ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part322】願い星は君にほほえむ

 今回の感想は2026年5月のガガガ文庫新作「願い星は君にほほえむ」です。

願い星は君にほほえむ (ガガガ文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 忘れられない、僕たちの七夕伝説。

 

 はじめまして、織姫と申しますっ。

 実は一週間後、大きな大きな龍がこの町を滅ぼしてしまうんです。私は龍神の復活を止めるために「七龍祭」を成功させて、みんなの青春を守りたい。アルタさんは嘘まみれって言うけれど、そんな世界だって守りたい。だっていつの時代も“居場所”は必ず生まれるし、人間と七夕は美しいって信じているから!

 これは、ハルマゲドンを食い止めるために私たちが奔走した7日間の物語。美しさと儚さがぎゅっと詰め込まれています。

 あなたにとって七夕とはなんですか? いま、なにを願いますかーー?

 

 

感想

 映画映えしそうなひと夏タイプの物語がちゃんと良い作品としてお出しされた、そういうやつでした。面白かったです。

 

 本作は、田舎町で周囲に馴染めない主人公とその仲間たちが、織姫と名乗る謎の少女と出会い一週間後に町が滅びるという予言を受け、それを阻止することから始まる、そんなお話です。

 

 個人的に良かったと思うのは、物語の方向性は町が滅びるのを阻止するという壮大なものでありながら、その中では主人公たちの中学生の少年少女らしいところがしっかり描かれているところなんですよね。

 

 まずもって大事なのが、主人公たちはみんな田舎町のコミュニティに馴染めていないというところ。

 主人公のアルタは不登校でなかなかひねくれた思考をしてて、彼の秘密基地に入り浸る天流は不良として周囲から煙たがられ、叶絵という少女は周囲と浅く広くで八方美人で付き合っている、合計3人それぞれが周囲に対して壁もしくは距離があるような感じ。

 

 だからこそ、本質的なところで3人には町を守る義務もなければ、義理すらないと言ってもいいようなスタートなんですよね。あるとすれば、漠然とした自分のたちの町がなくなると聞いて見て見ぬふりするのもなぁ……くらいの気持ちだったように思います。

 そんな3人だから、町を守るためには、儀式を成功させなければならない。儀式のためには、7つの神器が必要である。神器は町の名家の家系に散らばっており、それぞれ交渉して手に入れなければならない。――そんなあまりに遠回りで面倒な、作中の言葉を使えばまるでRPGのおつかいのような展開には不満もいっぱい出るし、途中で投げ出したくもなってしまう。

 

 けれど、最終的に彼らは最後までやり遂げるわけです。

 その過程にあったのは、必然的に町の人々と関わることになる状況だったからこそ、改めて自分自身に突きつけられ、向き合わざるを得なくなった自分の抱えている周囲との壁です。

 この一件で出会った織姫を含めた4人の輪、最初こそ小さく閉じたあぶれものたちの居場所だった関係が、町の命運を巡る物語の中で徐々に広がっていき、自分たちだけの世界でないことを知り、その上で改めて自分たちの居場所と大切な4人の仲間を守るための戦いであるそ、そんな面持ちで儀式のため奔走する姿はとても良いものでしたとも。

 子どもたちらしい真っ直ぐな心の移り変わりと熱を感じるような奮闘劇です。

 

 そしてそんな彼らの変化を牽引した町の滅びという壮大な物語。

 その描写である龍という存在、現実に目の前に起こっている災害だったり人の怒りだったり、そういう負の象徴として描かれるファンタジックなもの、この対比がシーンを想像する絵としての映えはもちろん、目に見えるモノとして先述の本作の肝である主人公たちの心持ちにも繋がっているから、読んでいて面白いものでしたよね。

 また、アルタの叔母の存在もなかなか良かったですよ。アルタたち若者の奮闘を見守りながら、裏では大人としてやることをやり、そして誰よりも絶対的に現実をちゃんと見ていた彼女の口から語られるものがあって、初めて見えてきたアルタたち3人と織姫の関係性というのがありますから。(この点に関して、わたしはもう少し馬鹿正直に織姫という名前から素直に大きな宇宙っぽいスケールの話で想像していたものがあったのですけど、本作のメイン3人の変化と結論を見るに織姫の立場がこの形であったのはこれで良かったと思うものです。)

 

 

 そんな感じで、物語としてはひと夏系で1冊での満足感十分な作品。

 ファンタジーな描写と現実の描写の塩梅が良く、映画的画面映えを想像する楽しみがありながら、その中で中心となる子どもたちの内面をしっかり描くことを忘れず青春の1ページとしての心に感じ入る部分もある。

 全体を通して素直に楽しめた作品でした。面白かったです。

 

 

総評

 ストーリー・・・★★★★ (8/10)  

 設定世界観・・・★★★★ (8/10) 

 キャラの魅力・・・★★★★ (8/10)

 イラスト・・・★★★★ (8/10)

 

 総合評価・・・(8/10) 全体的に良い作品だったと感じるものです

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

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