【新作ラノベ感想part292】誰もが羨む隣のクール美少女、実は脳内ピンクすぎる
今回の感想は2025年8月のファンタジア文庫新作「誰もが羨む隣のクール美少女、実は脳内ピンクすぎる」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
お前らの憧れのクール美少女は、朝からエロ小説を読みふけるヤツだぞ。
教室に姿を現せば誰もが視線を奪われ、さらには成績優秀、運動神経バツグンの完璧クール美少女――神楽莉央。しかし隣の席で実はテレパシストの俺、米峰純斗だけは知っている。
『複数人に弄ばれているのに、体は抗えない……とてもいい』
彼女が自分の席で読んでいるのはエロ小説(エグめ)だということを!
そして数学の授業中に『あの先生、竿役にいそうだよなぁ……』と最悪な連想をしたり、体育の時は女子に対して『胸おっきいよなぁ。後ろから揉みしだきたい』と神楽の脳内は常にピンクすぎることも!
誰とも深い仲にならない彼女だが、なぜか俺にだけは心を開き距離を縮めてきて!?
第9回カクヨムWeb小説コンテストラブコメ部門〈特別賞〉&〈CW漫画賞〉受賞作!
感想
ごめんなさい。
純粋に面白さが分かりませんでした。
本作はラブコメ作品。
その中でも、いわゆる主人公だけが何らかの理由でヒロインの誰も知らない一面を知ることができる系のラブコメ作品。
そして、この「何らかの理由=心の声が聞こえる」「誰も知らない一面=妄想癖」となっている形ですね。
さて、本作を全く面白くないと思った理由ですが。
端的に言えば、話にまとまりを感じられなかったから、ですね。
これはあくまでも、わたしの読み方の問題もあるかもしれないと思うのですが。
わたしは基本的に、作品にある要素や設定はそこから如何にして要素同士を結びつけることができるか、あるいはそこから話を展開したり、キャラの深掘りをできるかを重視しています。
例えば、ストーリーが最初から一本筋で決まっているような作品があったとして。
その一本の軸というところから、如何にして枝葉となる要素に結びつけていくか、あるいはその一本を通じてどこまで主人公を掘り下げていくのか。
例えば、ちょっと特殊な設定が売りの作品があったとして。
その特殊な設定があるからこそ生まれる展開を描いたり、あるいはその特殊な設定があるからこその独自のキャラ造形を描いたり。
つまるところ本作の場合、
「主人公がテレパシストであること。」
「そしてヒロインに妄想癖があること。」
この2つの要素があるからこその、独自の展開だったり、キャラの魅せ方だったり、そういうものを期待していたということになりますね。
そして、それが全然なかったと……。
何故主人公はそんな特殊な体質なのかを説明していくような掘り下げはありませんし。意識せずに他人の声が聞こえるのは大変だよねくらいで、テレパシストという体質故の苦労だったり、少し歪んでしまった性格だったりというものも特に見られませんし。とりあえず聞こえます、そうですか、と。
また、主人公の能力は自分でONOFFができないという設定があるのですが。これがまるで意味をなしてないです。肝心なところでは役に立たないなんて展開もなければ、逆に聞きすぎてしまったことで大きなトラブルになるような展開もなく。都合の良いところは全部聞けるなら、なぜその設定があるのかと問いたい。
ヒロイン側に関しても、何故そんな妄想癖を持つようになったのか。そのQAを読者視点である程度理由付け自体できなくはないですけど、別に妄想癖であるべき理由にはなってないですし。そもそもそこが掘り下げられない以上、このヒロインならではの魅力というものが何一つ見えてこない。
妄想癖がタイトルで読者を釣る、第一印象で読者を釣る以外の効果を何一つ発揮してない、ただの死に設定にしかなっていないというのは致命的ではなかろうか。
この主要な設定を捨てた結果として、話としては妄想癖とは全く別のところでこのキャラを掘り下げていくことになるわけですが。その母親とのいざこざみたいな部分が茶番レベルの薄さで解決しちゃいますし、その中でヒロインが主人公に気を許しているようなことが描かれますがその理由までもが薄すぎて何言ってるかまるで分かりませんし。
このような問題はサブヒロインにも当然波及しています。
サブヒロインの1人は透視能力を持っているようですが、主人公のテレパシーすら掘り下げないのですから、お察しの状態。(とはいえ、このヒロインはとあるワンシーンだけは面白いと思いましたが。本作唯一異能力が活かされてたところだった気がします。)
もう1人のサブヒロインは明確に主人公に好意を持っていることが心の声から分かり、さらにその友人の女の子は主人公を毛嫌いしているらしいですが、それだけですよね。心の声が聞こえるから、何となくできそうな雑なキャラを登場させているだけみたいな状態。ヒロインとしての魅力は一切見えない。
……何というか。
本当にこれはあくまでわたしの中での感覚で、それが絶対というわけではないですが。
何か設定があったら、その設定はそうであるべき理由があると思ってるんですよ。
個人的に、いちばん分かりやすいと思っている例は異能力系の作品における「不死」とか「超再生」みたいな特殊能力で、これはただ死なないとかだけではなく、逆説的に「死ぬくらいボコボコにされる展開がこの先に必ずありますよ」という話になるものだと思ってます。だってそうですよね、死ぬレベルの事態に直面しないなら、死なないという設定が直接的に活かされることはないのですから。(もちろん間接的に、そういう体質だからこそのキャラの性格とか言動を重視して描く作品もありますよ。)
つまり「Aという設定がある」ならば「Bという話になる」が常にあってほしいんですよ。
そして、これを前提とした上で、「Bという話がある」ならば「Cというキャラの性格になる」とか「Dという新たな展開になる」とかそういう数珠繋ぎがどれだけできるかがその作品ならではの面白さになる……のだと、わたしはそう思ってるんですよ。
本作では多くの設定や要素が、
この数珠繋ぎがBの段階で終わってる、あるいはそのBすらあってないようなもの、という状況になっているから、わたしの感覚では話に面白みを感じられない、まとまりを感じられないという気持ちになってしまっているというわけです。
……ですから本当にあくまで、わたしの中の感覚の話ですし、読み方の問題なのだとは思いますけどね。
片付けのできない子ども部屋を見たときそれはそれで子どもらしくて良いと判断するか、ただごちゃごちゃしてるなと判断するか、みたいな違いです。わたしにとっての本作は後者だったと。
それに設定とか要素からの深掘りや広がりが薄かったとて、純粋にキャラが魅力的とか、読み心地が良いとか、コメディセンスがキレキレとか、そういう別の角度からの面白さがあればそれはそれで良かったのですがそれもないですしね……。
ともあれ、本作に関しては読んでいて終始「どこが面白いんだろう?」としか思えませんでした。すみません。
総評
ストーリー・・・★ (2/10)
設定世界観・・・☆ (1/10)
キャラの魅力・・・★ (2/10)
イラスト・・・★★★ (6/10)
次巻への期待・・・☆ (1/10)
総合評価・・・★(2/10) 良し悪しとかではなく、わたしの感覚として純粋に面白くなかったです。すみません。
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。
