ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part211】ちゃんと好きって言える子無双

 今回の感想は2024年10月のMF文庫J新作「ちゃんと好きって言える子無双」です。

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あらすじ(BWより引用

 ラブコメの必勝法はいつもひとつ──『好き』って伝えるだけなのだ!

 

 男子高校生・和泉に恋心を寄せる女子たちは、一歩が踏み出せず日々を過ごしていた。

【学園のアイドル様は、二人きりのときだけ甘えたがり】天崎雨音。

【実家から勘当されたのに、なぜか元・許嫁が放っておいてくれないんですが】白菊白亜。

【学園の天使ちゃん……の隣の悪魔ちゃんが、案外ちょろい】春日波留。

 しかしそこに転校してきたのは、一見平凡だが天性のメインヒロイン・七瀬七緒!

 七緒はあざとい直球アプローチで和泉に猛攻をしかけ出す。

 「和泉くん、好きです。付き合ってください」「はい、あ~ん♪」「和泉くんが、わたしをこんな女にしたんだよ?」

 「「「「こいつ……やりやがった!?」」」と慌てた雨音たちも行動に──!?

 

感想

タイトルから想像している新鮮さを感じられた! けれど・・・




 本作はラブコメ作品。

 主人公・和泉に好意を寄せる、クラスメイトの女子・雨音、幼馴染の白亜、部活の後輩・波留。誰もが意識をしながら、和泉と特別な時間を持ちながらも、一歩を踏み出せない。

 そんな中、転校生の少女・七緒が和泉にストレートに告白してしまう。

 といった感じに始まるお話ですね。

 

 本作は「ラブコメの必勝法はただ一つ。ちゃんと好きって言えること」というように、ラブコメ作品におけるヒロインレースにおいて、読者がさっさと告ればいいのにと感じてしまうことがあるものが実際に行われたらこうなるのだ、という1つの答えを見せてくれる作品となります。

 そういう意味では、新鮮味がしっかり感じられました。

 告白をちゃんとするヒロインとそうでないヒロインでは、付き合う付き合わないは抜きにしても、自分のことを好きと言ってもらえて悪い気はしないのだから主人公からの意識の度合いには当然のように差が出てしまいますし。その後も、やはり一歩引けてしまってアプローチが不足してしてしまう他のヒロインに対して、告白を行った七緒は自分のことを好きになってもらえるようにと遠慮なくガンガンアピールしていくから、ヒロインレースとしては勝ち確の独走状態がずっとキープされてしまう。

 更には、七緒という少女はただ素直に好意を伝えるだけでなく、自分を好きになってもらえるようにするためならば、他のヒロインの行動を自分の利になるようにと打算的に動ける子だから、より一層他の子からしたら勝ち目がないだろうという状況。

 

 勇気を持って告白する女の子が何よりも強い。

 好きだとしても、そこであと一歩を踏み出せないならラブコメでは絶対に勝つことはない。

 そんな真理をズバッと見せてくれた作品。

 そこはタイトルやあらすじからも想像できる面白さがしっかり感じられた作品でした。




 けれどじゃあ完璧で満点な作品かと言えば、そうでもありません。

 

 まず第一にヒロインの魅力不足です。

 これは純粋な1巻としての分量の問題ではありますが、負けヒロイン側が負けヒロインとしての魅力を見せられるほどのエピソードが積めてないので、読者としては「まぁ告白できないならダメだよね」くらいの納得と理解しか感じられないんですよね。

 彼女たちがどんなエピソードがあって、どんな風に気持ちを積んできて、そしてどういう気持ちだったから告白には一歩踏み出せなかったのか、そういうのがあって負けヒロインは初めて負けヒロインとしても輝くわけですから。そしてそうなったときに、初めて読者はそのヒロインを応援できるわけです。

 現状は、負けヒロイン側に応援できる魅力がないため、読者としてはちゃんと好きって言える勝ち確定のヒロインという新鮮な状況を見て楽しむことしかできません。そしてその新鮮さはいつか失われてしまうものでしょう。

 ですから、こういう形式の作品である以上は、後出しでも良いからしっかりと負けヒロイン側の魅力を出してほしいと感じました。

 

 それから第二には、主人公の存在感のなさです。

 感想として言うことがないくらいに、主人公のキャラが弱いですね。

 家庭環境や過去のエピソードがあって、彼自身が他人から好かれることがあまり意識できていないようで。そんな中で素直に好意を向けてくれる七緒が、彼にとっては驚き戸惑うもんだけど悪い気はしない……、みたいな話はあるのですけど。

 ぶっちゃけ、それだけですよね。こういうヒロインが素直に告白することで、そのヒロインが優位性を保てるために、好意を向けられることに対してのアレコレがありますよと設定をつけただけにしか見えないので、主人公ならではの個性という部分が本当に薄く感じてしまいました。

 

 あとは、展開が一辺倒というのも気になるところでしょうか。

 ちゃんと好きって言える子無双、というタイトルからも分かりますし、わたし自身褒めたところではありますが、七緒がヒロインレース独走するのが本作の魅力の1つではあります。

 しかしながら、無双系作品が往々にして抱える問題で、そのキャラ1人が強くて勝ち確定な状況というのはピンチが訪れてハラハラする展開というのが非常に作りづらいです。何をやってもどうせ勝てるんでしょ? という読者の心情としての安心感が良くも悪くも付きまとってきます。

 ですので、この作品も七緒がヒロインレースを独走するのはヨシとしても、その一辺倒な展開だけではいずれ飽きが来てしまいそうに感じるのが個人的な印象でしょうか。実際に1巻では、無双しきって終わっているので、わたしの心情としては淡々と進んでいるように感じてしまいましたしね。

 

 

 

 と、いうことですので。

 ここまでの感想をものすごく端的にまとめてしまいますと。

「一発ネタとしての面白さは感じられた。けれど、一発ネタを越える何かは現状感じられない」ということに落ち着きます。

 

 ……あと、追記というか。

 本作、地の文がテンションの高いナレーションっぽくなっていて。

 某天才恋愛頭脳戦を想起される感じの……。それはこれから読む人がいたら念頭に置いておくといいかもしれませんね。

 

総評

 ストーリー・・・★★☆ (5/10)

 設定世界観・・・★★★★ (8/10)

 キャラの魅力・・・★★☆ (5/10)

 イラスト・・・★★★☆ (7/10)

 次巻への期待・・・★★☆ (5/10)

 

 総合評価・・・★★★(6/10) 1巻の印象は一発ネタですね

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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