今回の感想は2024年5月のスニーカー文庫新作「家で知らない娘が家事をしているっぽい。でも可愛かったから様子を見てる」です。
※画像はAmazonリンク
あらすじ(BWより引用)
どうやら俺にはストーカーがいるらしい。頻繁に自宅に不法侵入してなぜか家事をして帰っているようだ。被害らしい被害もないので様子を見ていたらある日自宅で出くわしてしまう。そのストーカーがとんでもなく美人だったこともあってつい無視し続けたんだけどどうやら受け入れられたと勘違いしたのかそれ以降俺が在宅でも構わず通ってくるし、なんなら事あるごとに話しかけてくるようになった。美人が通って好意を向けてきてるのに未だ会話ゼロ。……なぁ、どうしてこうなった?めちゃくちゃ今更だと思われるかもしれないけど、言わせてほしい。──こいつ本当誰なんだ?
感想
まず、最初に言っておきます。
本作はあゆま紗由先生が描く女の子のお口の供給量が素晴らしい作品です。
あゆま紗由先生の描くお口が好きな人には堪らない1冊でした。
表紙から既に口の輪郭の上部分のあの絶妙な弧を見て、あゆま紗由先生のお口だ~ってわたしのような読者を表紙買いに誘って。読み始めると早々に口絵で、あゆま紗由先生ヒロインのテンパったときのもにょもにょ口を見ることができます。読み進めれば、レモンみたいな紡錘形が縦になった感じのやつも当然ありますし、八重歯っぽい感じに口の輪郭の右上部分だけが尖ってるやつもあります。
わたしの大好きなあゆま紗由先生の描くお口のコンプリートパックみたいな感じで、ふぅ、大変満足です。
という前書きはさておき。
内容としても、とても良かったです。
わたしの好きなアホの子ヒロインの魅力が詰まった作品、と言いましょうか。
本作は、ヒロインによるストーカー被害に遭っている主人公が、しかし実害はないしむしろ家事やってくれて助かるから放置するか。という気分で放置していたら、徐々にその行為がエスカレート。ばったり遭遇してしまってもそれを黙認したら、今度は堂々と押しかけ妻みたいな行動を始めてしまう。
はてさて、そんなストーカー女とある意味肝が据わってる主人公のラブコメの行方はどっちだ……、とそんなお話ですよね。
そして本作は読めば分かる。
アホの子でも可愛いなら許容できてしまうタイプの作品です。
基本的に恋愛脳で、好きになった人をストーキングして、勝手に家事代行みたいなことを始めて。家主にバレても、黙認されてるならいいのでは? と図々しくも押しかける頻度を増していき、さらには会話もしてくれないかなって欲まで見せ始めて、それまで無言で行っていた下着泥棒(新品と取り替えている)も堂々と宣言し始めるようになるなど……、基本的に頭の中がお花畑みたいなのが、本作のメインヒロインです。
しかし、それでも主人公が考えているように実害はないこと。
そして彼女の本質は好きの気持ちが抑えきれないことに由来している。
そういうある意味ではピュアな感情しかないという部分で、決して不快になることはないんですよ。
その上で、逆に彼女に好感を持てるようになるのは本作の世界観が非常にツッコミをしっかりしているところにあると思います。
すなわち、彼女の頭おかしい部分をちゃんと指摘してくれる人がいるんですよ。
それが彼女の友人である三人のバンドメンバー。
それもあまりに考えなしな犯罪行動については総ツッコミをされるどころか、自首しようとガチで説教されてしまうレベル。でもでも~と言い訳しようとするヒロインへ、ダメなものはダメと制裁を加えた上で、彼女の行動の被害者である主人公にもちゃんと謝罪に来るような子たちなんですよ。それにここに関して、挿絵でもマジでゴミを見るような目の三人という図が表現されてるのが本当にポイント高いです。
これによって、あくまで頭がパーなのはそのヒロインだけであることが分かりますし。
同時にそんな彼女だけれどしっかり心配して正してくれる友人もいて、彼女は基本的にアホの子で弄られキャラであるのだという立ち位置がしっかりするんですよね。
その上でヒロインの図々しい押しかけ行為とそれに伴う無邪気な愛情表現(やってることはアウトだけど)、そしてそんな彼女に対するストーカーを害がないからと言って放置してるこれまたある意味でズレている主人公の塩対応という掛け合いを見るから、本作は面白いのです。
これこそがちゃんとこの作品のコメディであり、同時にちょっとズレた二人の恋愛の進み方なんだなって微笑ましく読者は見守ることができるんですよ。ある意味で割れ鍋綴じ蓋感のある非常にお似合いのカップルだと思いますよ。
というわけで、まとめますと。
アホの子可愛いならば、ストーカーでもなんだかんだ許容できてしまう。
そんなアホの子の真っ直ぐな愛情表現を見て徐々に塩対応が崩れていく主人公が攻略されていく恋愛模様。
これを楽しめるなら、しっかり面白いと思える作品だと思いました。
わたしはアホの子ヒロイン大好きなので、それをしっかり活かして、弄り倒して、あうあう言わせて、転がすような作品大好きです。そんなにも周囲から弄られながらも懲りずに好き好き~ってアピールしまくれるタフネスも本当に大好きです。
なので、非常に大満足の作品でした。
総評
ストーリー・・・★★★☆ (7/10)
設定世界観・・・★★★★ (8/10)
キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)
イラスト・・・★★★★★ (10/10)
次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)
総合評価・・・★★★★☆(9/10) アホの子ストーカーが可愛いならそれでいいじゃない!
※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。
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最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。