今回感想を書いていく作品は「叛逆のドレッドノート」
電撃文庫より2014年~2015年の間に刊行されていた全4巻のシリーズ。作者は岩田洋季。イラストは白もち桜。
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まずはいつもように本作の概要から……、といきたいところですが。今回は最初にこの感想で言いたいことはこれだけだと言うことを名言しておきます。
「とにかく甘すぎる! これはもうラノベ史上類を見ない究極のバカップル作品! 読者を殺す気か!?」
これはもう、そうとしか言えない作品なのです。
では、改めて本作の概要を。
””舞台は沖合から遠く離れた学園。"蛇"と呼ばれる脅威に対抗するため"練気"と呼ばれる特殊能力を持つ子どもたちが集められたその場所にやって来た主人公・岩代零は学園最強の問題児・新宮百華に出会う。その瞬間、どういうわけか二人はお互いの感情を共有してしまう"共振錯覚"と呼ばれる現象を引き起こしてしまう。零に知られてしまった恥ずかしい妄想が誰かにバラされるのではないかと危惧した百華は零に付きまとい始める。そんな日々で、制御できない共振錯覚によって零は百華の心の内、孤独である理由、問題児となって叛逆する意味を知っていき……。
これはお互いの想いの全てをぶつけ合い、屈服させ、叩きのめす恋の物語””
と、いった感じのお話です。ジャンルとしては現代ファンタジー+ラブコメになるでしょうか?
そして、概要で触れたように本作は「本当の気持ちを隠すことができない二人の恋物語」になります。これが本作最強最大のポイントで究極の甘さを生み出す要因になっています。
ざっくりと順を追っていきましょう。
最初は訳も分からないままにお互いの心の底が見られてしまう関係。当然、戸惑いや恥ずかしさが勝っている状況だったけれど。孤独な少女の心を知った青年はそんな彼女を救いたいと願う。けれど彼女の心を知ればこそ、彼女が独りであろうとする気高い意志を理解できてしまう。絶対に彼女は救われてなんかくれないのだ。
だから彼女を救うためには全力でその心を奪い去るしかない。
そんな彼女は決して揺るがない信念で自分を貫き通そうとする。だけど寂しいわけじゃない。辛いわけじゃない。自分を守ってくれるナイトが欲しいのだ。だから不意の事故ではあったけど、全ての本音を知られて、それでも真剣に向き合ってくれる彼に惹かれてしまう。惹かれてしまうけれど、彼に救われるわけにはいかないのだ。
だから彼だけがいれば良い。そのためにその心を全力で奪い去るのだ。
これが零と百華の関係性。全ての本音がお互いに筒抜けな状態で、お互いのことだけを想い合って、相手を全力で惚れさせようとするとか正気の沙汰ではありませんよ。最初からコレです。当然巻数を重ねていけばお互いへの想いは膨らむ一方通行。そして、その感情の変化を隠すことができない。だから、全部叩きつける。自分の方が好きなのだと。大好きなのだと。そして今もなお好きな気持ちが大きくなっているのだと。自分のモノになってほしい。言葉でも心でも際限なく知ってしまう。お互いがお互いに、どれだけ相手のことが好きなのか。分かってしまうのだ。相手がどれだけ自分のことを好きなのか。それでもお互いに譲れない、譲らないのだ。
……で、こんなん見せられた読者はどうすればいいのかと。コレ、言ってしまえばバカップルが痴話喧嘩してるだけなんですよ! おまえらどんだけお互いのこと好きなの! って言いたくもなるのよ! そして、少しだけ想像してみるんですよ。共振錯覚によって相手が自分のことを好きだと、相手の視点から感じることができる状況を。
読者の脳みそ溶けるわ!!!
この作品を読み終わった直後のわたしは「ココアに砂糖とハチミツとガムシロップを入れて、さらにチョコレートをマシマシで追加したような甘さ」だとか「二人の恋の熱量に読者の脳髄が焼き切れる」などと表現していました。読み終わって時間が経った今でも鮮明に思い出せます。恋愛を見ていて、この作品以上に全身が痺れるような甘さを感じたことはないですよ。端的に言って、糖度がオーバーフローしているんですよね。人間の許容限界を超えています。
またこの作品の甘さを引き立てる要員として重要なのが現代ファンタジーであること。人類の脅威というものがある世界で戦っているからこそ、百華が孤独であろうとする背景がしっかり固められているのです。背景が堅ければ、当然そこから生まれる意志も強くなる。そうであればこそ、言ったような二人の関係性が生まれたのです。ただ共振錯覚という現象、お互いの心が見えてしまうだけでは決して生まれない激情がそこにはあるのです。だから甘さを究極まで引き上げることができるのです。
最初にも言いました。
この作品はとにかく甘いのです。
これ以上は決してない、究極の甘さ。
わたしは何度も何度も昇天しました。
是非とも多くの方に知ってもらいたい。
というわけで、1巻リンクを張っておくので気になった方はチェックしていただけると嬉しいです。BOOKWALKERの方では全巻読み放題の対象になっているので、そちらで読んでみるのもいいかもしれませんね。
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