【新作ラノベ感想part311】縄神さんは縛られたい
今回の感想は2025年10月のMF文庫J新作「縄神さんは縛られたい」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
クラスでは孤高のドSなお嬢様が、僕の前でだけ至高のドMなんだが──!?
同じクラスの縄神さんは、僕の学校では超有名人だ。
美人お嬢様でギャル、だけど誰ともつるまず、しかも口が悪い孤高でドSな不良生徒──のはずだった。
僕・戒野誠史朗は、ある日偶然、とんでもない姿で×××(自主規制)している彼女を目撃してしまう。しかもそのまま彼女の「お願い」に毎日付き合う事になり!?
「わたしが浅ましいドMだと知るのは、世界で戒野くんだけが良い」「あんまりガタガタ言うとわたしの尻叩かせるわよ」「こ、こんな強めに縛ってくれるなんて……う、嬉しい、でしゅっ」
他の誰も知らない、自由奔放な縄神さん。僕への独占欲と「お願い」はどんどんエスカレートしていき──!?
感想
うん、なかなか面白かったです。
個人的には好きな内容でした。
が、しかし、気になるところがないわけでもないですよね。
本作は、学校で生徒会長として模範的な生徒として勤める主人公が、縄神家という良家の娘でありながら家族と喧嘩中のヒロインの専属執事の依頼を受けることから始まります。その勤務初日、縄神さんの痴態を目の当たりにしてしまい、その流れから彼女の性癖を満たすことに付き合わされることになり・・・というようなお話。
本作を読んでいて良いと思ったのが真っ当にラブコメであったことです。
主人公とヒロイン、それぞれがお互いを認識する、気に掛ける最初のきっかけは本編の関わり以前の学校内でのエピソードにちゃんとあって、その上で主人公が執事になってヒロインの本性がバレてしまったことからより接近していくという流れがあります。
そして、その二人の距離を縮めるのはヒロインのMな欲望を満たすような行為を中心としたものになるわけですが。
その前提として、そもそもヒロインが家族から常に良家の娘として求められ続け、普通の子供らしいただ親に認めてほしいという気持ちが満たされない寂しさを抱えているからこそ、家族と喧嘩してしまっている、そういう背景があるんですよね。
すなわち、家に縛られることを疎いながらも、大切な誰かとは繋がっていたい、本当の自分を見てほしい、そういう内面があり、そこが彼女の性癖とも結びついて描かれるということ。
それは縄神さんというヒロインがただの物理的なMではなく精神的なMとしてのキャラの説得力を持たせるだけでなく、真っ当にラブコメをするという面白さを掘り下げるアクセントとしてしっかり機能している。そういうふうに感じました。
そして、そんな彼女の性癖に振り回される主人公に関してですが。
彼は、いたってノーマルな男でありますが。そういう彼女の抱えている何かを察するからこそ、それが傍から見たら少し特殊なものと知りながら彼女の心と性癖に寄り添えるように努め、下手な下心を見せず真摯に向き合う姿にはなかなか好感が持てるというもの。
さらに彼が妹を溺愛する姿や、妹が彼に見せる一見ツンケンしながらも兄からの親愛を悪くは思っていない態度などから窺える良好な家族関係は、ヒロインの境遇との対比にもなっており。そういうエピソードを踏まえた主人公だからこそ、家族関係について思うこと言いたいことがあって、終盤の展開にも効いてくるようなものもとても良かったなと。
そういう意味で、本作はタイトルから前面に押し出される性癖モノの作品であるものの、その性癖をベースにしたキャラクターの描き方やラブコメの進展をしっかり描いてくれる作品でしたので、個人的には楽しく読めた作品だったと思います。
ただ、一方で手放しで全部褒めるかと言われたそうでもなく。
なんというか絶妙に読んでて話のメリハリが弱いと感じるというか。ところどころ話がだれてるように思うというか。
感想として良かった部分を抽出すれば、ここまで述べたような感想になるけれど。それ以外の触れてない部分も結構いっぱいあるよね、というところがありまして。
端的に言って、読んでいる間が終始楽しかったわけではなく、普通に退屈な展開も多々あったよねと。そして話としての緩急がやや弱いように見えたよねと。そういうネックな部分もたしかにあるのではないかと。
そういう気持ちがあります。
あとは、わたしは本作の性癖からキャラをしっかり見せるような形を良いと評価しましたが、その分性癖モノとしてのパワーが弱くなってしまっているように見える人もいるでしょうし。また本作は学校内では主人公が生徒会長であり、生徒会メンバーに他に二人の女子がいるのですが、ここが恋愛的な競争を生み出す感じではないのはキャラ名タイトルのラブコメ(タイトルから1対1を想起させるもの)としては良いのかもですが、だとしたらこの生徒会メンバーの描写が割と多いのは1巻時点でそこまで必要だったのかと疑問があったり。
そういう見え方次第でどうともいえそうな部分が多いのも人を選びそうですよね。
総評
ストーリー・・・★★★ (6/10)
設定世界観・・・★★★☆ (7/10)
キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)
イラスト・・・★★★★ (8/10) (あそこまで堂々としたお風呂シーンの挿絵はなかなか見ないですね。)
次巻への期待・・・★★★☆ (7/10)
総合評価・・・★★★★(8/10) 個人的には好きなお話でした。Mといっても一概に物理的なMなわけでなく、こういう精神的なMを描くのは、ヴィジュアルではなく文章を主体にするラノベには合ってるように思いますし。
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
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