今回感想を書いていく作品は「C3-シーキューブ-」
シーキューブは電撃文庫より2007年~2013年の間に刊行されていた全17巻のシリーズ。作者は水瀬葉月。イラストはさそりがため。
※画像はamazonの購入リンク(1巻および17巻)
まず本作で最初に気になるのはタイトルのC3。何の略称? わたしも初見では分からず調べました。これは「Cube Cursed Curious」に由来していて、それぞれCube(立方体)、Cursed(呪い)、Curious(好奇心)といった意味があるみたいですね。なるほど。
それが分かったところで、簡単にあらすじを。
""ある日、夜知春亮のもとに、旅先の父親から送られてきたのは謎の黒い立方体。
それは箱形の恐禍(フィア・イン・キューブ)と呼ばれ、32の拷問器具に変形する機構を持つ呪われた道具であった。呪われた道具は負の思念を取り込むことで、そのものがヒトになってしまう禍具(ワース)と呼ばれる代物へと変貌してしまう。
フィアもまたワースの一つであり、黒い立方体から幼い少女へと姿を変えるのだった。そして夜知家に居候することになったフィアの呪いを解くために、呪われた道具によって引き起こされる様々な事件に巻き込まれていく。""
ざっくり、要点をまとめると。
""擬人化した呪いの道具の少女が自らの呪い――つまりは過去に道具として犯した殺人やその他の罪――に悩み苦しみながらも、その呪いを解き人になる道を探す""
そんなお話になるでしょうか。
ジャンルとしては現代ファンタジー+バトルになります。
それではこのシーキューブの魅力を3つポイントに絞って話していきます。
1:萌えグロ
本作品はそのテーマとして"萌え"と"グロ"の2つがあります。
後者に感じてはあらすじで述べた呪いの道具というワードから連想できますし、前者はそんな呪いの道具が可愛い女の子に擬人化する部分からイメージができますね。
つまるところ、この作品は日常パートでは可愛い女の子たちを楽しんでいると、戦闘シーンではちょっとエグい描写がやってくるという、いわゆる魔法少女モノによくあるアレな感じなのですよ。更に言えば、この作品は表紙がフィアの可愛さで満ちあふれていますが、実際中身のバトルは可愛くないというパッケージ詐欺的な部分でも魔法少女モノのソレと言って良いかもしれません。わたしは表紙が可愛くて買って読んだので最初ビックリしました(あらすじを読まない人間の悪いところですね笑)。
なお、ちなみに本作品の表紙は17巻を通して、常にフィアが何らかのコスプレ(本編に無関係)をしてパンチラしているデザインになっています。グロの要素、1ミリもないですね。萌えの要素しかないです。個人的には全巻表紙を並べたときの統一感があってかなり好きだったりします。
またグロの部分に関しては作者の水瀬先生の趣味らしく。ヒロインの1人に呪われた道具によって「どれだけ傷ついても死なない」ようになってしまった子がいましたが、これに関して何回も殺すための設定だったとあとがきで語っていたりもしました。
2:対立する敵組織!
現代バトルファンタジーである本作は、呪いの道具であるフィアを狙って、様々な組織による襲撃があり、春亮やフィアはそれらと戦います。
ときおり、普通に人化した呪いの道具の起こす事件を解決する巻もありますけど、それでも呪いの道具を取り押さえるために若干戦います。
短編集のみは、平和でしたね。
さて、そんな本作のバトルシーンの魅力はどこか。
わたしは、戦う人たちの持つ思想、だと思っています。
シーキューブには様々な敵組織が存在します。
例えば、人化した呪いの道具は人類を超越した存在であり、それは神のように崇め奉るべき存在であると考える組織だったり。
呪いの道具が醜い悲劇を生み出すものでしかなく、それらは須らく破壊されるべきものだと考える組織。
はたまた、あらゆる未知を研究する組織で、呪いの道具こそがまさにその未知であるから研究対象として確保すべきという考え。
果てには、呪いの道具を用いてただ純粋な戦闘能力のみを求める戦闘集団だったり。
そして、主人公たちは呪いの道具であってもそこに宿る人の心を尊重し、呪いを解くために奮闘する。
戦いを通じてこれほどのバリエーション豊かな思想に触れるからこそ、この作品はフィアを初めとした呪いを抱える少女たちの持つ想い、仲間との絆、敵キャラの持つ執念、そういったものに深みが増してバトルシーンに熱が生まれるのではないかと思っています。
3:フィアの成長
本作のメインヒロインであるフィア。彼女の心の成長が全巻を通して、この作品の一つの軸になっています。前述のようなバトルによる様々な思想に触れることで、フィアの呪いの道具としての罪と人としての想い、その二面性が常について回るのです。
序盤は呪いの道具でしかなかったフィアが仲間との交流を経て徐々に人として当たり前の気持ちを学んでいく。そして徐々に呪いの道具としての力が弱まっていく。間違いなく喜ばしいことだ。
しかし、敵組織との戦いが苛烈になるに連れて、仲間が傷つく様を目のあたりにして、フィアは自分の力が弱まってしまったことに苦しみ悩んでしまう。呪いの道具のままの方が良かったのではないか。結局、自分は誰かを傷つけることしかできないのではないか。
そんな自分の在り方と想いに悩み続けて、自らの呪いに向き合った結末がどうなるのか。
それは是非とも実際に読んで、見届けてほしいです。
おわりに
やっぱり、わたしはこういう人じゃない少女が人になっていく作品っていうのがめちゃくちゃ好きだなぁと実感させられました。
今回の感想ではフィアにだけフォーカスしましたが、サブキャラたちの続きとして気になる部分も多々ありました。彼ら彼女らの物語はそこで終わったわけでなく、これからも続くんだと思わせている感じもよかったですね。
個人的には、白椿(人)とサヴェレンティ(呪いの道具)という二人のカップルの様子がめちゃくちゃ好きでこれだけでも見る価値があると思ってたり?
今回の感想はこんなところで。
気になった方は是非、以下に1巻のリンクを貼っておくのでチェックしてみてください。ブックウォーカーでは読み放題の対象にもなっているので、そちらで読んでみてもいいかもしれませんね。
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