ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【新作ラノベ感想part75】聖女と皇王の誓約結婚

 今回の感想は2023年3月のビーズログ文庫新作「聖女と皇王の誓約結婚」です。

 

聖女と皇王の誓約結婚 1 恥ずかしいので聖女の自慢話はしないでくださいね…! (ビーズログ文庫)

※画像はAmazonリンク

 

 

あらすじ(BWより引用

 聖女ジュリエッタは、敗戦間近のイゼルタ皇国の新たな皇王ルキノに四百年前の誓約を持ち出されて結婚することに! 

 ルキノと敗戦後の民の生活を守るべく奔走する中で、ジュリエッタは処刑覚悟で皇王になったルキノの優しさを知り!? 

 ――「まだ勝てますよ、この戦争」

 ジュリエッタの隠された力がここから奇跡を起こす! 聖女と皇王の大逆転劇物語!!

 

感想

 石田リンネ先生の新作ですね。

 あとがきで仰られている通り、優等生で無自覚に男を駄目にしちゃう系聖女と、普段はのらりくらりとしてるけど引き締めるところはしっかり締めるので駄目にされない系庶民王子のお話でした。

 

 大筋はあらすじに語られている通り。

 少しだけ補足をすると。

 ジュリエッタは知識の聖女と呼ばれる立場なのだけど、聖女としての治癒や奇跡の力に恵まないために、厄介払いで敗戦間近の国に嫁がされているという背景があること。隠された力とは急に聖女としての能力が強くなる方向ではないこと。この2点でしょうか。

 

 この補足で言った要素というのはジュリエッタの性格にも影響してて。

 自分が不相応な立場にあるコンプレックスみたいなものがあるんですよね。だからこそそんな自分を素直に褒めてくれるルキノとの関わりが心地よいもので、同時に彼の身の上を知って自分にできることはがんばろうとするのかなと思いました。

 

 そうなると語るべきはルキノの身の上。

 序盤から明かされていく、ルキノの国の悲惨さ。王位継承者が100人以上亡命してたのは思わず笑ったけど、その結果下町に住んでいたただの庶民でほんのわずかに王家の血筋があるだけのルキノが皇子にならざるを得なかったという話。

 自分が皇子にならなければ、次の王位継承は妹になってしまうから。妹を守るために自分がやらなきゃいけない、と。

 初対面では妙にチャラチャラした男だと思っていたけど、事情を聞けば納得。

 何より「国の危機だ、自分にできることはやろう!」なんてバカでかい発想じゃなく「大切な家族のためにお兄ちゃんががんばる」という身近な理由なのがすごい好感持てるんですよね。

 

 そんなわけで、庶民な皇子になったルキノ。

 元々普通に下町の住人だったから、全く政治なんて分からないし何をしてもいいのかも分からない。そんな状況だから、基本的にはジュリエッタとかに全部任せることになっているんだけど。

 これがいい具合にナチュラル甘やかしたがり性格で、物語を主導するジュリエッタの良さを魅せてくれるんですよね〜。

 

 一方でルキノが空気になっていたかと言えば、そうでもなく。

 自分が体を張らなきゃいけないところは分かってるし。無理矢理自分の都合にジュリエッタを突き合わせている自覚もあるし。皇子として見れば駄目駄目なところばかりだけど、家族を大切にする下町青年らしい真っ直ぐした性根が常に感じられたのはいいところ。

 

 つまるところ、どっちもどっちで良い人なんですよ。

 こんな二人だからこそ、いい具合にお互い頼れる相棒みたいな感じになっていくわけで。夫婦とか恋人という雰囲気は全然ない感じでしたが、今後はどうなるかまだ分からない。

 続きがあるならルキノが大切にする妹ちゃんとかも登場するのかな? ジュリエッタとどんな感じに関わるのだろう?

 といった感じで楽しみにしたいところです。

 

総評

 ストーリー・・・★★☆ (5/10)

 設定世界観・・・★★★ (6/10)

 キャラの魅力・・・★★★☆ (7/10)

 イラスト・・・★★★ (6/10)

 次巻以降への期待・・・★★★ (6/10)

 

 総合評価・・・★★★(6/10) 意外と相性抜群な二人の今後が楽しみです。

 

 ※星評価は10段階。白い☆で1つ、黒い★で2つ分。★★☆だと評価は5、★★★★★だと評価は10ということになります。基本的には「面白さ」よりも「わたしが好きかどうか」の評価になります。評価基準に関しての詳細は以下のリンクより。

新作ラノベ感想の「総評」について - ぎんちゅうのラノベ記録

 

 最後にブックウォーカーのリンクを貼っておきます。気になったらチェックしてみてください。

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