ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part296】明治ガラクタスクラップマーチ

 今回の感想は2025年4月のダンガン文庫新作「明治ガラクタスクラップマーチ」です。

明治ガラクタスクラップマーチ1 蒸都浅草動乱篇 (ダンガン文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 西暦1888年、浅草。古来より日本に巣食うヒトならざるモノ《マガツヒ》との戦いにより焦土と化した土地は、英国式の蒸気技術を用いて復興を成すことに成功していた。国内外からあらゆる素性の者が集い、無秩序な拡大を続けた無法都市には体を蒸気義体に置換した者たちがあふれていた。伊奈土楽もそのなかの一人であり、先に行われた内戦にて使用された実験兵器ーー蒸気兵の生き残りであった。

 戦いの日々が終わり、世界が平和へと向かうなかでも土楽はかつての仇を見つけるため、物騒な依頼をこなす日々を過ごしていた。

 《士族》。超常の力ーー導術を用い、人間離れした身体能力を有する究極の局地戦闘民族。そんな《士族》の一人を見つけるため、土楽は旧知の仲である加東から蒸気船を護衛する依頼を受ける。

 難なく終わるはずの依頼だったはずが、船は《士族》の襲撃を受ける。バタバタと仲間たちが倒れるなかで、土楽は自身の運命を変える出会いを果たす。

 

感想

 うん、面白かったですね。

 話の濃密さとバトルアクションの満足感が非常に高く、スチームパンクというジャンルらしい面白さも味わえたかなという気持ちです。




 本作、ジャンルとしてはスチームパンク

 時代としては明治、戊辰戦争西南戦争?あたりのイメージ。

 政府に反旗を翻した士族と戦う、主人公たち蒸気兵という構図で、その中でも主人公はとある士族の男への仇討ちを胸に秘めているといったお話でしょうか。

 

 世界観としては、マガツヒと呼ばれる異形が存在し、かつてはそれに大きな被害を受けた背景があって、それを導術と呼ばれる異能でそれら打ち滅ぼしたもののその後反乱する士族と、それにどうにか対抗するため生み出された蒸気兵があり、現在に至る……、みたいな感じだったと思います。

 わたしがあまりこの手のジャンルを読み慣れないのもあって、なかなか序盤は世界観を掴みづらいと思うところがあったかもしれませんね。

 

 とはいえ、物語の早いうちから士族との遭遇があり。基本的には蒸気兵単体では士族には勝てないと説明した上で、主人公とかつての仲間たちの決死の戦いという状況に突入することで。

 さながら映画の冒頭アクションシーンを想起させるような形の大きな掴みがあったことで、最初からこれは面白いぞという気持ちで前のめりになれたのは上手い構成だったと思います。

 そして、そこから主人公が人造魔女と呼ばれるヒロインと出会ったり、彼女と共に戦ったり、束の間の安息があったと思いきや仇と遭遇してまた戦って戦って……、と冒頭の勢いを落とさずに展開される話も読み進める手を刺激してとても良かったです。

 

 そして、個人的に好きだったのはそのバトルアクションにおいて情け容赦なくばったばったと斬って斬られるところですね。

 特に本作では、主人公たちは蒸気兵、機械仕掛けの体であるため多少の損壊は修理すれば良く。またヒロインも人造魔女と呼ばれるほぼほぼ不老不死の存在であるので。

 そんな彼ら彼女らだからこその、腕の一本や二本、体の一部が吹っ飛ぶくらいでは致命傷にならず、一人でも多くの敵を倒すべくなおも戦いへと臨む姿というのが最高なんですよね。戦うロボットはボロボロになるときにいちばん輝く、みたいなものを全編通してやってる感じですかね。

 そして、この不屈の闘志や死を前にしてそれでも戦う理由みたいなところで、主人公の土楽とヒロインのユィルのキャラを魅せるのに活用されているので、そんな2人のバトルシーンの読み応えがさらに増すのも強いですね。

 

 というわけで、

 全体的に設定世界観からアクションシーンとそこで動く主人公ヒロインという部分に繋がり、最初から最後まで一気に流れる戦いの様子に大満足できる。

 そんな感じの作品だったと思います。




 ですので、本作そのものに基本的には不満はなく、この1巻の完成度で言えば間違いなくこれ以上の改善は90点を95点にするくらいに大変だろうと思うくらいではあります。

 

 が、それを承知で言うならば、キャラの関係性の部分にはもう少し描写ほしかったなと思います。

 例えば、主人公の土楽とヒロインのユィル。この二人は、ある種の同族気質であり、ユィルが土楽のそれを察して最初からかなり高い好感度で接してくるような形になっているので、そこに違和感とかを覚えることはないですが。

 やはり読者としては、終盤に彼女に感化されクライマックスの戦いに臨む主人公という起承転結の転をやるのであれば、そこにより強い気持ちを感じるための二人の関係値の時間的な積み重ねや細やかな心情みたいな部分はもう少しあって良かった気がします。

 他にも、主人公の元仲間たち。思っている以上にサクッと退場するので、ちょっと勿体ない気が。大きな戦いを生き抜いた者ですら、ちょっとタイミングが悪ければあっさり逝ってしまう士族という敵の強さや世界観を見せたり、終盤の機械仕掛けならではの演出のためには仕方ないのかもですが……とはいえかな。

 

 実際の戦時を思えば、いつ戦いになるかなんて分からないですし、このくらいの連戦バトルバトルになるのかもですが。話として見るには、バトルとバトルの合間の時間、そしてそれがあってこそのキャラの深掘りができそうに思います。(キャラにフォーカスせずとも、より一層の世界観の補強とかでも同様に。)

 

 まぁ、端的に言えば。

 重厚な世界観とそれに伴うバトルが売りで、そこを中心にした重要な部分をちゃんと取捨選択して、構成もじっくり考えたのは読めば理解できるのだけど。やはり内容が内容なだけあって、文量が若干足りず、詰め込み気味に感じるところもあるのかなという感じですかね。

 個人的には、この手のバトルアクションで人外らしさを存分に発揮する本作も大好きですが、やはりどうしても人外らしさはキャラ同士の関わりの中でも見たいと思ってしまう人間なので、このように思ってしまいますよと。それだけの話ですね。

 面白かったからこそ出てくるもう一声、みたいな気持ちです。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)  

 設定世界観・・・★★★★☆ (9/10) 

 キャラの魅力・・・★★★ (6/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)  

 次巻への期待・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) ボロボロになっても戦う者たち、そういうのはやはりカッコいいですね

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

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