ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part303】隣のゴリラに恋してる

 今回の感想は2025年3月の電撃文庫新作「隣のゴリラに恋してる」です。

隣のゴリラに恋してる (電撃文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

 

あらすじ(BWより引用

 ――どうやら俺は、隣の席のゴリラに恋をしかけている。


 “異性が動物に見える”という呪いを受けている俺だが、もしかしたら隣の席の“ゴリラ”に恋をしているかもしれない。筋骨隆々、ごわごわした体毛、彫りが深く逞しいお顔――恋をする相手としては文字通り人間離れしすぎているが、声としぐさ、会話による反応は完全にクールな女の子だ。そんなゴリラさんと日々仲良く(?)絡んでいると、やはり惹かれていることを自覚してきて……でも一番大事な解呪方法が一向に見つからない!

 そんなある日、男子用の制服を着た一つ先輩の“ネコ”が現れて――

「ボクは知っているのよ――この呪いを解く方法を」

 これは呪いで彩られた俺とゴリラのなんでもない日常の物語。

 

感想

 個人的にはかなり好きな内容で、楽しめました。

 ただ、全く不満がないわけでもなく……、というところは以下感想にまとめていきます。




 本作はジャンルとしてはラブコメ。そこに+αのファンタジックな要素があるタイプ。

 その+αな要素というのが、主人公は異性のことを動物の姿でしか見ることができないというもので、メインヒロインのことはゴリラに見えているというところになります。

 そして本作の内容としては、そんな主人公がゴリラにしか見えない彼女と日々の会話や交流で徐々に気になっていく中で、しかしゴリラにしか見えない子をすきになるのか?という自問をしながら、同じような呪いにかかっている先輩と出会ったことから呪いの解除のために動き出す……、といった形になっています。



 したがって、本作は恋愛に発展するまでの心の変化よりも、+αの要素を中心にして恋愛に対する向き合い方にフォーカスしている作品だったと言えるでしょうか。ですので、この点は個人的にとても好みの形になっていて、楽しめたところでありました。

 

 目で見える姿はゴリラである以上、そこに性的な欲求とかを覚えることはない。けれど確かに心惹かれているという事実があって、それを恋心と見なせるのかどうかという主人公ならではの悩み。この描写そのものももちろん本作の重要なテーマとして良かったけれど。

 この相当シリアスな悩みを踏まえてなお。それを悲観的に思わず、適切に対応するための処世術として主人公の性格や軽い口調があったり、現実の異性に興味持てないが故にアニメや漫画好きであるというような細かなキャラ造形があったりして、全体的に好感を持ちやすいキャラになっているのが良かったですよね。またその性格から上手くラブコメのコメディの空気を担保しているところが上手いなと感じるところ。

 そして、呪い解除のために先輩と行動する中では。あくまで視覚情報としてはアニマルであるけれど、実際にアニマルになっているわけではないので手を握るなどの行為には確かに現実の女の子を相手にしている感覚がありドキドキできるという気づきがあり。特に暗所で、相手の顔が上手く見えない状況などでは効果的に発揮するという描写はなかなか上手いところだったなと。

 さらに、終盤のクライマックスでは主人公視点でアニマルにしか見えないことが非常に効果的に発揮される演出があり、一方で読者的には挿絵でその変化を明確に見ることができうというアシストも非常に上手く機能していたのではないかと思います。




 一方の、不満として感じたところとしましては。

 第一は、やはり主人公目線の挿絵が一つもないところ。つまりゴリラ姿のヒロインが一切ないところ。終盤の演出のため、完全に全てアニマル姿の挿絵にするのは無理かもしれませんが、最低限表紙をめくったら表紙と同じ構図のアニマル姿差分みたいなイラストくらいはあっても良かったのではないかと。

(もちろん挿絵を全て主人公視点にすれば、いざ主人公の呪いが解けてヒロインの姿を初めて見ることができたときに、その感動を共有するなどのメリットはあるので、それはそれで良いかもしれないですが、俯瞰視点で読むわたし個人は要所要所にアニマル姿差分があればいいかなという気持ち)

 

 

 また、もう1つは先輩関連のところですね。

 呪い解除云々のために、必然的に主人公とその先輩との行動が増えることで、中盤はメインヒロインの出番が単純に減少してしまうこと、なおかつ主人公の気持ちはメインヒロイン固定のため先輩の負けヒロイン感が増していることが、まず少し勿体ないかなと。

 しかして、この負けヒロイン感という部分に関しては、実は続編があれば回収しようとしている伏線があるのではないかと思うところがありまして。それが主人公の部活仲間に女装癖について語る友人がいるところ。先輩の持つ呪い「本来女である自分の姿が、周囲からは男と認識されてしまう」というTSという共通属性を持つ部分から、この2人を上手く噛み合わせたサブカップルとして、2巻などでフォーカスするつもりなのではないかと。

 そういう想像をしてしまうと、このサブルートがやや中途半端なまま放置されているように思えて惜しいなと思います。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)  

 設定世界観・・・★★★★ (8/10) 

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)

 イラスト・・・★★★★ (8/10)  

 次巻への期待・・・★★★★ (8/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) 設定から転がすタイプの作品はやはり読んでて楽しいですね。ただ、続巻がないとやや中途半端に感じるところが多く、是非続きも読みたいところ。

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください↓

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