ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part297】死亡エンドを回避したギャルゲーのヒロインたちが俺の【日記帳】を読んで秘密を知ったらしい

 今回の感想は2025年9月のGA文庫新作「死亡エンドを回避したギャルゲーのヒロインたちが俺の【日記帳】を読んで秘密を知ったらしい」です。

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あらすじ(BWより引用

 ヒロインたちが俺を崇拝する危ないヤンデレになってしまった。なぜ……?

 

「……私はもう君のことしか見えてないから。ずっと一緒にいようね?」

 ギャルゲー世界に転生した俺は、ヒロインたちに迫られている。

 しかし、一つだけ問題があった。

 

「ごめんなさい。私を捨てないで。嫌いにならないで」

「私が尽くすのは聡君だけだよ――死ぬまでね」

「聡様。貴方に助けられた御恩は一生をかけてお返しします」

 

 それはヒロイン全員が病んでいるということだ!

 一体どうして彼女たちはこうなってしまったのだろうか!?

 ――ところで、俺の【日記帳】はどこにいったんだ?

 

 

感想

 お話としてはなかなか面白かったと思います。

 ただ個人的な印象として、この手の話のアイデアに特化した作品は、どうにもそれ以外のキャラだったりが弱くなりがちであり、本作も例に漏れずといった感覚でしたね。



 本作は美少女ゲームのモブである入谷聡に転生した主人公が、バッドエンドで事故に遭ってしまうヒロインたちをその身を挺して助けることから始まるお話です。

 それを機に、ヒロインたちは主人公の日記帳を見てしまい、そこには自分達の生きる世界がゲーム世界であること、そして自分達が好きになっていた本来の主人公がやっていたと思っていた行動の全ては聡が行っていたことだと知る。

 バッドエンド後、ようやく世界の強制力が無くなった世界で、全ての真実を知った彼女たちは聡へ全幅の愛を注ぐようになって……



 本作のいちばんの面白さはやはり”ゲーム世界”に対する数々の言及にあったと思います。

 なにせゲーム内世界に転生した主人公だけでなく、4人のヒロインたちも含めて、物語の登場人物たちが自分達がそうであると自覚してしまうことから始まるお話ですからね。

 そして、そんな彼女たちが自分達の気持ちが作られたものだったと知ったときの憤りや空虚感、そういったものを強く描き出し、そんな彼女たちが決意した1つの復讐、それが導く先の展開は「なるほど、そう来たか!」と素直に唸らされる真実が明らかになったりします。この手の物語の中で、物語に対するアレコレを魅せてくる入れ子構造じみた世界構築は”ゲーム世界”をテーマにした作品として非常に面白かったと思います。

 何よりも、本作の場合は最後に一気にひっくり返される感覚と言いますか、それまで散々ヒロインたちが自分達が物語の作り手に操られていたことへの憤りを見せて動き続けてきたのに、結局本作そのものがこういうアイデアの作品を書きたいよねという現実の作者によって作られたものでしかないという事実が、ヒロインたちの作り物感を強調してきてるのが皮肉っぽくて良いです。

 

 

 一方で、本作の良くも悪くもと思う部分もありまして。

 本作はゲーム世界はゲーム世界でも、そのゲームが”美少女ゲーム”なんですよね。

 そして美少女ゲームとして見たときにわたしは本作に0点をつけたくなる。それは今しがた言及した、ヒロインたちが結局物語のための存在にしか見えないというのが理由ですね。

 

 端的に言えば、ヒロイン4人いて誰にも魅力を感じません。

 そもそも、彼女たちの好感度を上げたのは、主人公の日記帳に描かれていた過去の出来事。すなわち好感度を上げた過程を読者は回想や説明としてしか見ることができません。またやった行動そのものも基本的には本来のゲーム通りにしようとする試みのみ。この主人公とヒロインだからこそのエピソードというものがほとんど存在していない。物語を通じたヒロインの変化というものを一切見ることができません。エンディング後の好き好きの距離感だけで進まれても、ああそういうものなんだなとしか受け入れられない。

 特に、本作は美少女ゲームらしく各ヒロインのアフターストーリーのようなイチャイチャ掌編を入れてくるのですが、美少女ゲームのアフターはちゃんと1から攻略してるからこそ楽しめるものであって、本作のソレは何を楽しみに読めばいいか全く分からない掌編にしかなってないのですよ。

 

 また、個人的に本作でいちばん物申したいのが、本作のヒロインたちを全員ヤンデレと言っていることですね。

 たしかに病んでいるのは間違いないです。しかし、これは本当にヤンデレですか?そう思って仕方ない言動が多々あるのです。これはどちらかといえばメンヘラではないかと。そう思ってから振り返ると、公式あらすじの中でも既にこの混同が見られている気がしてきますしね。

 ヤンデレとメンヘラの違いは、正直その道の専門家に語らせたら長く複雑なものになりそうで、素人のわたしがアレコレ言っても仕方ないなと思うので割愛しますが、少なくともわたしはこれまで見てきたヤンデレヒロインのような魅力を本作からは微塵も感じられなかったです。

 ここで問題になるのが、一読者のわたしの目から見て、ヒロインの魅力という部分にそこまで力を入れてないのではないかと感じてしまうことそのもの。ヒロインを端的な属性で言い表すときに、その言葉選び1つをここまで間違えるのかと疑念を抱かせてしまうのはいかがなものかというところ。本来キャラを売りにするだろう美少女ゲームをテーマにしてこういうことを思ってしまうのは致命的です。

 それを感じてしまうと、本作では単純に魅力の無いヒロイン4人に囲まれるだけの情緒もへったくれもないハーレム作品モドキという評価に落ちてしまいますし。先述の通り読者はそれぞれのヒロインと育んできたエピソードをダイジェストでしか知らず、主に目にするのは病んだ後の距離感なので、正直4人が誰が誰だか分からないくらいに没個性のただいるだけのヒロインになってしまっている問題も浮かび上がってきます。



 そういうわけで、最終的な感想は最初に述べたとおり。

 話のアイデアに特化した作品でそれは確かに面白いが、それ以外の部分(特にキャラ)が弱くなってしまっているという気持ち。

 個人的には本作はタイトルやあらすじからイメージできるキャラの部分に期待して読んでいたので、満足度はかなり低くなってしまっています。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)  

 設定世界観・・・★★★★ (8/10) 

 キャラの魅力・・・☆ (1/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)  

 

 総合評価・・・★★☆(5/10) ヒロイン全員ヤンデレとかではなく、ゲーム世界に対するアレコレを中心に押しだした方がわたしみたいな事故は減る気がしますね。ヤンデレで押すならちゃんとヤンデレ書いてほしいし、メンヘラならメンヘラとしてほしい。

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

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