ぎんちゅうのラノベ記録

主に読んだライトノベルの感想を書いています。

【シリーズまとめ感想part28】しゅらばら!

 今回感想を書いていく作品は「しゅらばら!

 MF文庫Jより2011年~2014年に刊行されていた全11巻のシリーズ。作者は岸杯也。イラストはプリンプリン

しゅらばら! (MF文庫J)しゅらばら!10 (MF文庫J)

※画像はAmazonリンク(1巻および10巻)

 

 

 まずは作品の概要からご紹介。

 

 ””彼女が欲しい。だからこそ誰にも嫌われない常に誰にも良い人でいた主人公、八木本一大。しかし彼は良い人ゆえに、他人からの恋愛相談を受けたりはするものの、自分の恋愛とは無縁という悲しい状況で……。

 そんな折にクラスメイトの星川早少女、バイト先の同僚の天弓院真愛、幼馴染みの氷魚鷹奈の三人それぞれからニセ恋人になってほしいとお願いされてしまう。

 良い人な一大はそれを断ることができなくて……ニセ恋人とはいえ三股していることがバレたら大問題。

 修羅場確定のラブコメはどこへ向かうのか””

 

 と、そんな感じ。ジャンルはブコメですね。

 ラブコメの中でも修羅場をテーマにして、タイトルも修羅場ラバーズの略称の形になっている本作。しかし、個人的には修羅場と聞いてイメージするようなドロドロした感じではなく、ヒロインレースとしての要素が非常に強い作品に感じました

 

 また全11巻のうち、10巻で本編が完結して、11巻は本編後の短編集という形になっていました。

 

 そんなことを踏まえて具体的な感想に行きましょう。

 今回は作品のテーマや根幹の部分に触れる感想が中心になっているので、ネタバレがいつもより多い気がします。予めご了承ください。

 

バチバチにぶつかり合うヒロインたち

 最初に述べたように、本作はヒロインレースとしての要素が強く感じられました。

 その理由としては、三人のヒロインが友人同士だったことが大きいでしょうか。そして三人とも、三人がニセ恋人であることを知っています。

 だから、あくまで自分たちはニセ恋人なのだとお互いに牽制しあって、一方で自分はそんな建前を持って本気のアピールをしていく。そんな感じのヒロインたちが、真正面からバチバチぶつかりあう恋愛争奪戦としてのニュアンスが強かった感じです。

 

 そして本作は最初から最後まで、この三人がヒロインとして物語が進行していき、途中参加のヒロインがいないことも特色としてあげられます。

 

 なので、こういうヒロインレースな作品が好きな人、最初から最後まで三人のヒロインだけをフォーカスするようなラブコメが好きな人、は十分に楽しむことができる作品だったと思います。

 

・主人公に好感が持てる?

 しばしばラノベ主人公は優柔不断で鈍感という業の深い生き物であり、読んでいてイラッとすることも多いでしょう。

 

 しかし、この作品の主人公・八木本一大は違う。

 最初のあらすじでどんな女の子にも優しくするだけのやつだと思ったら大間違い。

 

 ……とか、なんとか言いますけど、正直逆なんです。

 

 ヒロインたちに好感が持てない……!

 

 既に述べましたが、ヒロイン三人は友人同士でそれぞれが偽恋人なのを知ってるんですよ。これが本作最大の魅力であると同時に、諸刃の剣になる欠点だと思っていて。

 

 修羅場にならないんだよ!!

 そりゃそうだ、どれだけ主人公が偽恋人とはいえ三股してるのはヤバいよな、と焦ってもヒロインたちは他の二人の予定から自分が抜け駆けできるタイミングを知ってるんですもの。あるいは、自分のターンで他の邪魔が来るのは嫌だから、それぞれのターンで妨害はしないようにしちゃったりするんだもの。

 修羅場になるわけがない!

 

 そして、これ、もう一つ問題があって。

 主人公の一大くんが何も知らないっていうことなんですよ。ヒロインたちが裏で結託しているのを知らずに、それでも三人がそれぞれ偽恋人になってほしい事情があるのだと信じて、その問題を何とか解決したいと奮闘している。

 けど、実際は彼女たちは偽恋人を建前に本当に好きなってもらおうとしている、と。

 

 それは無理があるでしょう……!

 

 一大くんは、あなたたち三人それぞれと偽恋人になって問題解決しようとするのでいっぱいいっぱいなんですよ。そんな状態でどうやったら、あなたたちのアピールに呑気にドキドキしていられるというのか。

 マジでヒロインたちの事情にこれ以上なく振り回されている主人公でした。これがそういうドM志向な紳士たちに向けた作品ならともかく、本作はそういうのではなく真っ当にラブコメをやっているわけですから、もう本当にヒロインたちが理不尽にしか感じられない。

 

 だから、わたしはこの主人公の姿を見ていたら「お前はよく頑張ったよ」って「すげぇやつだよ」って言いたくなるんです。

 何よりも、最後こんなヒロインたちの無茶に付き合わされてきたのに、しっかり三人から選ぶんですよ。数多あるラブコメでヒロインを選ばず終わる作品が多い中、選んで結末を迎えるだけでもすごいのに、一大くんは読者が同情しちゃうような状況から選んだんです。

 

 これは同情かもしれない。それでもいいです。彼は本当にがんばった主人公だと思います。

 

 おわりに

 全体的な総評をするのなら

・ヒロインレースラブコメ長編シリーズとしては十分に楽しめる作品

・ヒロインが最初から最後まで三人で固定、最後には主人公が選ぶことができる点が好印象

・とはいえ、ヒロインたちに振り回される主人公があまりにも可哀想に感じてしまう

 

 といった感じでしょうか。

 ヒロインたちへの印象はあくまでもわたしの感想なので、普通に好きだという人もいると思います。特に、無茶ぶりという点では2010年くらいのツンデレヒロインだったらよくあるものですし、こういうヒロインが好きな人はむしろ多いんじゃないかと思ってます。

 なので、ヒロインレースで10巻程度のシリーズを読んでみたい、という方は一度読んでみることをオススメします。同級生ヒロイン、お嬢様ヒロイン、幼馴染みヒロインによるバチバチな恋愛戦が待っていますよ。

 

 今回の感想は以上で。気になった方は以下の1巻リンクからチェックしてみてください。

 

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しゅらばら! (MF文庫J)

 

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→次回のラノベ感想「盟約のリヴァイアサン

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