ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part15】始まりの魔法使い

 今回感想を書いていく作品は「始まりの魔法使い

 富士見ファンタジア文庫より2017年~2019年の間に刊行されていた既刊5巻(未完結)のシリーズ。作者は石之宮カント。イラストはファルまろ。

始まりの魔法使い 1 名前の時代 (富士見ファンタジア文庫)始まりの魔法使い 5 始まりの時代 (富士見ファンタジア文庫)

※画像はAmazonリンク(1巻および5巻)

 

 

 まずは本作の概要から。

 ””主人公である”私”は竜となり、まだ言葉すら存在しない原始の時代に転生する。その世界では言葉は魔法となり形を持つ。魔法の理を明かし、人々に伝えた始まりの魔法使いとして、数千年後の時代にまで残る”私”の神話――これはその始まりのお話””

 というのが、大まかなあらすじ。ジャンルとしてはファンタジーになるでしょうか。

 わたしがこの作品がどういう物語かと問われたら「神話」であり「愛の物語」であると言うでしょう。それぞれがどういう意味なのか。これを詳しく話していくことを、今回のシリーズまとめ感想としていきます。

 

1:壮大なファンタジークロニクル

 神話であること。

 これは物語の形式の話です。本作は公式においてファンタジークロニクルと題される作品。クロニクルは直訳すると年代記。簡単に言えば歴史で起こった出来事を時系列順に綴るようなものですね。

 この作品はまさにこの年代記の形式で描かれていきます。まず第1巻で約100年の時が経ち、5巻までいくと約1200年ほどの時間が過ぎており、とにかく作中の時間スパンが長いんですね。そして各巻のサブタイトルを見ると1巻は「名前の時代」2巻は「言葉の時代」3巻は「文字の時代」4巻は「魔獣の時代」5巻が「始まりの時代」となっていて、これはそれぞれの時間や時代に合わせて魔法文明が発達していくためのキーポイントのようなものを意味しています。このような時代の変遷がダイジェストのように少しづつ描かれていくのが本作の主なストーリーとなっています。これが「始まりの魔法使い」という一つの世界の歴史、神話を描いている作品という意味です。

 この形式がまず第一にこの作品の大きな魅力だと思っています。だって、魔法文明が築かれる様子が1から描かれるんですよ。数多のファンタジー作品を取ってみても、これほど壮大で優雅な物語は類を見ないでしょう。ファンタジーは文字通り幻想。その幻想の世界観で読者を魅せる作品としてこれ以上はないと言える完成形の一つだとわたしは思ってます。純粋にファンタジー作品が好きな人にこの時点でオススメできる作品です。

 しかし、これだけじゃないんですよ。この神話の中で描かれる人物たちの想いこそが本作の最大最強の魅力。

 

2:時を越える愛の物語

 愛の物語であること。

 これは本作のテーマにあたる部分になります。

 前述の通り、本作はとにかく時間スパンが長いのです。そしてその中で歴史のキーポイントとなる部分をフォーカスして描いていく。ここでの重要となる点には、主人公である”私”に対してその時代ごとにいちばん側にいて、彼に大きな影響を与えたヒロインがいる点も含まれてくるのです。

 主人公は龍であり、限りなく永遠の命を持っています。故に彼と永遠に寄り添うことができる存在というのはいない。人間であればせいぜいが100年。それは龍にとっては一瞬に等しい時間になります。5巻までの1200年を見たって10分の1以下の時間でしかない。

 であればこそ、彼に想いを寄せるヒロインはその一瞬の命を燃やして、永遠に続く彼の未来にその想いを残そうとするわけです。ファンタジー世界であり、魔法もあり、異種族もあり。そんな世界に生きるヒロインたちは十人十色。それぞれの特性と性格を持っていて、この彼女たちがどんな方法でその想いを時を越えて残すのか。神話という一瞬を切り取って並べるだけの物語。龍である"私"にとってほんの一瞬の記憶。その中で決してセピア色になどならない熱く眩しい少女たちの想いの美しさよ。それがとにかく素晴らしいのです。わたしはもう涙なしに見ることはできませんでした。

 先ほどサブタイトルは各時代の文明に対応していると言いましたね。これはすなわちそのキャラクターの生きる時代背景となります。つまりは各ヒロインの想いを未来に残す方法にも大きく関わってくるのです。それも意識してしまうともうこれほど端的に全てを表現しているサブタイトルはないなと思えてしまって、読み終わったあとでまた一層に涙が溢れてきたりもしましたね。

 

おわりに

 今回は始まりの魔法使いがどのような物語なのかを伝えることに注力しましたが、これが全てと言ってもいいです。

 とにかく世界観が、歴史を紡ぐストーリーが、時を越えても伝え続けるヒロインたちの特大の恋心が、美しい作品だ。

 これはただ何も言わずに読んでほしいと思います。絶対に読んで後悔はさせないと断言します。

 

 ……いや、ごめんなさい。ちょっとだけ嘘つきました。未完結なので続きがでないことで苦しむことにはなるので後悔するかもしれません。

 5巻の段階で非常に綺麗にまとまっているのですが、1巻のプロローグではその5巻よりさらに先の未来をチラ見せしてしまっているので、本当の結末にはたどり着いていないんですよ。なのでわたしは無事に難民になってます。続きが読みたくて読みたくて夜も眠れません。

 

 と、こんな感じで今回の感想は終わりにします。

 個人的に最高傑作と断言できる超特大の愛を魅せるファンタジークロニクル作品、気になった方には是非とも以下の購入リンクからチェックしてもらえると嬉しいです。 

 

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始まりの魔法使い 1 名前の時代 (富士見ファンタジア文庫)

 

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