ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part19】ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件

 今回感想を書いていく作品は「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件

 通称・ドレ僕はファミ通文庫より2012年~2015年の間に刊行されていた全8巻のシリーズ。作者は野村美月。イラストはkarory

ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 (ファミ通文庫)ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件2 (ファミ通文庫) 

※画像はAmazonリンク(1巻および2巻表紙)

 

 

 まずは本作の概要から。

 

 ””ウィストリア皇国が誇る天才少女、グリンダ=ドイルが同盟国となったエーレン王室付きの家庭教師として赴任することになった。

 しかし、グリンダは勅命を受けた直後に失踪。
 外交問題にならないようにグリンダの代わりとしてエーレン皇国に送られたのが、本作の主人公であるグリンダの双子の弟シャールことシャーロック=ドイル。女装をすれば見た目だけは姉にそっくりなシャールだけど、彼は姉と違って天才でも何でもないただの凡人。

 そんな彼が自分の正体がバレないようにどうにかこうにか幼い王子や姫たちの家庭教師を務めていく。そしてどういうわけか、天才少女なグリンダだと思われている彼は、王子や姫、王室のメイドや騎士たち男女問わずに好意を持たれてしまう。果たしてシャールはバレずに家庭教師の職務をこなせるのか。””

 

 と、そんな感じのドタバタ家庭教師ラブコメです。超ざっくり言えば、女装男子で家庭教師な主人公が何故か男にも女にも好かれちゃうお話、ですね。1巻表紙の可愛い女の子、アレが主人公のシャールくん(♂)ですよ。

 

 で、この紹介だと不明瞭な点、誤解を与える点があるので、補足しておきますと。

 まず1点、この作品メインヒロインは最初から最後まで姫の1人、聖羅(2巻表紙の子)で固定です。これは1巻の段階から明らかな感じ。

 続いて1点、作品舞台はファンタジー世界で、終盤ではしっかりファンタジーな騒動に巻き込まれていきます。

 以上が本作の概要。全8巻でしっかり完結しています。

 

 わたしはコレが野村美月先生初作品だったりするのですよね。野村先生は文学少女とか有名な著作がいくつもありますが、全く分からない💦 なので、その辺りの話題は無く本作の感想だけ書いてきます。

1:心情描写が素晴らしい!

 既に述べたように本作はメインヒロインが最初から最後まで聖羅で固定で、特に彼女の心情描写には何度も心を震わせました

 10歳にも満たない幼い年齢相応の純粋な想いと、天才であるがゆえの大人びた考えによる二律背反。素直に言葉にしたいのに、できない。本音を口にしたら困らせてしまうかもしれない。嫌われてしまうかもしれない。でも、でも、本当は……。と、胸に中でたくさんの気持ちを抱えて葛藤し続ける姿、そしてその気持ちが溢れ出す瞬間、この緩急がとにかく心に突き刺さるのですよ。可愛い!

 

 そしてこの心情描写は、メインヒロインの彼女に限った話ではなく。他の王子や姫たちや、失踪したグリンダ、その他のそのキャラクターにも存分に発揮されていました。それぞれ抱えている想いがあって悩んでいて。そんな人たちに家庭教師として向き合う中で、逆に成長していくシャールの心の中。

 どのキャラクターの内面を切り取っても素晴らしく、終始楽しく読み進めることができました

 

2:女装男子の災難

 女装男子と言えばコレ! と言うくらいに、個人的には男女どちらにも好かれてしまう展開というのがあると思っています。

 本作も例に漏れず、シャールくんはその美貌(?)で幼い王子から同年代の残念イケメン騎士まで虜にしてしまって度々猛烈なアプローチをされてました。しかし女装だと明かすことはできず何とかやり過ごすしかない状況で。さらには女装を解除しなきゃいけないタイミングでは、これまたどういうわけか同僚のメイドさんに出会ってしまって、今度は逆に女装していることを隠して行かなきゃいけなくなってしまうと。

 このラブコメのコメディしている部分はクスリと笑いながらテンポ良く楽しめるところでしたね。

 さらにいえば、第一に女装していることを隠さなきゃいけないから、相手の好意を拒否することはできず。唯一女装していることを知っていて本当の意味でシャール先生を大好きな聖羅からしたら不満が溜まる一方。

 前項の内容に繋がりますが、聖羅もシャール先生の秘密は隠さなきゃいけないのは分かっていて、自分はまだ幼くて大人な先生とは釣り合わないのも分かっているから、その不満を吐き出すことができない。結果として一人で抱え込んでしまう。このコメディからメインの恋愛へとしっかり繋げていくのは見事でしたね。

 

おわりに

 各キャラクターの心情描写が素晴らしく、コメディと恋愛のバランスにも文句なしの作品。

 また本作は掌編もちょくちょく差し込まれているので、シリーズモノに短編集がほしいというわたしみたいな人には刺さるでしょうし、長いシリーズを読み続けるのは大変という人でも掌編は息継ぎにできて気疲れしないのでオススメできる作品ですね。
 また8巻という程よい長さでしっかり完結しているので非常に読みやすい。

 といった具合で、わたしは全体を通して非常に楽しめた作品でした!

 

 気になった方は以下に1巻リンクを置いておくのでチェックしてみてください。 

Amazonリンク

ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 (ファミ通文庫)

 

BOOKWALKERリンク

ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件 - ライトノベル(ラノベ) 野村美月/karory(ファミ通文庫):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -

 

 

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