今週も読んだ作品の感想をまとめていきます。
1:6月17日~23日に読んだ作品
今週読んだのは以下の6冊+1ですね。
・毎晩ちゅーしてデレる吸血鬼のお姫様 2
・子ひつじは迷わない 4〜6
・声優ラジオのウラオモテ 11
・青薔薇アンティークの小公女 4
・宮澤くんのとびっきり愚かな恋 (全文試し読みキャンペーン)
2:読んだ作品についてのお話
※以下画像はAmazonリンク
毎晩ちゅーしてデレる吸血鬼のお姫様 2
非常に良質なイチャイチャを摂取できて大満足!
やはりこの作品は可愛い女の子を可愛くすることをよく理解していますよ。吸血鬼ヒロインなら吸血シーンは大事だし、羽の動きに感情が乗るのだって良いですよね。そういう、この子はこういうところが可愛い、って作者が思っているものを1つ1つ確実に盛り込んでくるような感じでしょうか。それが癒やしとして抜群の効力を発揮しているんです。
また素直になれないテトラを上手く周囲が誘導し応援してあげることで積極的に仲を深めていくこともできるのも良いですよね。メルさんやマイが吸血鬼、ツンデレに関してそれぞれの立場からアドバイスできるのが実に的確な応援団の構成してますぜ。
子ひつじは迷わない 4〜6
4巻感想
今回は趣向を変えた長編。
サトウさん()の友人である寄絃芳花の家でのアルバイトに赴くお話。そしてそこでは寄絃家の暮らす万鏡館の謎解きが……。
全く鏡のない館の中にうごめく不信や疑念に満ちた不思議な空気感が面白かったですね。人の在り方を映し出す鏡。他者から見える自分と、自分が認識する自分。言葉定義するものの枠組み。そんなトピックの数々に頭ぐるぐるさせられ、その影響を強く受けている佐々原さんの語りと自己認識が特に印象的。元々自分の感性に不信を持つ子だからこそ、成田くんに向ける感情の意味を図りかねている様子がもどかしくもあり、どこか痛ましくもあり。個人的に佐々原さんがかなり好きな子だからどうにかこうにか彼女の悩みにも光差すことを期待したいのだけど……。
5巻感想
やっぱり佐々原さん視点が良いんですよね。
自分の心を知りたいと常にアレコレ考えて壁にぶつかってときどき変な方向に行ってしまって、そんな彼女の心の一挙手一投足に青春とか成長とかそういうものが詰まってると感じるのです。今回もまた自分の成田くんへの気持ちが何なのか理解するために、彼がただの都合の良い人間なのか、面倒くさい人間なのかチェックし始める謎の貸借対照表を作り出してるのがちょっと面白すぎた。
一方で成田くんは……、まぁ女装お疲れ様でしたとして。シリーズ5巻になっても未だに仙波から、今日は一日あいつの顔を見なかったから幸せだ、とか思われるくらいに嫌われてるの不憫すぎて流石に同情しちゃうわ。
仙波さんは、今回の々人事件の解説がほえーってなって良かったですね。こういう短くてスッキリする謎解きみたいなのはやっぱりこの作品の良いところですよ。もっとやってほしい。
それから今回はこれまでの相談者勢揃いな文化祭だったわけだけど。改めて見るとクセの強い人しかいないの笑うわ。髪フェチカップルの形とか、カルマの深すぎる彼女とそれに惚れた男とか。この辺りのぶっ飛び具合はやはり謎部活モノというか、日常系コメディ的な味わいあると思う。
6巻感想
これで本シリーズが閉じられてしまうのはあまりに惜しい……。仙波さんも佐々原さんも徐々に心の中に変化が生まれつつあって、それを色々な相談や謎解きの中でじっくりじっくり見守ってこそこの作品の魅力は熟成していくものだと思ったからこそ、本当に続きがないことが悲しいですね……。
ともあれ今回は雪山での謎解き。過去に起こった事件に囚われる姉妹の依頼で、5年前の配役をなぞって真実に迫っていくお話。今回もやはり読み応えが抜群。事件の謎そのものよりも、そこに関わった人たちが何故今もそこに執着してしまうのか、その心を読み解くのが鍵となるのはこの作品らしさ。そしてそうした他者の心に触れるからこそそこに関わるヒロインたちもまた自分の心を振り返って思うことがあるのだろうと。岬さんも仙波も。佐々原さんは前回から引き続き成田くんへの想いを募らせればこそ、自分の色目ではない不都合を探していき、ちゃんと分かったこともある様子。無自覚ではなく自覚しつつある中で彼女が成田くんに向ける言動の数々はまさしく正統派ヒロインとしての魅力で溢れてますよ。
一方で今回の事件に関して思うのは、このシリーズが人の在り方人の心の持ちようを重視していたのは最初からそうだったけど、それを更に超えて生き方死に方という死生観も結構深く根付いているなということ。前回の々人事件もそうだったけど。そういう思想が滲み出るところも謎解き日常に収まらない味があって個人的には好きでした。
声優ラジオのウラオモテ 11
遂に卒業を目の前にした夕陽とやすみ。お互いをライバルと意識はしながらも、別に仲の良い友達というわけではなく、相手の進路を聞くのもどうなんだろうって悩んだり。一方で徐々に実力を認められ仕事を回されてきて嬉しい戸惑いを見せるやすみと、そんな彼女や後輩の結衣を見て焦りを覚える夕陽の対比だったりが印象的な11巻でしたね。
とりあえず、素直な気持ちで言いたいのは。この二人は運命の糸か何かで繋がってるんじゃないかな? その糸が赤いかどうかは別として。きっと二人のことを見守っているクラスメイトからしたら、どうしてこいつらはこれで仲良くないんだろうとか思ってそうなくらい。とはいえそんな運命の糸があるとしたら、それはきっとこれまで二人がお互いをライバルとして意識して高めあってきて紡がれた唯一無二の絆なのだろうと思えると、やっぱりこのシリーズももう10巻越えてるんだなって感慨深いものがあります。
高校生が終わって、新しい一歩を踏み出していく二人の今後も楽しみです。
青薔薇アンティークの小公女 4
あ、あ、あ……5巻、どこですか……。
というわけで、まさかの引きに驚愕した5巻でした。今回はアルヴィンの過去、妖精にさらわれた事件を巡るお話。両親が抱えていた苦しみとすれ違い、アルヴィンが頑なに感情を閉じした理由、その真実が明らかになっていき心の在り方に大きな一歩を見せたアルヴィン中心のお話。
もちろんそんな彼を支えていたのはローザ。アルヴィンの自分への態度や感情に動揺しながらも、自分は彼を支えるのだという強い意志に魅了されました。そしてどうにかこうにか問題を紐解いたと思ったら……、ですね。ローザの出生に関わる問題(?)が彼女に迫ってきて……。
早く5巻を読ませてくれぇ!!
宮澤くんのとびっきり愚かな恋 (全文試し読みキャンペーン)
Xの電撃文庫公式様が行っている全文試し読みキャンペーンで読ませていただいた作品です! 正式な発売日は8月10日! いち早く読ませていただきましたので感想を書いていきます。本製品発売後にまた改めて新作ラノベ感想の記事は書く予定です。
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— 電撃文庫 (@bunko_dengeki) 2024年6月20日
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感想
とりあえず率直な感想としては「え、ここで終わるの!?」といったところでしょうか。2巻出ること前提としか思えないような展開で引いていくのは良くも悪くも衝撃的。2巻がとりあえず読みたいです!
さて、本作は小学校の頃からの付き合いであるヒロインと主人公の複雑な恋愛模様を描く作品。主人公自身は初恋の相手である彼女に小学生の頃告白して受け入れてもらうも、数日後に他の男子と付き合っている姿を目撃してしまって自然消滅を選んだ過去のトラウマを持っており、高校生になった今再びセフレとイチャイチャする彼女を見かけるといった状況から物語が始まっています。
そして本作の感想として、まず冒頭から主人公の過去を引きずり方が受け入れやすいというのが良かったかと思います。彼女との過去にトラウマがある、しかしそれは決定的な断然という形ではなく未練が残るような後味の悪いもの。そうであるからこそ未だに何かにつけて彼女を目で追ってしまうし、そうする時間の分だけ彼女への何からの想いは募っていってしまう。
その結果、彼女の打算と事情ありきのお付き合いも受け入れてしまう。更には男を取っ替え引っ替えする彼女の性質をずっと見てきているがために、そんな彼女であることを受け入れる下地すら整ってしまっている。もう危ない橋へと足を踏み入れた状態でありながらも、その危険性を正しく理解できていないような、そんな不安を感じさせる空気感が今後の波乱を期待させてくれますね。
一方でヒロインであるルイン。彼女の心情は主人公が聞く形でしか語られないものでまだまだ分からないこともあるでしょうが。
少なくとも男を取っ替え引っ替えすることに関しては、そこに善悪と言った概念を感じさせることはなく。彼女はもうそういう性質を生まれながらに持ってしまっている人間であるのだと。そしてそんな自らの在り方を容易に曲げることはないのだという、一本キャラの軸があるような描き方をしていたのが良かったと思います。
明確な悪女ではなく、されど決して都合の良い女ではなく。普遍的な価値観からすれば貞操観念が乱れているのだろう、彼女は明らかに主人公を自分勝手な都合に振り回すような迷惑な女なのだろう。しかしそういうもの含めて彼女という1人の人間なのだと、そう思えるものがあるのなら少なくともわたしはそんな彼女の普通ではない恋愛模様を見てみたいという気持ちがあります。
しかしながら、一方で個人的にノイズと感じてしまったものがありまして。
それがもう一人のヒロインである果南という女の子。本作の序盤、ルインが付き合ってほしいと打診した理由として、ルインがセフレと一緒にいるところを、セフレの彼女である果南という子に見られてしまったから。主人公と付き合うことであくまでただの友達ですよという主張をするため。すなわち、ルインのセフレ君と、その彼女である果南。この二人はどうあっても展開に絡んでくるわけです。そして果南は主人公と同じ部活動に所属している、となれば泥沼の予感しかしませんね。……まぁ、実際その通りになるわけですが。
で、この果南という子の心情描写と、そこからの言動。これが言わんとすることは分かるんだけども……、その後の言動も納得はできるのだけど……、これがどうにもわたしには展開としての機能しか持っていないように見えてしまってですね。
主人公もルインというヒロインも。どちらも明確におかしなところがありながらも、そうであるが故のこいつらがどう進んでいくのだろうという期待があるキャラになっていて。果南の彼氏でありながらルインのセフレになっている男も、ぶっちゃけ言ってることは相当ひどいものではあるけど。これもそういう人いるよねって感じのズレ方で、むしろそんな彼がどう動くのか気になるところはあるんですよ。
ただ、果南という子に関しては。展開を荒らすためのポジション以上の見所を感じられないんですよ……。彼女の行動によって、ルインやセフレ君がどう動くだろうかという興味を持たせる役割としては完璧なんですけども、彼女自身に興味を持てるかといったらそうでもないという。そしてそうであるからこそ、本作の肝となるだろう「えっ、こんなところで1巻終わりなの!?」っていう部分の衝撃に若干の冷めた気持ちが入ってしまったのがどうにも惜しいと感じてしまった次第なのです……。ここでもう少し感情を揺さぶるようであれば、これはやべぇ波乱の幕開けだぜっていう読後感でもっと素直に満足できたのですが。
ともあれ、最初にも言ったようにかなり衝撃的なスタートをきった新シリーズの1巻です。恋愛模様はまだ始まったばかり。この先どんな波乱が待ち受けているのか、楽しみです。
おわりに
今週は子ひつじは迷わないを読んで、新刊新作を少しずつという感じですね。
来週はファンタジア文庫の新刊だったり、MF文庫Jの新刊だったりがあるので、それを中心に読もうかと思います。
今週のまとめは以上です。