今回感想を書いていく作品は「アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者」
アウトブレイク・カンパニー、通称OBCは講談社ラノベ文庫より2011年~2018年の間に刊行されていた全18巻+外伝1巻のシリーズ。作者は榊一郎。イラストはゆーげん。
※画像はamazonの購入リンク(1巻および18巻)
まずは本作のあらすじ紹介から。
””主人公・加納慎一は自宅警備員として日々を謳歌していた。が、しかしその生活は親によって強制的に終了させられてしまう。行く当てもなく就活して慎一が行き着いた先は怪しげ満載な求人で……、何とドラゴンが普通に空を飛ぶ異世界だった!? 何の力もないオタク青年に課せられた使命は、オタク文化を普及し異世界と日本を繋ぐこと。
果たして慎一は「萌え」で世界を改革できるのか!””
といった感じの作品で、ジャンルとしては現代ファンタジーですね。今回はこの作品の良かったポイントとして3つに分けて紹介をしたいと思います。
1:作り込まれた世界観
本作の舞台は現代日本。そして、そんな日本の富士の樹海にある謎のゲートから繋がる異世界、神聖エルダント帝国。
日本政府は他国には秘密にしながら、独自に異世界という未知への接触交流を行おうとしていて。日本以外の国々はそんな日本を怪しんで、秘密を探ろうとしている。他国に知られる前に、言葉も常識も通じない世界とどうやったら友好的になれるか。武力行使など以ての他。ならば多少の時間はかかるが文化侵略しかない。しかし、政治しか知らない政府ではこれが難しいときた。……ならば、何も知らない一般人のオタクにやらせればいいじゃないか?
と、2つの世界による交貿が本作の大きなバックボーンとして存在した上で、主人公・加納慎一が異世界に飛ばされることになっているのです。
そして慎一がそんな2つの世界の思惑に翻弄されながらオタク文化を広める交流をしていくというのが大きな流れになります。これに加えて終盤になると異世界の秘密にも近づいていくことになり……、とにかくこの作品は2つの世界観とそこにある国の意志というものが非常に丁寧に描写されています。これは現代ファンタジーとしてこれ以上ないほどに重要な部分で、これがあるからこそ物語に深みが生まれてくるし、面白くなってくる。さらにはこの作品に生きているキャラクターたちを好きになれる。
素晴らしい城を築くにはその土台から。その基本が完璧な本作はこれ素晴らしいと言うほかないですよね。
2:ミュセルがとにかく可愛いんじゃ!!!
文化親善大使として異世界に飛ばされた慎一の活動拠点となるのは、国から提供されたお屋敷。そのお屋敷で慎一の世話係となるのが、ハーフエルフでメイドな少女で本作メインヒロインのミュセル・フォアラン。
献身的で純朴な可愛さを具現化したら彼女になるだろう女の子、それがミュセルです。
彼女はハーフエルフということで周囲から良い目で見られていなかった中で、生粋のオタクたる慎一はむしろそれがいいと言わんばかりにどんな種族でも受け入れてくれる。そんな差別意識のない姿に惹かれていく……、という一見すれば王道テンプレとも言える恋愛。しかし、メイドとしてその想いは秘めようとするんですが。慎一の身に危険が降り掛かったときには居ても立っても居られず飛び出してしまったり、若干病みそうになるときがあったりと、基本的に一途でこれがもう最高に可愛いわけです。
しかし、いちばん重要なのはそこじゃない。何より重要なのは、ミュセルがメイドさんってこと。メイドさんでメインヒロインですよ。これって思っている以上に少ないんです。全部で19冊も出ているようなシリーズならメイドメインヒロインはまずないですからね。基本的にはサブヒロインになります。
そんな中でOBCはメイドと主人! ハーフエルフと人間! さらに異なる世界の住人同士の恋! こんな盛り盛りの素晴らしい恋模様がメインヒロインで19巻もかけて描いてくれるんですよ! こんなの最高に決まってるじゃないですか!
メイド好きならミュセルは見るべき! そう断言してもいいと個人的には思ってます。
……と、少し興奮しすぎました。でもあと一つだけ、個人的にこの二人のエピソードとして大好きなのを話させてください。
それが翻弄ツールが無ければ言葉が通じない、完全な異世界の住人同士だけど、少しづつお互いの言葉を教えあって覚えていくお勉強会を通じた交流。巻を重ねて、徐々に日本の言葉を覚えていくミュセルを見ていると、異なる世界での交流というテーマをこれ以上なく表していて良いな~と思うのですよ。
まぁ、色々ごちゃごちゃ言いましたが、つまり結局ミュセルが可愛いということです!
3:萌える侵略者
サブタイトルである”萌える侵略者”
これはこれまでお話した内容からも分かるように萌えで文化侵略することを意味しているものだと思います。しかしながら、これも文字通りに侵略と考えると、あくまでも日本政府がそうしようとしている、異世界の人々を支配しようとするニュアンスが強いようにも感じてしまいます。
慎一は自分が利用されている駒であると知って、なお純粋に自分が好きなものを異世界の人々に知ってほしい楽しんでほしいというオタクとしての信念、場合によっては政府の指示に反抗する姿勢を見せてくれます。
この慎一の立場に立った場合。たしかにオタク文化を布教することは、異世界の人々の娯楽を侵略しているのでしょう。しかし、それが脅威になってはならない、そんなニュアンスを感じ取れます。
さらに終盤では、これは是非とも実際読んでくださいと言うしかないのですが、また別の”萌える侵略者”という意味が見えてくることでしょう。この物語が進むと新しく見えてくるものがあるのってシリーズモノならではの魅力だと思いませんか?
おわりに
美少女メイド大好き。そんなわたしの感想なのでミュセル可愛いに振り切れていたような気がします💦 しかし最初に言ったような現代ファンタジーとしてこれ以上なく良い作品でもあるので、是非とも気になった方には一度読んでみてほしいですね。
また、本作のパラレルワールドのような世界観を描いた作品「嫁々いみぐれーしょん」という作品も同作者同イラスト同レーベルで出版されていますのでアウトブレイクカンパニーを読んだ後にはこちらも要チェックです。
さて今回の感想は以上になります。
気になった方は、以下に1巻のリンクを貼っておくのでチェックしてみてください。
Amzonリンク
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者1 (講談社ラノベ文庫)
BOOKWALKERリンク
アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者1 - ライトノベル(ラノベ) 榊一郎/ゆーげん(講談社ラノベ文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -
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