ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part86】廃公園のホームレス聖女

 今回の感想は2023年2月のGAノベルの新作「廃公園のホームレス聖女」です。

 ※2巻まで刊行中(2023年7月現在)、今回は1巻を読んだ感想になります。

廃公園のホームレス聖女 最強聖女の快適公園生活 (GAノベル)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 元聖女(15)、ホームレスになる。

 辞職した聖女がたどりついたのは、気ままで自由な公園スローライフ

 

「役立たずなら、聖女なんか辞めちまえっ!」
「辞めますっ!!」

 ある日、上司のパワハラに耐えかね神殿から飛びだした15歳の少女アルム。

 彼女は飛びだしたその足で廃公園の土地を買い、ベンチの周りに結界を張ってホームレス生活をはじめることに。自由気ままに睡眠をむさぼり、(パワハラ生活で何故か開花した)聖女の力を使って食料を【創造】、快適な公園スローライフを満喫する。

 一方――アルムを失い仕事が回らなくなった神殿はてんてこ舞い!

 やがて廃公園には、(神殿の皆に怒られ)連れ戻しに来たパワハラ元上司はもちろん、アルムの魅力に気付いた王国の王子や、力を利用しようと目論む腹黒宰相まで押し寄せてきて――!?

 今更謝ってももう遅い! 結界の中には誰も入れません!!

 最強聖女の快適公園スローライフ、スタート!

 

感想

 第七王子がとにかくキモい!

 そう言わずにはいられないので、まずこれについて色々吐き出しますね。

 本作はこの気持ちの悪い王子に酷使され続けたことで限界を迎えた聖女アルムが辞表叩きつけて飛び出すことから始まるお話です。


 王子の言い分としては、アルムは素晴らしい才能を持っているのだからそれを示すために仕事を多く割り振り、ときには厳しく接していただけとのことですが。

 まずこれってアルムのことをナチュラルに自分の所有物扱いしてるんですよね、何というか女を自分の付加価値にしか思っていない男の行動に似ている感じ、実に気持ち悪い。そして自分のそのアルムへの態度で彼女が追い込まれているのを気づかないのも普通にクズですし、その上アルムが飛び出してから神殿に勤める他の聖女や聖騎士たちから「お前が悪い」と散々言われても自分が悪いと理解できないのも本当に気持ち悪い。

 果てに自分が悪いと自覚してから「そうか俺はあいつが好きだったんだ」とか言い始めたときには本当に鳥肌が立ちました。今更純情な恋心みたいなのを見せても手遅れですからね。あなたの印象は地の底に堕ちてます。あぁもう気持ち悪い。

 過去類を見ないくらいに感想で気持ち悪いを連呼してますが、そのくらい気持ち悪い。

 

 しかしながら、これはヘイト役にヘイトをここまで集められるという意味ではこれ以上なく作品として成功していると言えるものでして。

 そしてチラッと言いましたが、王子の言動が明らかにおかしいと周囲の人たちは理解しているんですよ。だからわたしがこうして吐き出すような言葉を、ちゃんと作中のキャラが代弁してくれる。これもまたヘイト管理として非常に上手い。

 特に、第七王子に対して厳しく当たるのは、アルムの同僚だった三人の聖女たち。この聖女三人組は、アルムへの負担を減らそうと影ながらアルムを助けていたり、アルムが神殿から飛び出したあとは第七王子がそれを追いかけようとするんですが、これに対して「あなたみたいな人にはアルムを追いかける権利なんかありません」「アルムがこんな場所から出てそれで自由になれるなら私達はそれを守ります」という具合にとにかく王子の付きまといを止めようとするんですよね。

 こうして明確に悪いのを悪いと言えるだけで好印象にはなりますが。

 それに加えて聖女たちの落とし穴を掘るだの、悪を滅する祈りや魔法で王子を捕縛するだの、手を変え品を変え成敗しようとする様子は「いいぞもっとやれ」と思いながら、コメディパートとして実に楽しく読めるものだったのも良かったんですよね。特に王子への攻撃の内容がときどきファンタジー作品のはずなのに、すっごい現代的発想の攻撃になっているのも面白かったです。(ホウ酸団子で害虫退治とかね・・・笑)

 

 そんな具合で、作中で第七王子がひどい目にあっているとそれだけでスカッとする。

 なので、最初に言ったように気持ち悪さは尋常じゃありませんが、それをこうしてしっかりコメディに転換できて魅力にしているのは良かったと素直に思っています。(まぁ、何度邪魔されてもめげない姿はやっぱり気持ちが悪いですが・・・)

 

 あとは、タイトルが示すように公園に逃げてホームレス始めたアルムに関して少し話すのなら。

 あらすじでも述べられているように彼女はその類まれない力を使って快適な生活を送っているようで。しかし、そこに第七王子以外にも様々な王子たちがアルムの力を求めてやって来るのだけど……、? というやはり基本的にはコメディ感のあるテンポの良い展開があって面白いものでした。

 個人的には筋肉王子がなかなか好きでしたね。

 

総評

 ストーリー・・・★★★ (6/10)

 設定世界観・・・★★★☆ (7/10)

 キャラの魅力・・・★★★★☆ (9/10)

 イラスト・・・★★★★☆ (9/10)

 次巻以降への期待・・・★★★★ (8/10)

 

 総合評価・・・★★★★(8/10) 良い意味で第七王子が気持ち悪いっ!!

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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