今回の感想は2025年6月の電撃文庫新作「ギャルゲー世界にニューゲームしたら、ヒロイン全員攻略された記憶があって修羅場です……」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
攻略済みヒロイン3人とのラブコメが幕を開ける!
目を覚ますと俺は、ギャルゲーの主人公・湊理玖として転生していた。さっそくゲームのヒロイン3人と出会うのだが、3人はそれぞれ湊理玖に攻略された記憶があるせいで、修羅場のようなラブコメが始まってしまった!
感想
設定はかなり面白いし、その設定を活かそうとする展開は新鮮さもあり結構面白いなと思ったのですが、いかんせんギャグのノリがキツかったり、ギャルゲー舞台でありながら恋愛面が薄かったり、ヒロインたちの修羅場感が一辺倒だったりという作品の雰囲気でハマりきれないところがあると感じた作品でした。
本作の概要としては、
ゲーム内転生をしてしまった主人公+そのギャルゲーで攻略済みの記憶をもってタイムリープしている状態のヒロイン3人という状況から始まり、さてどうなる?というような感じです。
この作品の設定、すごく良いと思います。
主人公はゲーム内転生しているから、自分と本来のゲームの主人公は別物であると考えている。何を当たり前のことを、と思うかも知れませんが。これが通常のゲーム内転生であれば、その転生した主人公にヒロインが惚れるという形になるわけですが、本作の場合はヒロインが全員本来のゲーム主人公と恋人だった記憶があるわけですね。
じゃあ、ヒロインたちが好きという主人公はどうなのか?という疑問が常につきまとう状況になるわけですね。そしてヒロイン側の主張は、別人の感覚があるのは事実として、本来の自分が好きになった人の本質的な部分が全てまるっと変わったわけではないのなら、それはわたしが好きになった人なんだよと。
でもやっぱり主人公としては、ヒロインたちをゲームの攻略対象としてはたしかに好きだけど実際に自分が恋愛するとなると話は別じゃないかと。
どっちも間違ってもないけど正しくもないようなそんな感じがしますけど、ともあれ単純な好きだけで解決する問題では無く長く付き合っていくべき問いだろうと受け止めるところです。そして、それを考えながら読む本作はなかなかどうして面白いと思いました。
なにせこの問題は、ゲームモノに多々ある転生した主人公の言動で話が変わってしまうような展開にも繋がるわけですからね。主人公の中にある、自分が本来の主人公なのかどうかという問いへのヒントとして、実際のゲームから話が変わっているのかという部分は関連する。しかし、本作に関してはやはりここでもヒロイン側もタイムリープしている状況なので、彼女たちの行動でも話が変わってしまう可能性があり、実際にそうなったところが話の終盤にはあるわけですから。そして、その変わった話をまた転生した主人公がどうにか解決したいと願うようになって(ヒロインへの恋心は別に愛着そのものはある女の子なわけだからね)……、その結果、二度目の別人と言い張る主人公からも救われるヒロインという形ができあがる。
うん、やっぱり面白い構図になってます。
さて、この設定部分の話はここまでにして。
本作の重要な要素となるのは、ヒロイン同士の主人公の取り合い、タイトルにもある修羅場なのですが。
最初にも言ったように、ここは正直微妙だったかなと。
理由は単純で、修羅場的な展開のバリエーションの乏しさですよね。そして、これをシリーズ1巻として見たとき、この1巻は中盤から1人のヒロインにフォーカスしている+そのヒロインのシナリオ的課題である母親にフォーカスし出したこともあって、修羅場感はあまり感じられませんでした。
ヒロイン同士がギスギスしているけど、それ以上でもそれ以下でもない感じですよね。
そして、主人公がそもそもヒロインたちとの恋に積極的では無いことに加えて、この1巻で複数ヒロインモノの強みがあまり出ない、さらに話の流れとしてはヒロインの問題解決のためにヒロインの母親にフォーカスするような展開になるともくれば、必然的に恋愛的な部分の面白さも弱くなっていましたね。
この作品がゲーム内転生×タイムリープヒロインという設定部分での面白さが大きな比重を占めているとは言え、その舞台がギャルゲーである以上やっぱり恋愛面が弱いのは惜しいと感じました。
最後に、明確にわたし個人がキツいなと思ったのがギャグのノリですね。
というかヒロインの1人(今回フォーカスされる子)が攻略済みとはいえ、ほぼほぼ終始「ちゅきちゅき」とだけ発言して甘えてくる子で、さらにその母親も終盤のシリアスな空気が破れたところで同様の「ちゅきちゅき」だけを言い出すので……、いくらギャルゲーでもこれはキツい。
あと、全ての話に関わってくるヒロインの母親にフォーカスする内容が終盤に来る件について言及すると、これそのものは別に悪くないと思ってます。むしろ本作の設定世界観があればこそ、主人公ヒロインたちだけの輪に留まった話ではないという部分は、その設定の妙を感じさせるのは良かったのではないかと。
ただ、その中のシーンのいくらかは、ウェブ連載時に母親人気が大きかったことでの書き下ろしだったとあとがきで言及されているので、わたしの述べたような意図はあまりなかったりしそうですね。さらに言えば書き下ろしの展開がどうにもそのキャラ人気のファンサのための展開に見えてしまい、本当に展開として必要だったか微妙な感じになってますし。
そんな感じですので、感想をまとめると最初に言ったようなものになりまして。
キャラやストーリーは微妙なところが目立ち、ノリがキツい部分もあるけど、設定世界観は非常に新鮮味がありそれを頭に入れながら読むところはなかなか面白かったと。
総評
ストーリー・・・★★☆ (5/10)
設定世界観・・・★★★★ (8/10)
キャラの魅力・・・★★ (4/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻への期待・・・★★☆ (5/10)
総合評価・・・★★★(6/10) 設定は良いので、今後次第で化ける可能性はありそうです
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。
