ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part14】つきツキ!

 今回感想を書いていく作品は「つきツキ!

 MF文庫Jより2010年~2013年の間に刊行されていた既刊12巻(未完結)のシリーズ。作者は後藤祐迅イラストは梱枝りこ

つきツキ!12 後藤祐迅(著/文) - KADOKAWA

 

 

 まずは本作のあらすじからご紹介。

 ""ある日、目を覚ましたら、隣に見知らぬ金髪の美少女(巨乳)が下着姿で寝ていた!? ――「私はあなたの奴隷です」――そう言った彼女は行くあてがないらしく、成り行きでそのまま一緒に暮らすことに。彼女は一体何者なのか? どこかで会ったことあるような……
 そして、最近おかしなことと言えばもう一つ。街中でお腹を空かせていた自称神さまの女の子にごはんをおごったら、お礼に守護霊をつけるとか何とか……、こうして始まる学園ハートフルラブコメ””

 と1巻の概要がこんな感じ、なのですけども。シリーズ全体を通した感想としては今回この後で一つだけ1巻のネタバレをしてしまいます。申し訳ありません。どんなネタバレでも絶対に嫌という方は以下の目次を使って回避するかブラウザバックを推奨します。

 さて、そんな本作では主に大きく2点。コメディ要素とハートフル要素、という部分に着目して今回は感想を書いていこうと思います。

1:とにかくボケ倒す主人公

 まずはコメディ要素について。
 この作品ではとにかく主人公がボケ倒します。そんな主人公のボケに対して、真に受けてしまう天然だったり、ノリツッコミだったり、スルーだったり、逆に更にボケを重ねたりと、ヒロインたちのツッコミのバリエーションが豊かなのは本作の特徴的なポイント。
 この部分のノリが合う合わないが人によってかなり分かれてきそうですね。特にこういった冗談の多い主人公というのは本心が分かりづらかったり、どこかヒロインたちに不誠実に感じてしまう人もいるでしょうから。
 しかし個人的にはこれはかなり面白く読めていました。わたしとしてはラブコメはコメディのテンポや雰囲気の読みやすさっていうのは重要だと思っていて。その点では、ボケからボケが生まれ、そして巡り巡って結局最初にボケた側が結局ツッコミをしてしまう。みたいなパターンなど本作の定型的なパターンがいくつかあり、作品の雰囲気を常に維持していてくれたこの作品は長編シリーズとして読むのに非常に良い安定感がありました。


2:思わず涙してしまうハートフルストーリー

 続いて、ハートフル部分に関して。

 この作品には大きなテーマとして「家族」があります。
 あらすじに登場してきた女の子を含めて、この作品に登場するヒロインたちはほぼ全てが”周りの普通から外れてしまっている”ことで心に傷を負っています。そんなヒロインたちは、主人公を中心にして同じ家で暮らすようになり、お互いの想いを与えて受け取って、少しづつ一つの家族へとなっていくというのが大きな物語の方向性にあります。

 この温かく心に染み入るようなお話には、もう何度もうるっと来てしまって11巻では思わず涙を流してしまいました。少しづつ家族になっていく、という話の構成上このハートフル要素については序盤ではあまり感じられないのですが、7巻辺りからは1巻づつ各ヒロインの心に触れていきここの魅力がグングン増していきます。そしてそのピークになるだろうお話が11巻で、ぶっちゃけここまで読んでいればどういう展開が来るのかある程度は予想もできてしまうのですが、それでもストレートに温かいお話ていうのは胸に来て泣いてしまったのです。

 まぁ、泣いてしまったのには若干わたしの好みっていうのもあったかもしれませんけどもね。わたしマジで大好きなんですよ、異種族だったり特殊な事情を抱えるヒロインっていうのが救われるようなお話っていうの。

 

3:ネタバレ部分

 そして、本作のネタバレ部分です。

 あらすじに"守護霊"という単語が出てきて、ハートフルストーリーが展開される、なんていうと幽霊ヒロインならではのそういう系かと思われる方がいそうでその誤解は解いておきたいと思います。

 

 1巻あらすじで言う守護霊の女の子は幽霊ヒロインではなく、悪魔ヒロインです。

 本作は新人賞作品で応募時のタイトルが「憑いている!」というものだったようで、この憑いているというのは幽霊かと思いきや実は悪魔憑きという意味合いになるのでしょうね。

 これは1巻を読めば分かることなのでしょうけど、こうしてシリーズ全体感想として感想を書いているとどうしても誤解が生じてしまいそうだったので1巻のネタバレということで書きました。したがって幽霊作品のような展開を期待してはいけません。悪魔や神様といった異種族ヒロインと家族のような結びつきを紡いでいくラブコメ作品だと思ってもらえればと。わたしみたいな微ファンタジーなラブコメ好きには堪らない作品になるでしょう。

 

おわりに

 感想をまとめますと。

 基本的にはコメディ作品であり、そのクセがやや強い作品。故に、ゴリゴリに感動系で推してくるわけではありません。しかしながら、コメディ要素が強いことで非常に読みやすく、そんな中で異種族ヒロインたちが家族になっていくストレートな温かさを描いていくので、すっと心に染みる良さがある作品だったと思います。

 個人的には、めちゃくちゃ好きな作品でした。
 なので是非とももっと多くの人に読んでもらいたい! と大きな声で言いたいところですけど……この作品1個だけ致命的な問題点が。

 

 完結していないんですよね……。

 

 長編ラノベあるある。パッタリと続巻が出なくなったパターンです。なので途中で終わっている消化不良感が苦手な人には薦めづらいのです……。特にこの作品は「次回クライマックス!?」みたいなところでぶつ切りですからね。おかげさまでわたしは「続き……、続きを読ませてくれぇぇぇッ!!」と難民状態ですよ。

 ただ、それでもこの作品はめちゃくちゃ良かったとわたしは断言できる! そのくらいに面白いシリーズでした。

 

 というわけで1巻のBOOKWALKERリンクを張っておくので気になった方はチェックしてみてください。読み放題の対象作品でもあるので、そちらで読んでみても良いかもしれませんね。 

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→次のラノベ感想「始まりの魔法使い」

【ラノベ感想記事part15】始まりの魔法使い - ぎんちゅうのラノベ記録

 

→前回のラノベ感想「人類は衰退しました

【ラノベ感想記事part13】人類は衰退しました - ぎんちゅうのラノベ記録