ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part299】迷宮クソたわけ

 今回の感想は2025年7月のダンガン文庫新作「迷宮クソたわけ」です。

迷宮クソたわけ1 (ダンガン文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 小説投稿サイト『カクヨム』にて5400万PV(2025/05/27時点)を突破した超傑作が、新たなビジュアルで再始動!さらに15,000文字オーバーの書き下ろし、女僧侶ステアによる本編前日譚『夜明けの星』も収録!

 悪意の迷宮。勇猛果敢な英雄が仲間たちと徒党を組み、神話に出てくる魔物たちと戦い、財宝を得る。そんな御伽噺の舞台へと足を踏み入れた僕らは、薄暗い迷宮のなかで眼前に迫る敵に対して身構える。……三匹の大ネズミ。喜劇的とも言える死闘。ネズミに翻弄され、息も絶え絶えになる前衛に、たった一度しか回復魔法を唱えられない僧侶の少女、そしてたった一度、火球を出せるだけの魔法使いの僕。

 激闘と尊い犠牲の末に手に入れることができたのは、汚い革製の帽子が一つ……

 奴隷狩りに捕まり債権奴隷になった少年の冒険が始まる。

 

感想

 本作はいわゆる異世界ダンジョンモノの作品。

 債務奴隷である主人公「ア」が仲間たちと共に危険な迷宮に挑むお話で、そしてそれ以上にそういう環境や世界で生きる者たちのお話でした。

 

 この作品の面白さはファンタジーの現実を見る、そこにあったのではないかと思います。

 

 主人公に特別な力はない。多少の魔法が使えると言っても回数制限付き。使ったら確実に勝てるような必殺技なんかではないし、魔法を使わない魔物とのタイマンだったらほぼ確実に負けるくらいの普通の身体能力しかない。

 仲間たちも同じく。それぞれが戦士だったりヒーラーだったりと、役割に相当する力はあるにしろ特別なものは1つもない。

 

 そんなものたちがダンジョンに挑む。

 それは文字通り危険な道。ほんの少し油断すれば一瞬で命が刈り取られるような過酷な環境で、実際に何度も仲間たちの死を目の当たりにしてしまう。回復魔法がある世界といえど、蘇生には莫大な金がかかるので、ときには一度死んだ仲間に対して再度死を突きつけるような選択をしなければならなかったり。そんな世界で生きていれば、いつ自分もそうなってしまうか分からない漠然とした恐怖に襲われて、しかしそれでも債務奴隷である主人公が自らの借金を返済しなければならないように、それぞれの仲間がダンジョンに挑まざるを得ない状況があるから毎日毎日そこに向かう、と。

 

 奇跡なんてものはない。だからこそ一歩一歩確実にいかなければならない。そういう状況にだからこそ、主人公「ア」のような仲間の間を取り持つような言動だったり、あるいは死を前に必要以上に慎重になろうとするリーダーのシグの方針だったりという、それぞれのキャラの細やかな部分に彼らの”生きる術”を感じさせて面白いですし。

 

 危機に陥ったときの仲間内での不和だったり、誰かに責任を求めたくなる衝動だったり、あるいは聖職者である仲間ステアの神様を信じるが故の死を前にしたときに大きくアイデンティティが揺らいでしまうような描写にもまたリアリティという魅力を感じさせてくる。(正直、この1巻でのステアの変化見てるのがわたしとしてはいちばん好きでしたね)

 

 また、本作では過酷なダンジョンの日々を描く作品でありながら、主人公「ア」を中心とした仲間内での恋愛模様というのもかなり描かれていまして。これには読む前のイメージを良い意味で崩されつつ、しかし同時にこういう環境だからこそ吊り橋効果とは言いませんが、ただの恋情だけではなく確実に想い合う絆は深まるのだろうと思わされるところで面白かったと思います。



 あと、少しだけ蛇足になりますが一応言及すると。

 1巻全体の内容として、本作に大きな山場や派手な展開のようなものはなかったように思います。これはダンジョンで生きる者たちの日々を描く本作の方向性として避けることの出来ないところ。

 ただ、ここまで述べたように本作はその方向性の中で、こういう作品だからこその魅力やキャラの言動が無数にあり、それが作品世界へ強く根付いていることで非常に満足感のあるファンタジー作品として仕上がっていたのではないかと。

 彼らのゴールというのは遙か遠く輪郭すら見えないもの、この先もまだまだ仲間を失う可能性が多くある、それでも少しでも平和に何事もなく彼らの行く末があると良いなと願います。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)  

 設定世界観・・・★★★★☆ (9/10) 

 キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)  

 次巻への期待・・・★★★☆ (7/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) 過酷なダンジョンで生きる人々のリアリティを感じるファンタジー作品

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

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