今回の感想は2024年7月のMF文庫J新作「ゆるふわ先輩は枕で変わる」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
深夜の旅館で、枕を片手に"合法的"な青春を
「……うん、灰島君は『知りすぎた男』だもんね」
部活のかわいい先輩・雪葉さんと一つ同じ布団の中で――。
入学式のあの日、彼女の囁き声に気づいてしまったのが、僕こと灰島爽斗のちょっと変わった高校生活の始まりだった。女の子と一緒に温泉に行ける部活!と聞いて入ったのは、まさかの「枕投げ部」!
え……いや?トランシーバー?枕に当たったら死んだも同然……?そんな枕投げは知らないです!!!!
僕が夢見ていた青春とはだいぶ違っているれど、全力でバカをする先輩たちは楽しそうで、色んな表情を見せてくれる雪葉さんともっと仲良くなりたくて……。
友情も恋愛も、僕の青春ラブコメは枕とともに!
感想
発売前から楽しみにしていた新作。
実際に読んでみると、期待していたものは確かにありました。
この古き良き謎部活モノの空気感ですよ。
傍から見ると「何してるの?この人たちは?」という感想しか出てこないのですが、そういうものだからこそ全力で楽しんでいる人たちはどこまでもキラキラ輝いてるし、見ていると不思議と元気をもらえるような気持ちになれるような空気です。
ただ読み進めていくと、少し物足りなさも覚えてしまって……、というわけで感想を書いていこうと思います。
さて、改めて本作の概要をさらっていきますと。
主人公の灰島くんが、入学して一目惚れした先輩にその目と耳の良さを買われて誘われたのは温泉部……、ではなく枕投げ部。旅館を会場にトランシーバーで仲間と連絡を取り合って敵を殲滅する、いわゆるヘビーな枕投げに引き込まれた彼の青春と初恋の行方は一体どうなってしまうのか?
と言ったようなお話です。
そんな本作最大の売りはやはり枕投げです。
部屋の中に留まらず旅館の中全体を使った大がかりな試合は見ているだけで夢が広がります。トランシーバーで仲間と連絡を取ったり、布団を体に巻き付けることで完全防御をしたり、と枕投げを彩る技の数々は童心を思い出させるような自由な発想に満ちていて非常にワクワクしてきます。
何より、重要なのはこの枕投げに全力を注ぐ人たちがいること。中二的ワードセンス満載なネーミングセンスの二つ名や技名を恥ずかしげもなく口にして、ただの枕投げだというのにまるで戦場に出る戦士のような心持ちで生き死にを語りだしたりして、まるで異能バトルかのような熱い戦いを繰り広げていくのです。しかし、冷静になって傍から見たときにはこの人たちがやってるのはただの枕投げです、「こいつらは何やってんだ?」となってしまうような空気がありながらもそこにいる人たちにとっては大切な一瞬だと分かるのが最高ですよね。こういうのが、謎部活モノの醍醐味だと思うわけです。
個人的に、本作でいちばん好きだったのは「よく寝な」って言いながら枕を投げる先輩ですね。この決めセリフを見た瞬間、わたしの中の全わたしが「カッケエェェェェェエエエエ!!!」ってなりました。こういうのマジで好きです。
ただ、一方で本作では少し物足りない部分がありまして。
それがこの1巻全体を通して枕投げ部の活動と試合に終始専念してしまった、という点ですね。
1巻で合計3試合、1回目は主人公と読者に向けたチュートリアル、2回目が枕投げの厳しさや難しさを知る戦い、3回目が1巻の山場、となるわけで構成としては決して悪くないんですよ。むしろスポ根青春モノであれば王道とも言える物語の運び方で文句のつけようがなかったかもしれません。
しかしこれは真っ当なスポ根ではないのですよ。
本作はあくまでも謎部活モノです。傍から見れば無意味で無価値な遊びと言われても仕方のないことに向き合う少年少女たちのお話なんです。
謎部活モノの主役は、謎の活動そのものではなく、そこにいる人々であってほしいというのが個人的な想いでして。
そうであればこそ、何故彼ら彼女らがそうまでして枕投げに青春を捧げるのかという心情の方の掘り下げにもう少しフォーカスしてほしかったなと。
更に言えば、この謎部活モノの活動が”周囲からどう思われているのか”という観点が組み込まれたりすると、よりそんなヘンテコなことに向き合う姿勢というものの意味や意義を魅せることができたのではないかと。
そう言う部分で、本作は謎部活に対する情熱の出所や根底が弱いように感じてしまい、少し物足りなさを覚えてしまいました。
ただこの点は1巻時点だと文量的にも1人1人しっかり掘り下げるというのはなかなか難しい部分もあると思いますので今後への期待ということにしておきます。
総評
ストーリー・・・★★★ (6/10)
設定世界観・・・★★★★ (8/10)
キャラの魅力・・・★★★ (6/10)
イラスト・・・★★★☆ (7/10)
次巻以降への期待・・・★★★☆ (7/10)
総合評価・・・★★★☆(7/10) 古き良き謎部活モノの空気感は堪能できましたb
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録
最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。
