようとしているわけではないというところも、結局人の良さ、ランヴァルドの性格なんだろうなと感じるの好きです。



 そして対するネールについて。

 彼女は浮浪児のような生活をしていて、+魔獣すら簡単に仕留めるほどの力を持っていることで周囲からは化け物呼ばわりされており、そんな中で出会ったランヴァルドだけが自分に優しくしてくれずっと側にいてくれるからと懐いていくわけですが。

 これがなんとまぁ、健気なことか。

 既に述べているようにランヴァルドが優しくするのは打算ありきです。しかし、そんな打算ありきの行動でなければ彼女には側にいてくれる大人が誰もいなかったという事実があって、そんな状況でありながらこれほど素直に人に好意を抱けるような少女がいるということに、もう本当に胸がきゅっとなりますよ。

 そして、彼女は言葉を発することができず、ランヴァルドの打算ありきとはいえその言動に一体どれだけ救われているかという気持ちが読者には痛いほど伝わってきて、それをどうにかしてランヴァルドにも伝えたい、ランヴァルドの役に立ちたい、ランヴァルドに迷惑かけたくないって、どこまでも真っ直ぐな子どもの心とそれに伴う行動の数々が描写される度にどんどんネールちゃんへの庇護欲に似た気持ちが膨れ上がってくる。

 もっと言うとこのネールの心情描写は、彼女がセリフとして話すことは無く、地の文での表現になるのですが、その文章も子どもの心を描くのにマッチしている雰囲気がしっかりありまして、それもまたすごく良いなぁと思いましたよね。セリフがないのに、これほど雄弁に多くの感情を見せてくれる女の子を描けるのは本当に見事なものだと思いました。

 特に、本作では起床シーンというのが幾度となく描かれますが、その度に見せてくれるネールの行動が最高に可愛いです。



 本作のメインとなる二人について。

 ランヴァルドがネールを側に置く理由と、ネールがランヴァルドの側にいたい理由は、全然思惑の違うものになっています。またランヴァルド自身の自己評価と、周囲から見た評価も随分違っているのが、傍から見る読者目線ではよく分かると思います。さらにネール自身の育った環境による戦闘力と、そんな環境で育ったにもかかわらずと思ってしまう心にもギャップを感じることでしょう。

 このようにランヴァルドとネールを中心にした本作は、いくつものアンバランスさの上に成り立っている関係性がその見所となっています。そして、そうであるからこそ、その中でたまたま偶然にバチッとハマった、お互いがお互いにとって必要となるような関係性の中で生まれてくる温かさだったり情だったりがあるのですよ。

 ただストレートに保護者と被保護者という関係性だけでは見いだせない、この二人だからこその特別さがちゃんとありました。

 そしてそれは本作タイトル「クズに金貨と花冠を」という言葉でしっかり言い表すことのできるもので、読んでから感じるタイトルの趣という部分でもとても良かったですね。

 こういうのは、わたしの望むところで大好きなところです。ネールもランヴァルドも、その背景があってこその言動と想いで少しだけすれ違いながらも二人一緒にいられる、それを見てニマニマできるのです。



 また、本作のメインとなるのはランヴァルドとネールの二人ですが。

 ランヴァルドが懇意にしている宿屋の家主や、その娘ヘルガちゃんといったサブキャラがいまして、これがまたランヴァルドの善意を知っているからこそ協力的で、彼が連れてきたネールに対してもランヴァルドと同じくらい優しく接してくれるので、

 ネールにとって拠り所となれる場所や人がランヴァルド以外にもちゃんとあるというのが作品そのものの持つ温かさとしてすごく良いなと感じています。作中では、それを踏まえた上でネールはやっぱりランヴァルドの側が良いと選ぶ(そういう選択肢を持てている)から、こういうサブキャラが支えている作品の魅力というのは確かにあるんだぞと強く感じる一幕でした。



 それから、話の終盤の展開になるのですが。

 ネールにピンチが訪れます。

 この訪れるピンチというのが、シンプルに魔獣程度だと簡単に払いのけるネールであってもどうしようもない状況であり、なおかつランヴァルドならどうにかできるというような状況として良いチョイスだったと思うと同時に。

 この一件を通じて、ちゃんと交渉の結果のオチへと繋がっている上に、世界観を広げることのできるワンアクセントとしても機能できているので、これは素直に上手いと思いました。

 

 

 

 総評としては、

 ネールとランヴァルドの絶妙なバランスから生まれる温かさと微笑ましさが、わたしの好みにドンピシャリ。終始ニマニマと見守りたい気持ちで溢れるとても良い作品でした。

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)  

 設定世界観・・・★★★★ (8/10) 

 キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10) 

 次巻への期待・・・★★★★☆ (9/10) 

 

 総合評価・・・★★★★☆(9/10) こういうのは大好物です、もっとこういう幸せを供給されたいです

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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